今年2015年は、大正から昭和にかけて近代日本画壇を牽引した画家・前田青邨の生誕130年の節目の年。
それを記念して、山種美術館では、
ⓒY. MAEDA & JASPAR, Tokyo, 2015 E1544 (注:館内の写真撮影は、特別に許可を頂いております。)
“生誕130年記念 前田青邨と日本美術院 ―大観・古径・御舟―” が開催されています。
8月23日まで。
展覧会の見どころは何と言っても、
江戸時代に行われた人体解剖を描いた 《腑分》 を筆頭に、
前田青邨 《腑分》 1970(昭和45)年 紙本・彩色 山種美術館
ⓒY. MAEDA & JASPAR, Tokyo, 2015 E1544
長年公開されてこなかった青邨作品、写生や下図なども含め、
山種美術館が所蔵する前田青邨作品全13点が一挙公開されていること。
個人的には、《大物浦》 が最も印象に残りました。
前田青邨 《大物浦》 1968(昭和43)年 紙本・彩色 山種美術館
ⓒY. MAEDA & JASPAR, Tokyo, 2015 E1544
兄の源頼朝に追われた源義経一行が、摂津の大物浦から船出する場面が描かれています。
空撮のように俯瞰で描くことにより、まるで映画のワンシーンなダイナミックさがありました。
しかも、画像では伝わりづらくて恐縮ですが。
ⓒY. MAEDA & JASPAR, Tokyo, 2015 E1544
自分が動くと、波間の下地に使われている銀色が煌めき、
まるで本物の海を眺めているかのような臨場感が味わえました。
これまで、前田青邨の描く歴史画は、
どこか挿絵のようなテイストが感じられ、やや薄味な印象を抱いていたのですが、
《大物浦》 を観たことで、前田青邨を見直しました (←何様だ!)
今回の展覧会は、そんな前田青邨の作品を軸に、
彼が中心となって活躍した日本美術院の先人たち (横山大観、下村観山など) の作品や、
下村観山 《老松白藤》 1921(大正10)年 紙本金地・彩色 山種美術館
青邨と同時代の画家たち (小林古径、奥村土牛など) の作品、
右:奥村土牛 《犢》 1984(昭和59)年 紙本・彩色 山種美術館
左:奥村土牛 《城》 1955(昭和30)年 紙本・彩色 山種美術館
さらには、青邨の教えを受けた画家たち (平山郁夫、守屋多々志など) の作品も紹介されています。
右:守屋多々志 《平家厳島納経》 1978(昭和53)年 紙本・彩色 山種美術館
左:守屋多々志 《聴花(式子内親王)》 1980(昭和55)年 紙本・彩色 山種美術館
言うなれば、前田青邨の画家人生を通して、
近代日本画壇に名を残す画家たちを紹介する美術展といったような印象でした。
主役は、前田青邨ではなく、近代日本美術そのものというような。
・・・・・というようなことを思いつつ。
第2会場に足を運ぶと、そこには2年ぶりの展示となる速水御舟の 《炎舞》 の姿が!
(前田青邨と速水御舟は、紅児会という大和絵系日本画家の研究会のメンバー同士)
速水御舟 《炎舞》 【重要文化財】 1925(大正14) 絹本・彩色 山種美術館
照明が極力抑えられた展示空間に、妖しく浮かび上がる 《炎舞》 。
最高に素晴らしかったです!
主役は、前田青邨ではなく、近代日本美術そのものでもなく。
山種美術館のマスターピースである 《炎舞》 。
そんな印象を受ける美術展でした。
┃会期:2015年6月27日(土)~8月23日(日)
┃会場:山種美術館
┃http://www.yamatane-museum.jp/exh/current.html
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生誕130年記念 前田青邨と日本美術院 ―大観・古径・御舟―
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