皆様、こちらの写真の人物を御存じでしょうか?
ニキ・ド・サンファル(ポートレート) 1983年
Yoko 増田静江コレクション/撮影:黒岩雅志/© 2015 NCAF, All rights reserved.
『ヴォーグ』 や 『ライフ』 などでファッションモデルとして活躍したのちに、
アーティストに転身したフランスの芸術家、ニキ・ド・サンファル (1930~2002) です。
日本では、そこまで知名度が高い存在ではないのかもしれませんが。
実は、彼女は、今フランスでもっとも数字を持っているアーティストと言っても過言ではありません。
というのも、2014年秋にパリのグラン・パレで開催された回顧展は、なんと60万人 (!) も動員したのだとか。
そんなフランスが熱狂した回顧展の要素を取り入れつつ、
日本と彼女との関係にも焦点を当てた “ニキ・ド・サンファル展” が、現在、国立新美術館で開催中です。
会期は12月14日まで。
(注:館内の写真撮影は、特別に許可を頂いております。)
ニキ・ド・サンファルの名を一躍世間に知らしめたのは、いわゆる 「射撃絵画」。
絵の具が入った缶や袋をオブジェに付着させ、
それに向けて銃を発砲し完成させるという、なかなかに物騒な絵画作品です。
今回の展覧会でも、もちろん、そんな 「射撃絵画」 の数々が紹介されていました。
モデルを務めるほどの美人が、キャンバスに向かって銃を発砲する。
・・・・・・・正直なところ、ちょっとイタい感じがしました。
「射撃絵画」 以上に、イタい感じがしたのが、
下の写真右側の 《必要とされた殉教者/聖セバスティアヌス/私の恋人の肖像/私の肖像》 という作品です。
ダーツの的が顔になっている人型のオブジェ作品。
今回の展覧会では、もちろん矢を放ってはいけませんが、
作品を発表した際は、観客や他のアーティストに矢を放ってもらっていたのだそうです。
実は、この作品に使われているシャツとネクタイは、ニキが当時恋愛関係にあった男性のもの。
つまり、その彼氏との別れを暗示した作品なのだとか。
・・・・・・・正直なところ、そんな彼女は勘弁です。
と、初期の作品に関しては、個人的には、あまり好きになれなかったのですが。
妊婦からインスピレーションを受けたという、
彼女の代名詞とも言うべき 《ナナ》 シリーズが登場してから、一気にニキワールドに惹きこまれました。
何、この色彩感覚!
何、この造形力!
何、この生命力!!
ニキ・ド・サンファル 《泉のナナ》 1971年/1992年
Yoko 増田静江コレクション/撮影:林雅之/© 2015 NCAF, All rights reserved.
ニキの生み出す作品は、すべてに強烈な存在感があって、
巧いとか下手とか、そういうのを超越している印象を受けました。
どこか岡本太郎に通じるところがある感じがします。
ただ、岡本太郎の作品は、どこか情念のようなものも感じられますが。
それに対して、ニキ・ド・サンファルの作品は、どこかカラッとしていてポジティブです。
岡本太郎が陰なら、ニキ・ド・サンファルは陽。
でも、もしかしたら、これは岡本太郎とニキの違いなのではなく、
男の嫉妬のほうが怖いというし、男のほうが過去の恋愛を引きずるというし、
男女の違いなのかもしれませんね。
男性よりも女性のほうが、より共感できる展覧会と言えそうです。
ちなみに、今回の展覧会の出展作の多くは、
ニキと親交が深かったYoko増田静江氏のコレクションによるものです。
そのコレクションを基にしたニキ美術館が、
かつては栃木県の那須にあったのですが、2011年に惜しまれながら閉館してしまいました。
実は、その閉館間際に、ニキ美術館を訪れたことがあるのですが、
その際に強烈なインパクトを受けた 《ブッダ》 と、今回無事に再会を果たすことが出来ました。
4年ぶりに観ましたが、やはり強烈です。
こちらの 《ブッダ》 に関しては、写真撮影が可能となっていました。
これから訪れる方は、是非、《ブッダ》 の前で記念撮影を。
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ニキ・ド・サンファル展
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