今回ご紹介するのは、茨城県近代美術館で開催中の “笑う美術” です。
こちらは、タイトルずばり、 「笑い」 をテーマにした美術展。
まさしく、アートテラー大好物の美術展です。
笑いと美術を結びつけた美術展なんて絶対に面白いに決まっています。
“もはや行くまでもないのでは?”
とも思いましたが、念のため、茨城県近代美術館に行ってきました。
で、結論から言いますと、反対の意味で、行くまでもなかったです。
1ツ星。
確かに、笑える美術作品も、少なからずありました。
白隠の 《布袋すたすた坊主》 のユルさは、笑えます。
手垢がだいぶ付いている気もしますが、
まぁ、歌川国芳の 《みかけハこハいがとんだいい人だ》 も、まだ笑えます。
(注:展示は3月20日まで)
山口晃さんの作品群は直接は笑えないですが、ところどころでニヤニヤとはなります。
・・・・・が。
“笑う美術” にも関わらず、全体的には、特に笑いどころのない美術作品が多かったです。
例えば、ルノワールの 《マドモワゼル・フランソワ》 のように、
笑っているモデルを描いた (モチーフにした) 作品が、何点もありました。
どうやら、美術展がテーマに掲げている 「笑い」 には、
「お笑い」 と 「笑い顔」 と2つの意味合いが含まれていたようです。
お笑いライブを観に行ったのに、お笑いは公演の半分で、
残りの半分は笑っている人がステージに立っているだけだった・・・みたいな感じです。 (←どんなライブだ!)
また、マルセル・デュシャンの 《折れた腕の前に》 のように、
「笑い」 としては成立していない作品も多数ありました。
よく言えば難解な笑い、ハッキリ言えばつまらなかったです。
“笑う美術” とストレートな美術展名にしたのなら、
もっとベタな笑いの作品を多く出すべきであったように思います。
美術としては見応えがあるので、美術を期待して訪れた人は、それなりに満足できたでしょうが。
“笑う美術” を期待して訪れた人は、ガッカリしてしまったのではないか心配です。
世の中には、もっと笑える美術があるというのに。
笑いがテーマなだけに、いつもより厳しめのトーンではありますが。
もちろん、ちゃんと笑える作品もありました。
まずは、個人的に大注目の木村太陽さん。
何人ものお客さんが、《Untitled (stool for guard)》 を目にしてギョッとしていました。
うつむいて体育座りをしている少年 (?) 。
こちらは、なんと監視員スタッフさんのための椅子です。
監視員スタッフさんが座っていない状態で、
これだけのインパクトですから、座っている状態のインパクトと言ったらありません (笑)
この他にも、神奈川県民ホールギャラリーで開催されていた “日常/場違い” にて、
僕を爆笑の渦へと巻き込んだ木村太陽さんの傑作 《Questionnaire》 も出展されていました。
同じようなテイストで制作された 《芳名帳》 も、面白かったです。
“笑う美術” に、木村太陽さんをセレクトした学芸員さんのセンスは素晴らしい!
さらにもう一人僕が大注目している福田美蘭さんの作品も。
なんと、この美術展のために制作された新作です。
大津絵をモチーフにした 《大津絵-雷公》 。
福田さんらしいユーモアは充分に感じられましたが。
ややウケ。
ちなみに。
茨城県近代美術館での開催ということもあって、
生涯の大半を茨城県南の牛久沼で過ごした日本画家・小川芋銭の作品が多く紹介されていました。
《畑のお化け》
その数、全90点の出展作中15点。
実に6分の1が、小川芋銭の作品でした。
“小川芋銭とゆかいな仲間たち” 状態。
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