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芳年と国周―「風俗三十二相」と「見立昼夜廿四時之内」

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現在、太田記念美術館では、
“芳年と国周―「風俗三十二相」と「見立昼夜廿四時之内」” が開催されています。
明治時代を代表する浮世絵師、月岡芳年と豊原国周それぞれの代表作シリーズを紹介する展覧会です。
星

まず紹介されているのが、月岡芳年の 《風俗三十二相》 シリーズ。
「三十二相」 とは、仏の身体に備わった優れた特徴のことです。
 (例 金色相・・・身体が黄金色に輝く)
その言葉にひっかけて、 「○○そう」 な女性を32図描いたのが、 《風俗三十二相》 シリーズ。
・・・・・ダジャレです。

例えば、こちらは、 「うるさそう」

うるさそう  《風俗三十二相 うるささう 寛政年間処女之風俗》


完全なる猫かわいがり。
確かに、うるさそうです。
こういう女性は、江戸や明治に限らず、今でもいますよね。


続いて、こちらは、 「のみそう」

のみそう  《風俗三十二相 のみたさう 安政年間町芸者俗ニ酌人之風俗》


完全に出来上がっています。
ちょっと目がイっちゃってます。
「のみそう」 というか、絶対に 「のみます」 ね。
志村けんの芸者コントを彷彿とさせました。
もしくは、ちょっと陣内智則にも似ている気がします。


個人的に共感してしまったのが、 「けむそう」

けむそう  《風俗三十二相 けむさう 享和年間内室之風俗》


いるんですよね、なぜか煙が寄ってきてしまう人。
かくいう自分もそうなのです。
たき火をしていると、90%に近い確率で自分のところに煙がやってきます。
煙にモテても嬉しくもなんともない。


また、こんな 「○○そう」 もありました。

しだらなさそう  《風俗三十二相 しだらなささう 寛政年間京都芸子風俗》


「しだらなささう」 です。
“しだらない” とは “だらしない” の意。
確かに、相当にだらしない感じがします。
元祖・干物女。



続いて紹介されているのが、豊原国周の 《見立昼夜廿四時之内》 シリーズ。
全24図からなるシリーズで、 「午後◯時」 や 「午前◯時」 など、二十四時間の各時間が題名となっています。
描かれている女性の身分や職業は異なりますが、まさに明治版 『24 -TWENTY FOUR -』 です。

例えば、こちらは、 「午前三時」 を描いた図。

見立昼夜廿四時之内 午前三時  《見立昼夜廿四時之内 午前三時》


夜泣きする子どもをあやす母親が描かれています。
今も昔もお母さんの大変さは変わりません。
お疲れ様です。
コマ絵に描かれた言葉に目をやると、

「なくとおばけが三時升」

とありました。
“三時” と “参じ” をかけているのですね。
・・・・・またまたダジャレです。


さて、今回、この 《見立昼夜廿四時之内》 シリーズの中で気になる一図を発見してしまいました。
《見立昼夜廿四時之内 午后一時》 です。

《見立昼夜廿四時之内 午后一時》


辞書を片手に英語を勉強する女性の姿が描かれた一枚なのですが。
女性の向かいにある鏡にご注目。

鏡に映った姿が反転していない!!

国周さん、やっちゃいましたね。




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