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Channel: アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】
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シンプルなかたち展:美はどこからくるのか

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現在、森美術館では、 “シンプルなかたち展:美はどこからくるのか” が開催されています。

シンプル
(注:館内の写真撮影は、特別に許可を頂いております)


シンプルに言ってしまえば、古今東西のシンプルなかたちを紹介する展覧会です。
展覧会で紹介されているシンプルなかたちは約130点。
シンプルなかたちをした石から、

石  作者不詳 《バード・ストーン》
制作年不明 粘板岩4.8×11.2×2.0cm アーレンベルグ・コレクション、スイス


シンプルな美を追求した茶道具、

まこも  長次郎 《まこも》
安土桃山時代(16世紀)黒樂茶碗 8.7xφ10.6cm 所蔵:藤田美術館、大阪


シンプルなスタイルの現代アートまで。

杉本  杉本博司 《スペリオル湖、カスケード川》
1995年 ゼラチン・シルバー・プリント 119.4x149.2cm Courtesy:Gallery Koyanagi


一口にシンプルと言っても、その種類は多種多様でした。
フランス人の現代アーティストの作品と雪舟の水墨画が向かい合っていたり、
ドイツ出身の写真家の作品の横に、朝鮮の白磁壺が展示されていたり。
“シンプルなかたち” というテーマの展覧会でしか、目にできないであろう展示風景が実に新鮮でした。
それだけでも、展覧会として、シンプルに面白かったのですが。
多種多様なシンプルなかたちを、ただシンプルに並べるのではなく、

力学


「力学的なかたち」、「幾何学的なかたち」、「自然のかたち」 というように、
セクションにわけ、体系的に紹介し、根源的な美について迫っていたのが、何よりも興味深かったです。
シンプルだけど奥が深い展覧会でした。
星星


個人的に、もっとも印象に残った作品は、スザンナ・フリッチャーの 《息》

スザンナ


こちらは、エルメスの熟練したガラス職人に、
破裂する限界ギリギリまで息を吹き込んでもらい制作したという作品です。
うすはりグラス以上に、うすはりでした。
その儚く繊細な印象に、思わず息を止めて見入ってしまいました。
(ガラスケースに入っているのですが、それでも息を止めてしまいます)


また、カールステン・ニコライの 《アンチ》 も、シンプルなかたちながら、強く印象に残る作品です。

カールステン


この作品は、奥の壁に展示された全くシンプルではないデューラーの版画作品と深い関係があります。

アルブレヒト・デューラー  アルブレヒト・デューラー 《メランコリア I》
1514年 銅版画 24.1x18.8cm 個人蔵 Courtesy: Ota Fine Arts


《メランコリア I》 に描き込まれた謎の多面体。
その多面体にインスピレーションを受け制作されたのが、 《アンチ》 なのです。
しかも、ただの立体作品ではなく、こう見えて (?) 楽器。
触れると、「ブーーーン」 だか 「ムーーーン」 だか、低音を発します。
会場で出合った際には、怖がらず触ってあげてみてください。


その他にも、オラファー・エリアソンの 《丸い虹》 や、
アニッシュ・カプーアの 《私が妊娠している時》、大巻伸嗣さんの 《リミナル・エアー スペース―タイム》 など、
紹介したい作品はたくさんありますが、キリが無いのでこの辺で。
シンプルには紹介しきれませんでした (汗)

ちなみに、この4月から、森美術館が大幅にリニューアルしています。
森美術館のコレクションを紹介する 「MAMコレクション」 をはじめ、

「MAMコレクション」


「MAMスクリーン」「MAMリサーチ」 といった3つの小プログラムが展開されていくようです。
パワーアップした森美術館に、これからも目が離せません。




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