東京藝術大学大学美術館で開催中の展覧会 “ヘレン・シャルフベック -魂のまなざし” に行ってきました。
(注:館内の写真撮影は、特別に許可を頂いております。)
19世紀後半から20世紀にかけて活躍した女性画家ヘレン・シャルフベックの日本初の大規模な回顧展です。
日本では、ほとんど無名といっていいヘレン・シャルフベックですが。
実は、彼女の母国フィンランドでは知らない人はいないほどの国民的画家。
そんな彼女の初期の作品から晩年の作品まで、
フィンランド国立アテネウム美術館のコレクションを中心に84点の作品が来日しています。
それらの中には、フィンランドの国宝級の作品といわれる 《快復期》 や、
《快復期》 1888年 油彩・カンヴァス フィンランド国立アテネウム美術館
Ateneum Art Museum, Finnish National Gallery/Hannu Aaltonen
《黒い背景の自画像》 といった彼女の代表作の数々も。
《黒い背景の自画像》
1915年 油彩・カンヴァス フィンランド国立アテネウム美術館
Herman and Elisabeth Hallonblad Collection, Ateneum Art Museum, Finnish National Gallery/Hannu Aaltonen
フィンランド人では無いので、ほとんどノーマークでしたが、
フィンランド的には (?) 、見逃すわけにはいかない相当スゴい美術展なのです。
さてさて、フィンランドと言えば、ムーミンかキシリトールくらいしか知らなかった僕。
もちろんこの展覧会を通じて初めて、ヘレン・シャルフベックのことを知りました。
彼女に抱いた率直な印象は、 “驚くほどに自分をさらけ出す人だったんだなぁ” というものでした。
シャルフベックは、自画像もしくは自分を投影した絵を多く描いているのですが。
全くといっていいほど、美化されていませんでした。
それどころか不安や悲しみといった負の感情、
晩年の作品に至っては老いまでも、さらけ出すように描いています。
《正面を向いた自画像I》
1945年 油彩・カンヴァス フィンランド国立アテネウム美術館
Yrjö and Nanny Kaunisto Collection, Ateneum Art Museum, Finnish National Gallery /Hannu Aaltonen
それだけに、彼女の絵は観ていて、時に痛々しく、時に切なく、時に心が疼きました。
最後の作品を観終えたあと、こんなにもアンニュイな気持ちになったのは初めてかもしれません。
ヘレン・シャルフベックの展覧会を観たというよりは、
ヘレン・シャルフベックという一人の女性の生涯を描いたミニシアター系の映画を観たような印象を受けました。
雨の降る午後が似合う展覧会です。
ちなみに、自分をさらけ出すと言えば。
明らかに、シャルフベックは同時代のいろんな画家から影響を受けていました。
それを隠そうとしないのが、シャルフベックの個性。
例えば、写真左の絵 《断片》 はシャヴァンヌ風。
写真右の絵 《菩提樹の下で》 はドニ風。
そして、写真左の絵 《お針子(働く女性)》 はもろにホイッスラー風。
イイと思ったら、すぐに取り入れる。
かなり素直な人だったのでしょうね。
┃会期:2015年6月2日(火)~7月26日(日)
┃会場:東京藝術大学大学美術館
┃http://helene-fin.exhn.jp/
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住所・氏名・電話番号を添えて、以下のメールフォームより応募くださいませ。
http://homepage3.nifty.com/art-teller/tony_contact.htm
(〆切は、6月15日。当選は発送をもって代えさせていただきます)
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ヘレン・シャルフベック −魂のまなざし
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