現在、千葉市美術館では、開館20周年記念展として、
“杉本博司 趣味と芸術―味占郷/今昔三部作” が開催中。
世界を代表する現代美術作家・杉本博司さんの国内では3年ぶりとなる大々的な個展です。
展覧会は大きく分けて、2つで構成されていました。
まずは、杉本さんの代表的な写真シリーズ(《ジオラマ》、《劇場》、《海景》) を紹介する 「今昔三部作」 から。
ニューヨークの杉本スタジオより来日した全16点の大判プリントが、
極限までに照明を落とした展示空間に、幻想的に浮かび上がっている光景は必見も必見です。
横幅4mを超える 《ジオラマ》 シリーズの最新作 《オリンピック雨林》 や、
《劇場》 シリーズの最新作 《テアトロ・デイ・ロッツィ、シエナ》 は日本初公開!
杉本博司ファン、現代美術ファンには、たまらない展示になっています。
嬉しいことに、今回の展覧会は写真撮影可能。
しかし、当然ながら、作品保護のためフラッシュは禁止です。
普通のデジカメでは、どうにも上手く撮れる気がしません (笑)
写真よりも、自分の心に、その光景を焼き付けた方が良いです。
さて、「今昔三部作」 の後は、ガラッとテイストが変わって、「趣味と芸術」 が始まります。
こちらは、来月で無事に連載が終了する 『婦人画報』 の 「謎の割烹 味占郷」 に絡めた展示です。
その連載企画では、杉本さんは、「味占郷」 という架空の割烹の主人という設定。
毎回、各界の著名人を招き、ゲストや季節にふさわしい床飾りと料理でもてなす企画だったそうです。
展覧会場には、連載で紹介された床飾りの再現がズラリ。
平安から江戸時代の古美術を中心に、
西洋伝来の品々や昭和の珍品を含んだ杉本さんのコレクションを、
実にオモシロく組み合わせ、意外な 「美」 を生み出しているのが、何よりも印象的でした。
例えば、寺島しのぶ夫妻を招いた際の床飾りは、
夫がフランス人ということで、18世紀のフランスの解剖図を表具に仕立てたものを。
(床に置かれているのは、鎌倉時代の水差しだそうです)
また、例えば、クリスマスの季節の床飾りは、14世紀イタリアのキリストの胸像と、
夜空に流れる星を詠んだのであろう建築家・堀口捨己の短歌を軸装したもので構成されています。
ちなみに、古代エジプトの青銅製の猫の棺と、
古代エジプトの 『死者の書』 の断片を軸装したもので構成された床飾りは・・・
吉村作治教授をゲストに迎えた際の床飾りでした。
だと思いました (笑)
さて、連載では、床飾りには植物が活けられていましたが。
会期の長い展覧会なので、植物は活けられません。
そこで、代わりに (?)、須田悦弘さんの木彫作品が活けられていました。
杉本博司さん×古美術×須田悦弘さん=最強のコラボではなかろうか。
数ある床飾りの中で、もっとも印象的だったのが、終戦記念日にちなんだ床飾り。
花入れに使われているのは、B29から投下された焼夷弾が燃え尽きた際に残った六角形の鉄筒です。
それが、壁にかけれた南北朝時代の 《大燈黒師墨跡》 と不思議なほどにマッチしているのです。
一見すると、あり得ない組み合わせなのに、
あるべき組み合わせだったような気さえするから、本当に不思議。
杉本さんのセンスがなかったら、生まれない “美” だと思います。
それから、正月の床飾りも、杉本さんのセンスが光っていました。
一休さんによる 「梅花の偈」 の軸に、竹形の水入れ。
そして、須田悦弘さんによる松葉 (←とても木彫とは思えません!) 。
松竹梅です。
ちなみに、竹形の水入れは、本物の竹ではなく、
大正期の邸宅の玄関に使われていた銅製の竹形の雨どいを、花入れとして作り直したものなのだとか。
センス、どんだけだ!
個人的には、とってもオモシロい展覧会だったのですが。
古美術に興味が無い人にとっては、シブすぎる展覧会だったかもしれません。
お客さんの数も、ちょっとシブかったような。。。
是非、多くの方に足を運んで頂きたい!
1位を目指して、ランキングに挑戦中!(現在7位です)
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“杉本博司 趣味と芸術―味占郷/今昔三部作” が開催中。
世界を代表する現代美術作家・杉本博司さんの国内では3年ぶりとなる大々的な個展です。
展覧会は大きく分けて、2つで構成されていました。
まずは、杉本さんの代表的な写真シリーズ(《ジオラマ》、《劇場》、《海景》) を紹介する 「今昔三部作」 から。
ニューヨークの杉本スタジオより来日した全16点の大判プリントが、
極限までに照明を落とした展示空間に、幻想的に浮かび上がっている光景は必見も必見です。
横幅4mを超える 《ジオラマ》 シリーズの最新作 《オリンピック雨林》 や、
《劇場》 シリーズの最新作 《テアトロ・デイ・ロッツィ、シエナ》 は日本初公開!
杉本博司ファン、現代美術ファンには、たまらない展示になっています。
嬉しいことに、今回の展覧会は写真撮影可能。
しかし、当然ながら、作品保護のためフラッシュは禁止です。
普通のデジカメでは、どうにも上手く撮れる気がしません (笑)
写真よりも、自分の心に、その光景を焼き付けた方が良いです。
さて、「今昔三部作」 の後は、ガラッとテイストが変わって、「趣味と芸術」 が始まります。
こちらは、来月で無事に連載が終了する 『婦人画報』 の 「謎の割烹 味占郷」 に絡めた展示です。
その連載企画では、杉本さんは、「味占郷」 という架空の割烹の主人という設定。
毎回、各界の著名人を招き、ゲストや季節にふさわしい床飾りと料理でもてなす企画だったそうです。
展覧会場には、連載で紹介された床飾りの再現がズラリ。
平安から江戸時代の古美術を中心に、
西洋伝来の品々や昭和の珍品を含んだ杉本さんのコレクションを、
実にオモシロく組み合わせ、意外な 「美」 を生み出しているのが、何よりも印象的でした。
例えば、寺島しのぶ夫妻を招いた際の床飾りは、
夫がフランス人ということで、18世紀のフランスの解剖図を表具に仕立てたものを。
(床に置かれているのは、鎌倉時代の水差しだそうです)
また、例えば、クリスマスの季節の床飾りは、14世紀イタリアのキリストの胸像と、
夜空に流れる星を詠んだのであろう建築家・堀口捨己の短歌を軸装したもので構成されています。
ちなみに、古代エジプトの青銅製の猫の棺と、
古代エジプトの 『死者の書』 の断片を軸装したもので構成された床飾りは・・・
吉村作治教授をゲストに迎えた際の床飾りでした。
だと思いました (笑)
さて、連載では、床飾りには植物が活けられていましたが。
会期の長い展覧会なので、植物は活けられません。
そこで、代わりに (?)、須田悦弘さんの木彫作品が活けられていました。
杉本博司さん×古美術×須田悦弘さん=最強のコラボではなかろうか。
数ある床飾りの中で、もっとも印象的だったのが、終戦記念日にちなんだ床飾り。
花入れに使われているのは、B29から投下された焼夷弾が燃え尽きた際に残った六角形の鉄筒です。
それが、壁にかけれた南北朝時代の 《大燈黒師墨跡》 と不思議なほどにマッチしているのです。
一見すると、あり得ない組み合わせなのに、
あるべき組み合わせだったような気さえするから、本当に不思議。
杉本さんのセンスがなかったら、生まれない “美” だと思います。
それから、正月の床飾りも、杉本さんのセンスが光っていました。
一休さんによる 「梅花の偈」 の軸に、竹形の水入れ。
そして、須田悦弘さんによる松葉 (←とても木彫とは思えません!) 。
松竹梅です。
ちなみに、竹形の水入れは、本物の竹ではなく、
大正期の邸宅の玄関に使われていた銅製の竹形の雨どいを、花入れとして作り直したものなのだとか。
センス、どんだけだ!
個人的には、とってもオモシロい展覧会だったのですが。
古美術に興味が無い人にとっては、シブすぎる展覧会だったかもしれません。
お客さんの数も、ちょっとシブかったような。。。
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