毎年3月の恒例イベント “VOCA展2015” に行ってきました。
VOCA展 (ヴォーカ展) とは・・・
全国の美術館学芸員、ジャーナリスト、研究者などに40才以下の若手作家の推薦を依頼し、
その作家が平面作品の新作を出品するという方式により、全国各地から未知の優れた才能を紹介する美術展
です。
通算22回目となる今回のVOCA展には、34人の推薦者により34人の作家が出品。
その中で栄えあるVOCA賞を受賞したのが、小野耕石さんの 《Hundred Layers of Colors》 です。
(注:館内の写真撮影は、特別に許可を頂いております)
見た目は、普通の抽象画。
お世辞にも、とてもVOCA賞を受賞するような作品には見えません。
が、近づいてみた時に、軽く衝撃が走りました。
「ナニコレ?!」
写真でも伝わりづらくて恐縮ですが。
実は、こちらは、VOCA展史上初の版画でのVOCA賞受賞作品。
手描きでドットの版を作り、それをシルクスクリーンで、何十回から百回と摺り重ねた作品なのです。
ドットの版を摺り重ねるというアイディアは、超シンプル。
しかし、コロンブスの卵的なアイディアで、今まで誰も観たことが無い視覚効果を生み出していました。
これまで、ドット界 (?) は、草間彌生さんの独占企業状態でしたが。
小野耕石さんが新風を巻き起こしそうな予感です。
続くVOCA奨励賞を受賞したのは、水野里奈さんの 《みてもみきれない。》 という作品。
まさに、タイトルずばり 「みてもみきれない。」 くらいの力作です。
大胆な筆の運びの箇所もありつつ、
近づいて観て、初めて気が付く、実に細かく描き込まれている箇所もありつつ。
世界観という意味では、34作家の中でもひときわ確立していたような気がします。
心の底から、他の作品も観てみたいと思いました。
受賞作家6人の中で、特に印象に残っている作品が、
大原美術館賞を受賞した川久保ジョイさんの 《千の太陽の光が一時に天空に輝きを放ったならば》 です。
こちらは、福島の原発を望む高台の地中に3ヶ月間フィルムを埋めて制作された作品。
いまだ都心の約4000倍という放射線量が検出される土地柄だけに、
“目に見えない何か” がフィルムに焼き付けられるのだそうです。
大きく引き伸ばし額装された作品のアクリル板に、美術館の照明が映り込んでいます。
普段なら、照明の映り込みが気になるとなるところですが。
この照明も電力が無かったら・・・と考えると、いろいろ複雑な気持ちになりました。
受賞作家以外の作品にも気になるものが多数ありました。
個人的にお気に入りなのは、平野泰子さんの 《Twilight 1409》 という作品。
わずか2㎜ほどに絵の具が薄く塗り重ねられています。
その繊細さな色の世界に、スーッと引き寄せられました。
明鏡止水の世界を色にしたら、おそらく、この 《Twilight 1409》 の色でしょう。
また、横山奈美さんの作品もお気に入りです。
羊羹、厚揚げ、スーパーボールの3点からなる 《かたち創るもの》 に、
みかんの皮を描いた 《抜け殻は本当の姿》 に。
題材は、チープなはずなのに、
岸田劉生風 (?) に描かれており、崇高さすら感じる仕上がりに。
ギャップ萌えです。
正直に言えば、 「何で、この作品が推薦されているんだろ?」 というもののほうが多かった気がします。
一般人が楽しめる美術展というよりも、あくまで美術界のための美術展といった印象です。
それでも、34人もいれば、必ずや一人二人はビビッとくる作家はいることでしょう。
この中に、きっと未来のスターがいるはずです。
最後に、もう一人ご紹介。
村瀬裕子さんの作品です。
彼女は、有名人のポートレートを記憶だけを頼りに描く 「思い出し絵画」 というシリーズを展開しているのだとか。
左は、確実に、あの人ですね。
本人が目にしたなら、
「ちょ、待てよ!」
と言うに違いありません (笑)
え~と、右は誰でしょう?安田成美??
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