森美術館で開催中の “村上隆の五百羅漢図展” に行ってきました。
こちらは、「世界のムラカミ」 こと村上隆さんの国内では実に14年ぶりとなる大規模な個展です。
展示作品のほとんどが、近作や最新作。
しかも、日本初公開。
禅における書画のひとつに着想を得た 《円相》 シリーズや、
© Takashi Murakami/Kaikai Kiki Co., Ltd. All Rights Reserved.
村上隆さんが生み出したキャラクターの中でも最も有名なDOB君の最新シリーズ、
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ここ10年近く制作に取り組んでいるという大型の彫刻作品などが、
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会場をポップにカラフルに賑わせていました。
まさしく村上隆ワールド全開。
14年間溜まりに溜まっていたものが、フルスロットルで放出されているような印象を受けました。
ただ、個人的には、これらの作品には、
目は奪われるし、それなりに楽しい気分にはなるものの、大きくは心を動かされませんでした。
アニメーション的な画風と日本の伝統的な美術の融合。
© Takashi Murakami/Kaikai Kiki Co., Ltd. All Rights Reserved.
それらが、掛け算のように掛け合わされているかと言えばそうではなく。
「1+1=2」 にしかなっていないような、なんなら 「1+1=1」 でしかないような。
まさに “スーパーフラット” な精神的に奥行きの無い印象を受けるのです。
しかし、そんな僕でも、今回の展示のメインである 《五百羅漢図》 には、ガツンとやられました。
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こちらは、2012年にドーハで開催された個展のために、
200人を超えるスタッフとともに制作した全長100mにも及ぶ超巨大スケールの絵画作品です。
© Takashi Murakami/Kaikai Kiki Co., Ltd. All Rights Reserved.
日本美術の伝統的な図像である五百羅漢図を下敷きに、
古代中国の四神 (青竜、白虎、朱雀、玄武) や、獏、白澤といった神獣、
さらに、伊藤若冲や曽我蕭白からインスピレーションを受けたモチーフが大画面を構成しています。
東日本大震災が契機となって制作されたということもあるからでしょうか。
ポップでカラフルながらも、どこか生と死の対比のイメージも感じられました。
© Takashi Murakami/Kaikai Kiki Co., Ltd. All Rights Reserved.
この作品を目の当たりにしての率直な感想は、
“村上隆さんは、とんでもないものを制作したなァ。。。” でした。
良いとか悪いとか、素晴らしいとかつまらないとか、
そういう次元を遥かに超越しており、ただただとんでもない作品です。
圧倒的な存在感というよりも、存在していること自体が不思議と言いますか。
21世紀の日本にとんでもない作品が誕生し、
そんなとんでもない作品を自分が目の当たりにしているという現実に、
脳の処理能力がなかなか追いつかなかったです。
今年もっとも見逃せない展覧会と言っても過言ではありません。
3ツ星。
しばらくは、「村上隆の五百羅漢図展は、もう観た?」 が挨拶代りになりそうな予感です。
ちなみに、《五百羅漢図》 が誕生する経緯となった、
『芸術新潮』 での連載 「ニッポン絵合せ」 を紹介するコーナーも設けられていました。
その連載に登場した狩野一信の 《五百羅漢図》 や、
約3cm四方の画面の中にミクロの羅漢や動物がビッシリ描かれた長沢芦雪の 《五百羅漢図》 も合わせて展示!
日本美術ファンにも見逃せない展示となっていますよ。
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村上隆の五百羅漢図展
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