現在、東京富士美術館にて、
今年のアートシーン・・・いや、今後10年、はたまた今後100年のアートシーンに残る美術展が開催されています。
その名も、 “レオナルド・ダ・ヴィンチと「アンギアーリの戦い」展 ~日本初公開「タヴォラ・ドーリア」の謎~” 。
(注:館内の写真撮影は、特別に許可を頂いております。)
あの 《タヴォラ・ドーリア》 が・・・
作者不詳(レオナルド・ダ・ヴィンチに基づく) 《タヴォラ・ドーリア》(《アンギアーリの戦い》の軍旗争奪場面)
16世紀前半 油彩とテンペラ/板 85.5×115.5cm ウフィツィ美術館蔵(2012年、東京富士美術館より寄贈)
なんと日本で、それも八王子で初公開されているのです!!
と煽ってはみたものの。
多くの方が、 「あの 《タヴォラ・ドーリア》 って、言われても。。。」 と思っていることでしょう。
何を隠そう、僕も、この美術展が開催されるまで、 《タヴォラ・ドーリア》 なるものを知りませんでした (笑)
というわけで、まずは、簡単に 《タヴォラ・ドーリア》 の説明から。
《タヴォラ・ドーリア》 を、直訳すると 「ドーリア家の板絵」 。
名門貴族のドーリアさん一家が所蔵していた板絵のことです。
実は、この 《タヴォラ・ドーリア》 には、元となる絵があります。
それは、レオナルド・ダ・ヴィンチが、フィレンツェ共和国政府の要請で、
シニョリーア宮殿に描いたとされる未完の大壁画 《アンギアーリの戦い》 です。
レオナルドが 《アンギアーリの戦い》 で描いた斬新な戦闘シーンは、
ルーベンスをはじめ、その後の画家たちに多くの影響を与えたとされています。
しかし、残念ながら、現在 《アンギアーリの戦い》 のオリジナルを目にすることは出来ません。
1560年代に、他の画家によって、その上から別の壁画が描かれてしまったのです。
そんなレオナルドの幻の傑作の下絵ではないかと議論されているのが、 《タヴォラ・ドーリア》 。
今は作者不詳ですが、もしかしたら、近い将来 「レオナルド・ダ・ヴィンチ作」 とならなくもないのです。
《タヴォラ・ドーリア》 が、レオナルド作であるにせよ無いにせよ、
《アンギアーリの戦い》 を研究する上での超一級の資料であることは確か。
それゆえ、 《タヴォラ・ドーリア》 は、イタリアの国宝に指定されています。
そんなイタリアのお宝が日本で初公開されているのは、
2012年に東京富士美術館が 《タヴォラ・ドーリア》 をイタリアに寄贈したからに他なりません。
所蔵していただけでも驚きですが、それを太っ腹にも寄贈していただなんて!
東京富士美術館のスケールの大きさには、驚かされっぱなしです。
さてさて、そんな 《タヴォラ・ドーリア》 が展示されているだけでも十分にスゴい美術展なのですが。
《アンギアーリの戦い》 と関連するレオナルド・ダ・ヴィンチの素描や、
レオナルド・ダ・ヴィンチ 《格闘する男たちの習作》
1503-04年頃 ペンと褐色インク、尖筆/紙 8.7×15.2cm アカデミア美術館(ヴェネツィア)蔵
16世紀の画家によって模写された 《アンギアーリの戦い》 、
作者不詳(レオナルド・ダ・ヴィンチに基づく)《アンギアーリの戦い》の模写
16世紀(1563年以前) 油彩/板 86×144cm パラッツォ・ヴェッキオ博物館(フィレンツェ美術館群から寄託)
この美術展のために制作された立体復元彫刻も展示されています。
くわえて、 《アンギアーリの戦い》 の時代背景を知ることが出来る同時代の作品や、
《アンギアーリの戦い》 に影響を受けた後世の作品なども展示されていました。
これでもかというくらいに充実した内容の美術展でした。
さらに!!
今回の美術展には、もう一つ大きなサプライズがあります。
《アンギアーリの戦い》 と同じ広間に描かれるはずであったミケランジェロ作の 《カッシナの戦い》 。
ミケランジェロが数ヶ月かけて原寸大の下絵は完成させたものの、
その途中で教皇ユリウス2世によってローマに招聘されたため完成しなかったという幻の作品です。
そんな 《カッシナの戦い》 の原寸大下絵を模写した唯一の16世紀の板絵も、今回初来日しています。
レオナルドとミケランジェロ。
まさに夢の競演が果たされていました。
余談ですが。
この筋骨隆々の人物がたくさん描かれた 《カッシナの戦い》 を前にしてマダム2人が、こんな会話をしていました。
「この絵、観てたら、アレ思い出しちゃった」
「アレって?」
「ほら、♪テーッテレテレとかなるヤツ」
「あー、ライザップ!」
「いや、何人、結果にコミットしてんだよ!!」 と心の中でツッコんでおきました。
ここ数年開催された美術展の中で、もっとも奇跡的な美術展といっても過言ではありません。
美術ファンを自覚するならば、絶対に足を運ぶべき美術展です。
でないと、きっと後悔する日が来るでしょう。
3ツ星どころか、5ツ星をつけたいくらいです。
ただ、美術に興味が無い方や興味はあるけど印象派が好きという方にとっては、ちょっと地味に映るかも。
とは言え、東京富士美術館は常設展も充実していますので、
そちらと合わせれば、確実に3ツ星以上の満足度が得られること請け合いです。
最後に、告知を。
こんな超貴重な美術展を、6月6日の土曜に新潮講座の一環で、
東京富士美術館の閉館後に、100名限定で貸切らせて頂けることになりました。
自分でもビックリです (笑)
詳細をお知りになりたい方は、以下のメールフォームに、
「東京富士美術館 貸切講座」 と添えて、お気軽にご一報くださいませ。
通常のアートツアー同様に、初参加の方も、お一人で参加の方も大歓迎です。
http://homepage3.nifty.com/art-teller/tony_contact.htm
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レオナルド・ダ・ヴィンチと「アンギアーリの戦い」展
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