こんばんは、アートテラーのとに~です。
おかげさまで、最近ラジオやテレビ、雑誌と、
いろいろな媒体でお仕事をさせて頂く機会が増えてきたのですが。
たまに、プロフィール紹介の際に、「元芸人」 と表現されることがあります。
正しくは、「元吉本芸人」 です。
「芸人」 の気持ちは、今でも無くしていないつもりです。
“「不安視してください、はいてませんよ」な絵画コレクション” や、
“本当はオモシロい受胎告知” など、アートを題材にしたネタも適度に発表しています。
もちろん、今でも漫才やコントのネタが浮かぶことがあります。
ただ、発表する機会が無いだけで (笑)
というわけで、たまには、芸人らしいところを見せるべく (?)、
今回は、ヌード画を鑑賞している時に頭に浮かんだ一人コントの脚本をお届けいたします。
コント 『ヌード画家のアトリエ』
「さぁ、どうぞどうぞ、そのソファに腰かけて。
どうもはじめまして。私は画家の林原です。
あなたは、絵のモデルをするのははじめてですか?
あぁ、はじめて。そう。まぁ、緊張しないでね。
今からヌード画を描こうってわけじゃないからね。
ただ、もし、その気になって、このアトリエに来たってことであれば、脱いでもらっても構わないけども。
あなたが脱ごうが脱ぐまいが、私は目の前にある美を描くだけですから・・・・・
あっ、脱がないですか。わかりました。
あのー、その足もとのカゴは、もし脱ぐ機会があったら、使ってくださいね。はい。
じゃあ、今日は服有りバージョンということで。
えっ、私ですか?今年で画家人生40年になります。主に女性像を描いていますね。
まぁ、ヌードも描きますよ。いやぁ、特別にヌードを描きたいってわけではないですけれども。
もちろんヌード以外の女性像も描きます。むしろヌード以外のほうが多いんじゃないかなぁ?
代表作ですか?そうですねー。
まぁ、 《浜辺のヌード》 とか 《微睡む裸婦》 とか。あとは、《入浴する女たち》 とか。
あ、いやいや、たまたま今挙げたのが、全部ヌード画だっただけでね !
普段はヌード画ばっかり描いているわけじゃないですよ!本当に (汗)
まぁ、そもそも私くらいのベテランになると、
仮にヌード画を描くとしても、全然イヤらしい眼でモデルさんを見てないですから。
女性のヌードを描きたいわけじゃなくて、
女性の本質的な美しさ、根源的な美しさを描きたい、もしくは、そこに宿る存在感を表現したいわけです。
だから、なんでしたっけ?あの女性の胸のふくらみ・・・あぁ、“おっぱい” って言うんでしたっけ?
そういう目で全然見てなさすぎて、その言葉を忘れていたくらいですよ。
ただの対象物、膨らんだ構造物としてしか見てない。
私にとっては、単なる高低差でしかないですよね。
むしろ無い方がいいんじゃないかなぁ?陰影をつけるのが面倒だよなぁ?って思ってるくらいです。
そういうわけでね。脱ぐなら安心してくれて構わないんだけど・・・・・やっぱり脱がない、と。
はい。じゃあ、描いていきまーす。
うん。私はね、まず顔から描いていくんですよ。こういう感じで、サッサッサッと。
で、顔をこうサラッと描いたら、今度は首筋を描いて、それから服を描いていくわけだけどね。
ここが一番難しいところ。
人間の肌と衣服という違う素材がせめぎ合う部分。
ここをいかに自然に表現するか。私の一番のこだわりと言ってもね、過言ではないね。
自分の納得いく表現になるまで、下手したら1週間以上かかるときもあるからね。
そんな私のわがままに、モデルさんを付き合せてしまうのは、本当に心苦しい!
そういう意味では、ヌードだと、せめぎ合いがないから、早く仕上がるけれども。
どうしましょうか?あ、聞いてみただけです。せめぎ合いを、頑張ります。
・・・・・・・・・・・・。
まぁ、しかし、本当にあなたは赤いワンピースがすごく似合っていますね。
その赤いワンピースが、あなたそのものを表している。そんな感じがするくらいだね。
どうだろう?逆に、その赤いワンピースだけ描いてみるというのは?
赤いワンピースを脱いでもらって、そのソファの上に置いて・・・・・。
うん。自分でも言ってて、ちょっと意味がわからなかったわ。
あー!!
参ったなー。こんなこと初めてだなー!
たまたまなんだけど、赤い絵の具だけ無いよ。切らしちゃったのかな。
どうしよう?私の中で完全にあなたは赤いワンピースのイメージだからなぁ。
今から別の服に着替えてもらうというのも・・・。
いっそ脱いでみるってのは、どうだろう?
その代わり、僕は薄目しか開けない!
見て見て。薄目。もうほとんど何も見えてないよ。
あー、じゃあ、こうしよう。完全に目をつぶる!
何も見えてない。あなたも見えてないし、キャンバスも見えてない。
ほら、今テキトーにキャンバスに殴り描きしてる!
あ、えっ、ウソ?帰っちゃう?待って待って!
はぁ~、今回もダメだったか。
(ピンポーン)
誰だろう?あぁ、君か。
今?今は、来月の個展の準備していたところだよ。
そこのキャンバスの上に、新しくチャレンジしてみた描きかけの抽象画があるだろ。」
この一人コントはフィクションであり、実在の画家との関係は一切ございません。
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一人コント『ヌード画家のアトリエ』
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