現在、江戸東京博物館では、“特別展 レオナルド・ダ・ヴィンチ ―天才の挑戦” が開催中。
こちらは、レオナルド・ダ・ヴィンチの万能の天才ぶりを余すことなく紹介した大型展覧会です。
(注:館内の写真撮影は、特別に許可を頂いております)
見どころは、何と言っても、レオナルド・ダ・ヴィンチの日本初公開が3つもあること。
まず1つ目は、アカデミア美術館素描版画室が所蔵する真筆素描の数々。
レオナルド・ダ・ヴィンチ 《子どもの研究》
1502-1503年、アカデミア美術館素描版画室
Su concessione del Ministero per i Beni e le Attività Culturali-Venezia Gallerie dell’Accademia
「あぁ、素描か・・・」
そう思った方も、多いでしょうが (何を隠そう、僕もその一人ですw)。
7点 (うち1点は弟子との共作) も来日するのは、同美術館からは過去最大級なのだとか 。
「あぁ、素描か・・・」 とは思わずに、
「おぉ、素描か!」 と思って (有難がって) 観てみると、新しい発見があるかもしれません。
ちなみに、僕は 《ユダの手の研究》 の描写力に思わず見入ってしまいました。
レオナルド・ダ・ヴィンチ 《ユダの手の研究》
1495年頃、アカデミア美術館素描版画室
Su concessione del Ministero per i Beni e le Attività Culturali-Venezia Gallerie dell’Accademia
2つ目の初来日は、『鳥の飛翔に関する手稿』 です。
こちらは、飛行することを夢見たレオナルドが、その実現のために、鳥の飛翔を観察した直筆研究ノート。
レオナルド・ダ・ヴィンチ 『鳥の飛翔に関する手稿』 第11紙葉表
1505年、トリノ王立図書館 ⓒBiblioteca Reale
レオナルド・ダ・ヴィンチ 『鳥の飛翔に関する手稿』(ファクシミリ版)
レオナルドの天才ぶりが、遺憾なく発揮されていました。
そして、和訳を読んでも、ほとんど理解出来ず、
自分の凡人ぶりが、遺憾なく浮き彫りになりました (笑)
さてさて、今回もっとも注目される初来日作品が、《糸巻きの聖母》 。
イギリスの貴族バクルー公爵家が代々所蔵し、
作品のあるイギリスと、レオナルドの故郷イタリア以外では展示されたことが無いという貴重な一枚です。
レオナルド・ダ・ヴィンチ 《糸巻きの聖母》
1501年頃、バクルー・リビング・ヘリテージ・トラスト ⓒThe Buccleuch Living Heritage Trust
聖母子の表現、手前に描かれた岩の表現。
さすがにレオナルド・ダ・ヴィンチの真筆だけあって、グッと目を奪うような引力がありました。
・・・・・・・が。
それらと比べると、背景が、なんだか凡庸なような気がします。
と、実は、それは当然で、背景は後世の加筆であるとのことでした。
どうりで、プリクラのような、合成写真のような印象を受けるはずです。
100%レオナルドの作品で無いと知って、ちょっとガッカリしましたが。
逆に、レオナルドでない部分が引き立て役となって、
改めて、レオナルドの真筆の部分のスゴさを実感できた気がします。
暴論かもしれませんが、この作品を観るためだけに、
寄託展示されているスコットランド・ナショナル・ギャラリーに行く人は少ないはず。
そういう意味では、今回、江戸東京博物館で見られる機会を逃す手はありません!
ちなみに、展覧会の終盤は、レオナルドに教えを受けたジョヴァン二・ピエトロ・リッツォーリの作品を筆頭に、
ジョヴァンニ・ピエトロ・リッツォーリ、通称ジャンピエトリーノ 《悔悛するマグダラのマリア》
1520-1525 年頃、アッカデミア・カッラーラ ⓒAccademia Carrara, Bergamo
レオナルドの工房に入門したり、レオナルドの作品にインスパイアを受けた、
レオナルド派と呼ばれる画家たちの日本初公開の作品群が紹介されていました。
カルロ・ジュゼッペ・ジェルリ 《「岩窟の聖母」 における天使の頭部》 (写真・左)
これらの作品は・・・まぁ・・・うん。
レオナルドの作品がビートたけしなら、レオナルド派の作品はたけし軍団という感じでした。
万能の天才のレオナルドも、弟子を育てる能力に関しては一流ではなかったようです。
最後に。
レオナルドの展覧会を、江戸東京博物館で開催する意味は、最後までわからずじまい。
そもそも、レオナルドが没した1519年は、江戸時代にもなっていません。
とりあえず、江戸らしさと言えば、
グッズコーナーで売ってたグッズくらいなものでした(笑)
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レオナルド・ダ・ヴィンチ―天才の挑戦
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