ビートルズやローリング・ストーンズを生んだ街、リバプール。
そんなロックな街リバプールは、19世紀にもロックな美術グループを生んでいました。
それが、ラファエル前派。
主要メンバーであるミレイやロセッティらロックな面々は、
当時の保守的でアカデミックな美術界に反逆の狼煙をあげたのです。
そして、その原因がアカデミー絵画のお手本となったラファエロにあると考えた彼らは、
「ラファエロよりも以前の初期ルネサンス美術に立ち返ろうぜ!」
という意味を込めて、ラファエル前派と名乗りました。
ラファエロが、悪いわけではないのに。
そんなラファエル前派と関わりが深いのが、彼らのホームタウンにあるリバプール国立美術館。
(・・・と言っても、そういう名の美術館が1館あるのではなく、リバプール市内及び近郊の3美術館などの総称です)
ミレイの 《いにしえの夢─浅瀬を渡るイサンブラス卿》 や、
ジョン・エヴァレット・ミレイ 《いにしえの夢─浅瀬を渡るイサンブラス卿》
1856-57年 油彩・カンヴァス © Courtesy National Museums Liverpool, Lady Lever Art Gallery
ロセッティの 《シビラ・パルミフェラ》 など、
ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティ 《シビラ・パルミフェラ》
1865-70年 油彩・カンヴァス © Courtesy National Museums Liverpool, Lady Lever Art Gallery
ラファエル前派の傑作の数々を有しています。
その珠玉のラファエル前派コレクションを、まとまった形で紹介しているのが、
Bunkamuraザ・ミュージアムで開催中の “英国の夢 ラファエル前派展” です。
(注:館内の写真撮影は、特別に許可を頂いております。)
ラファエル前派のファンは、もちろんのこと。
ラファエル前派にそこまで興味が無かった方でも、
充分楽しめるであろう王道も王道な展覧会だったというのが、率直な感想です。
王道すぎて、特に言うことが無いという、実にアートテラー泣かせの展覧会でした。
強いて言うなら、
壁紙にピンクやパープルが多用され、
会場がガーリーな印象だったことくらいでしょうか (笑)
アナスイの売り場っぽかったです。
全体を通して、「あぁ、ラファエル前派展を観たなぁ」 と満足する感じで、
特には、「コレ!!」 というずば抜けた作品は無かったような気がするのですが。
印象に残っている作品としては、
バーン=ジョーンズの巨大な水彩画 《スポンサ・デ・リバノ(レバノンの花嫁)》 があります。
解説する学芸員さんと比べると、その大きさは歴然です。
ただ、その大きさのインパクトもさることながら、
何より印象的だったのは、擬人化された北風と南風のその表情。
エドワード・コーリー・バーン=ジョーンズ 《スポンサ・デ・リバノ(レバノンの花嫁)》
1891年 水彩、グワッシュ・紙 © Courtesy National Museums Liverpool, Walker Art Gallery
なんかイラッとさせられました。
あの号泣会見をした元県会議員を彷彿とさせるポージングにも、イラッとさせられました (笑)
しかし、それを補って余りあるのが、まさに風が感じられる衣服の表現です。
首筋に疲れが溜まっても、いつまでも見上げていたくなる作品でした。
他に印象に残っている作品と言えば、ダニエル・マクリースの 《祈りの後のマデライン》 も。
パッと見た時には、美しい女性の姿しか目に飛び込んできませんでしたが。
解説パネルを読んで、びっくりぽん。
この部屋の中には、とある人物が隠れているのだそうです。
気づかなんだ。
皆様もお探しくださいませ。
ヒントは矢口真理。
ちなみに。
今回の出展作で一番好きなのは、ジェイムズ・ハミルトン・ヘイの 《流れ星》 という作品。
星空のロマンを感じる一枚です。
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英国の夢 ラファエル前派展
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