現在、菊池寛実記念 智美術館では、 “遠くて近い井上有一 展” という美術展が開催されています。
「“遠くて近い” って言われても・・・。井上有一って誰??」
という方のために、簡単にご紹介いたしますと。
井上有一 (1916~1985) は、国内外で評価が高い前衛書家で、
村上隆さんや細野晴臣さんなど、著名人にもファンが多いそうです。
糸井重里さんも、井上有一ファンの一人。
実は、今回の美術展のタイトルも、糸井重里さんが名付けているのだそうです。
また、井上有一は、書家として活動する一方で、
小中学校の教師も務めており、中学校教頭や小学校校長などを歴任しています。
ちなみに、教え子の中には、加山雄三さんやいかりや長介などもいるのだとか。
これまで画集やweb上などでは目にしていましたが。
生で井上有一作品を鑑賞するのは、今回が初めて。
ドキドキしながら、会場に足を踏み入れると、いきなり作品が目に飛び込んできました。
(注:館内の写真撮影は、特別に許可を頂いております)
「ブワッ!」 というか、 「グワッ!」 というか。
擬音はともあれ、まるで3D映画を観ているかのように迫ってくるものがありました。
他の書の作品では、味わったことのない鑑賞体験です。
さらに、展示室へと足を進めます。
特に目に飛び込んできたのが、 《月》 と 《花》 の2点。
3D映画のように立体的に感じられるだけでなく、動きすら感じられました。
一瞬、チームラボの作品かと思ってしまったほどです。
井上有一の書の魅力は、ここにある気がしました。
どの作品も、動きが感じられるのです。
普通の書の作品 (?) を鑑賞するときは、描かれた文字の造形に意識が向かいますが。
井上有一の書の作品を鑑賞するときは、文字を書くという行為そのものに意識が向かいました。
そういう意味では、書というよりも、
ジャクソン・ポロックのようなアクション・ペインティング作品に近いものがあるような気がします。
ただ、日本人ゆえに、
“「花」 という字だから、あそこが草かんむりで、あそこがにんべんで・・・”
というように、頭の中で漢字と照らし合してしまう自分がいました。
漢字を知らない外国人のほうが、井上有一の作品を純粋に楽しめるのでしょうね。
また、井上有一の書のもう一つの魅力が、その独特のテクスチャーです。
一体、何で書かれているんだろう、と思わず近寄りたくなる不思議な風合い。
実は、ボンドを混ぜた墨で書かれているのだそうです。
画像では全く伝わらないので、是非、実物で味わってくださいませ。
と、井上有一の 「一文字書」 の作品に関しては、
書の概念を打ち破られるほどに、大きな衝撃を受けたのですが。
宮沢賢治の作品を基にした 「多文字書」 には、そこまで心が動かされませんでした。。。
絵画のようにも感じられる 「一文字書」 と違って、
「多文字書」 は、どうしても文字にしか感じられないからでしょう。
本音を言えば、井上有一の 「一文字書」 を、もっと観たかったです。
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遠くて近い井上有一 展
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