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Channel: アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】
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金銀の系譜 ~宗達・光琳・抱一をめぐる美の世界~

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約1年半の休館期間を経て、ついに静嘉堂文庫美術館がリニューアルオープンいたしました!

静嘉堂


見た目は、そんなに・・・というか、ほとんど変わっていませんが。
空調や照明などの施設内設備がリニューアルされたのだそうです。
そう言われてみれば、僕の記憶が確かならば、かつてより明るい印象になった気がします。

そんな静嘉堂文庫美術館のリニューアルオープン一発目を飾るのが、
“金銀の系譜 ~宗達・光琳・抱一をめぐる美の世界~” という展覧会。
琳派400年の記念イヤーに相応しく、俵屋宗達や尾形光琳、酒井抱一らの作品を中心に紹介する展覧会です。


展覧会の目玉は何と言っても、国宝 《源氏物語関屋・澪標図屏風》

澪標  関屋  
国宝 《源氏物語関屋・澪標図屏風》 俵屋宗達筆 江戸時代・17世紀 静嘉堂文庫美術館蔵


画面の山々や木々、波が抽象化されて描かれていたので、
パッと見た瞬間は、「ドラクエのマップみたいだなぁ」 と、
超どうでもいいことが、頭をよぎってしまったのですが。
実は、こちらは、約3年にも及ぶ長い修理期間を終え、
約10年ぶりに公開されることになった超貴重な作品なのです。

とは言っても、ビフォー (修復前) の状態を知らなかったので、
“まぁ、色が綺麗になったくらいなんだろうなァ” と、軽く考えていたのですが。
会場にあった修復の模様を紹介したパネルを見て、驚愕。
まさに、劇的ビフォーアフターでした。
作品そのものよりも、修復に対する感動のほうが勝っていた気がします (笑)


さて、金に輝く国宝 《源氏物語関屋・澪標図屏風》 もいいですが、
今回は、銀に輝く酒井抱一による 《波図屏風》 も見逃せません!

左  右
《波図屏風》 酒井抱一筆 江戸時代・文化12(1815)年頃 静嘉堂文庫美術館蔵


いい意味で酒井抱一のイメージを裏切る大胆でダイナミックな作品です。
銀箔の継ぎ目の部分が、右隻も左隻もかなり目立っていました。
わざとなのでしょうか。
何はともあれ、そのせいで (そのおかげで?) 、どこかデジタル的で未来的な印象を受けました。
不思議な味わいの日本美術作品です。

ちなみに、酒井抱一の王道イメージを地で行くような端正な作品も数多く出展されています。
是非、会場で 《波図屏風》 と見比べてみてください。


この他にも、展覧会タイトルに偽りなしで、
琳派における金と銀の系譜を辿れるようなゴージャスで保存状態の良い作品が数多く出展されていました。
また、琳派の作品だけでなく、重要文化財の 《色絵吉野山図茶壺》 をはじめ、

色絵吉野山図茶壺」
重要文化財 《色絵吉野山図茶壺》 野々村仁清 江戸時代・17世紀 静嘉堂文庫美術館蔵


茶道具や工芸品の名品も紹介されています。
さらに、静嘉堂文庫美術館のマスターピースである国宝 《曜変天目》 も特別に出展されています。

曜変天目
国宝 《曜変天目(稲葉天目)》 南宋時代・12~13世紀 静嘉堂文庫美術館蔵


これ以上、リニューアルオープンを飾るに相応しい展覧会はないのでは?!
と断言できるくらいに、オールスター勢揃いのゴージャスな展覧会でした。
星星




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