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Channel: アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】
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燕子花と紅白梅 光琳デザインの秘密

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カキツバタの咲く季節が近づいてまいりました。
今年も根津美術館では、そのタイミングに合わせて、
国宝の 《燕子花図屏風》 をお披露目する展覧会が開催されています。

国宝  燕子花図屏風  国宝『燕子花図屏風』
国宝 《燕子花図屏風》(左隻) 尾形光琳筆  日本・江戸時代 18世紀 根津美術館蔵蔵 
国宝 《燕子花図屏風》(右隻) 尾形光琳筆  日本・江戸時代 18世紀 根津美術館蔵蔵


2012年には、メトロポリタン美術館が所蔵する尾形光琳作 《八橋図屏風》 と競演した 《燕子花図屏風》
そして、昨年は、円山応挙作 《藤花図屏風》 とともに展示され、根津美術館の2大スター初競演を果たしました。

「もうこれ以上、豪華な競演はないだろう。」

おそらく多くの日本美術ファンが、そう思っていたはずです。

しかし、早くも今年2015年に、その歴史は塗り替えられました。
今年、 《燕子花図屏風》 と競演を果たしているのは、
なんと、あのMOA美術館が所蔵する 《紅白梅図屏風》
尾形光琳の国宝絵画2点が、並んで展示されている光景は、まさに奇跡としか言いようがありません。
そんな奇跡の展覧会 尾形光琳300年忌記念特別展 燕子花と紅白梅 光琳デザインの秘密” は5月17日まで。

国宝  光琳
(注:館内の写真撮影は、特別に許可を頂いております)


《燕子花図屏風》《紅白梅図屏風》 が並べられた展示室は、潔いまでにシンプル。
この2点の国宝が同じ空間にある。
そのことを最大限引き立てるために、他に数点の金屏風作品が展示されているのみでした。
そんな会場の構成のおかげで、広々としており、
思う存分、2点の国宝の競演に集中することが出来ました。

《燕子花図屏風》 も、 《紅白梅図屏風》 も、何度も鑑賞していますが。
並べて見比べてみることで、新鮮な感動がありました。
40歳代なかばに描かれた 《燕子花図屏風》 は、画面全体に瑞々しいイメージが満ちていて、
光琳最晩年に描かれたという 《紅白梅図屏風》 は、画面全体に隙がなく、まるで老練の武術家のようです。
どちらも洒脱なデザインではあるのですが、
《紅白梅図屏風》 には、少しだけ光琳の人生 (人柄?) が滲み出ていたような気がします。


ちなみに、この展示室内で紹介されていた屏風作品で、印象的だった作品がもう一つありました。
伝俵屋宗達筆・烏丸光広賛の 《蔦の細道図屏風》 です。

伝俵屋宗達筆・烏丸光広賛  重要文化財 《蔦の細道図屏風》
伝俵屋宗達筆・烏丸光広賛 日本・江戸時代 17世紀 相国寺蔵


尾形光琳よりも1世紀前の作品ながら、同じくらいに洒脱!
実に、スッキリとしたデザインです。
しかし、ただスッキリしているだけではありません。
なんと右隻と左隻を入れ替えても、成立するのだとか。

つまり、これが・・・

左 右


こうなるということです。

右 左


さて、2件の国宝が展示されている部屋を抜けても、展覧会は続きます。

展示室  展示室


今回の展覧会は、全部で3つの展示室を使用 (普段は1つか2つ) 。
光琳が影響を受けたという本阿弥光悦や俵屋宗達の作品から、光琳に影響を受けた弟・乾山の作品まで。
重要文化財を含む多数の工芸品や図案集などを通じて、光琳のデザインの世界を紹介していました。
《燕子花図屏風》《紅白梅図屏風》 だけかと思いきや。
予想以上にボリューム満点の展覧会でした (汗)
時間に余裕をもって、行かれることをオススメします。
星星




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