黄金伝説展　古代地中海世界の秘宝

国立西洋美術館で開催中の “黄金伝説展　古代地中海世界の秘宝” に行ってきました。


（注:館内の写真撮影は、特別に許可を頂いております。）


こちらは、ギリシャ、トラキア、エルトリアにローマなど、
地中海海域に花開いた文明にまつわる金製品の数々を紹介する展覧会です。
1ヶ月1万円節約生活や無人島生活は関係ありません。あしからず （←？） 。


展覧会の目玉は何と言っても、今から6000年以上前に作られた世界最古の金製品です。
今から40年ほど前、ブルガリアの黒海沿岸の町ヴァルナにて、約300基もの墓が偶然発見されました。
それらの墓からは、全体で約6kgもの金製品が出土したそうのだそうです。

今回の展覧会では、そんな貴重な金製品の一部が展示されています。
しかも、ただ普通に展示ケースに並べて展示するのではなく・・・

　　《ヴァルナ銅石器時代墓地第43号墓》
紀元前5千年紀　ブルガリア、ヴァルナ出土　ヴァルナ歴史博物館 ©Varna Regional Museum of History, Bulgaria




まさかの再現展示！！

人骨は、もちろんレプリカですが、金製品は本物です。
それも、世界最古の金製品です。
この再現展示に、国立西洋美術館の本気を見ました。
これを観るためだけに、展覧会を訪れる価値は大いにあると思います。


さらに、今から約100年前に、ブルガリアの農夫の兄弟が、
作業中に畑でたまたま掘り出したという伝説がある 《ヴァルチトラン遺宝》 も展示されています。
こちらも見逃せません！

　　《ヴァルチトラン遺宝》
紀元前14世紀後半―紀元前13世紀初頭　金　ブルガリア、ヴァルチトラン出土　ソフィア国立考古学研究所・博物館
Photograph: National Institute of Archaeology with Museum - Sofia, Bulgaria




まさかの全点 （総重量約12㎏） 展示！！

太っ腹にも全部を日本に貸し出してしまって、
ソフィア国立考古学研究所・博物館は大丈夫なのだろうか、と心配してしまったほどです。


この他にも、エルトリアの超絶技巧とも言うべき、粒金細工が施された金製品の数々など、

　　《腕輪》
紀元前675年-650年　金　イタリア、チェルヴェテリ、ソルボ墓地、レゴリーニ・ガラッシの墓出土　ヴァチカン美術館
Foto©Governatorato dello Stato della Città del Vaticano - Direzione dei Musei, tutti i diritti riservati


見どころは十分すぎるほどにありました。
ただ、個人的には、

　　　　


会場がゴールド一色なので、やや飽きてしまいました。
途中から、その造形を、鑑賞するのではなく、

“この大きさの金 （きん） だと、いくらくらいするのだろう？”

と、金 （かね） のことばっかりを考えていたような気がします （←いやしいヤツめ！）。
しかし、それは、あくまで男である僕の僕の率直な感想。
すでに足を運ばれた女性の方々の評判はとても良いので、
男女で感想がハッキリと分かれるタイプの展覧会と言えそうです。
女性は、うっとりすること間違いなしの展覧会。

２ツ星です。


さてさて、個人的には、金製品よりも、
黄金の羊毛を求めて旅したというイアソンを描いた絵画や、

　　ギュスターヴ・モロー 《イアソン》　1865年　油彩・カンヴァス
オルセー美術館(パリ）　©RMN-Grand Palais (musée d'Orsay) / Hervé Lewandowski / distributed by AMF


触るものみな黄金にしたミダス王を主題にした絵画をはじめ、

　　ニコラ・プッサン 《パクトロス川の源のミダス王》　
1626年頃 油彩・カンヴァス
フェッシュ美術館（アジャクシオ） ©RMN-Grand Palais / Gérard Blot/ distributed by AMF


黄金にまつわる神話を題材にした絵画のほうが興味深かったです。
改めて紹介されてみると、ギリシャ神話には、やたらと金が登場していたのですね。
ちなみに、それらの名画にまざって、
愛知県美術館が所蔵するグスタフ・クリムトの 《人生は戦いなり（黄金の騎士）》 も展示されていました。




一度は観たいと思っていた絵だったので、
思いかけず、この展覧会で出合えてテンションが上がってしまいました。

金を題材にした洋画の数々。
まさしく、ゴールデン洋画劇場でした （←？）





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