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Channel: アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】
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絵巻を愉しむ―《をくり》絵巻を中心に

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皇居東御苑内にある三の丸尚蔵館へ行ってきました。

三の丸


こちらは、国に寄贈された皇室に代々受け継がれた絵画や書などの美術品を保存・展示する博物館です。
しかも、嬉しいことに無料!
ただし、小さな展示スペースなので、展示できる作品数が限られています。
それだけが難点なのですが、コレクションの質の高さは、もちろん折り紙つき。
狩野永徳のあの 《唐獅子図屏風》 も、

狩野永徳 唐獅子図屏風


伊藤若冲のあの 《動植綵絵》 も、

動植綵絵


三の丸尚蔵館のコレクションです。
チェックしていれば、いずれ展示される日が来るかもしれません。


さて、そんな三の丸尚蔵館では、
現在、“絵巻を愉しむ―《をくり》絵巻を中心に” という展覧会が開催中す。
三の丸尚蔵館コレクションの中から選りすぐりの絵巻の数々が紹介されています。

アップ


目玉は何と言っても、展覧会タイトルにその名がある 《をくり》 です。
《をくり》 とは、《小栗判官絵巻》 のこと。
小栗判官の数奇な人生を描いた絵巻です。
江戸時代初期の絵師・岩佐又兵衛の作と伝わるだけあって、実に絵が生き生きとしていました。
そして、皇室に伝わる作品だけあって、彩色がとても美しいのが特徴です。

前半では、小栗判官と絶世の美女・照手姫のラブストーリーが描かれます。

小栗判官


終始、甘~い話かと思いきや、結婚に猛反対する照手姫の父によって、命を狙われる小栗判官。
ピンチに次ぐピンチ。
まさしく、アクション映画を観ているかのようです。
ただ、普通のアクション映画なら、すべてのピンチを回避するところですが。
なんと小栗判官は死んでしまいます。
そして、閻魔大王のもとへ。

小栗判官


しかし、そこは主人公。
『ドラゴンボール』 の孫悟空のごとく、生き返ることを許されます。
かくして現世へと戻ってきた小栗判官の姿が、こちら↓

小栗判官


「!!!!」

橋の中央で車に乗せられているのが、我らが (?) 小栗判官です。
餓鬼阿弥という異形の姿で甦るという、斜め上を行く展開に衝撃を隠せません。
果たして、この後、小栗判官はどうなってしまうのか?
続きは、三の丸尚蔵館で。
星


この他にも、《酒伝童子絵巻》 や、

酒伝童子絵巻


日本版シンデレラと言われる 《住吉物語》 なども展示されています。

住吉物語


個人的に 《をくり》 と同じくらい衝撃だったのが、《彦火々出見尊絵巻》 です。

彦火々出見尊絵巻


描かれているのは、彦火々出見尊 (ひこほほでみのみこと 弟) と火闌降命 (ほのすそりのみこと 兄) の物語。
浦島太郎の元となった物語だそうです。
ある日、弟は兄に釣り針を借りて魚釣りに出かけるのですが、あろうことか釣り針を無くしてしまいます。
お詫びの品を持って謝るものの、許さない兄。
途方に暮れる弟のもとに、とある老人 (実は神様) が現れ、海神の宮殿へ行くようアドバイスをします。
なんやかんやあって、その宮殿で無事に無くした釣り針を発見、ついでに海神の娘と結婚。
地上に戻り、釣り針を兄に返したのですが、まだ兄は怒ったままです。
その狭すぎる心に腹を立てた弟は、海神にもらった魔法の玉で兄に攻撃します。

兄


許しを乞う兄。
で、こうなりました。

兄


兄、ずぶ濡れ。
魔法の玉を手に入れた弟には勝てないと知った兄は、
弟に服従を誓い、毎年、弟に作物を献上することを誓うのでした。
めでたしめでたし (・・・なのか?) 。

僕にも弟がいるので、弟が魔法の玉を手に入れないことを願うのみです。




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