原美術館がキュレーターの育成や若手作家の支援を目的に開催する不定期のプロジェクト。
それが、ハラドキュメンツ。
その節目となる第10弾として開催されているのが、“佐藤雅晴―東京尾行” です。
「佐藤雅彦さん (『ピタゴラスイッチ』の生みの親) なら知ってるけど、佐藤雅晴さんって誰??」
ぶっちゃけた話、実は、そこまで期待はしていませんでした。
30分もあれば、サラサラッと観終えるだろう、と、
それを見越して、その日はスケジューリングをしていたくらいです。
しかし、予想を遥かに超える面白さで、気づけば、展覧会を観終えた頃には1時間半ほど経過していました。
おかげで、その後の打ち合わせに、すっかり遅刻。
先方に平謝りしました。
「どう責任を取ってくれるんだ!」 と言いがかりをつけたいところですが。
面白い作家を紹介してくれたので、原美術館には、むしろ感謝しなければなりませんね。
ありがとうございます。
僕は、時間を忘れるくらいにハマってしまった佐藤雅晴さんの作品。
それは、《Calling》 というアニメーション作品です。
《Calling(ドイツ編)》
アニメーション、ループ (7分)、シングルチャンネル ビデオ、2009-2010年
《Calling(日本編)》
アニメーション、ループ (7分)、シングルチャンネル ビデオ、2014年
これらの画面は、そのほんの一部。
どう見ても実写にしか思えないのですが、なんとアニメーションなのです。
撮影した実写のデータをパソコンに取り込み、photoshopを使用して、
ただひたすらにペンタブレットで忠実にトレースした (描いた) ものなのだとか。
・・・と言われたところで、きっとイメージが湧かないことでしょう。
佐藤さんご本人が、自身の作品とその制作過程を紹介した映像を、
Youtubeにアップしているのを発見しましたので、そちらをご覧くださいませ。
(注:こちらの作品は、今回の展覧会には出展されていません)
むむむ・・・。
映像を見ても、スゴすぎてよくわからなかったです (笑)
とにかく、途方もない労力がかかっていることだけは、わかりました。
ホキ美術館で何度もお仕事をさせて頂いた関係で、
超写実絵画の作品には、ちょっとやそっとじゃ驚かなくなりましたが。
まさか、その映像版ともいうべき、超写実アニメーションという新たなジャンルがあったとは!
その驚きは隠せません。
ちなみに、 《Calling》 という超写実アニメーション作品で描かれるのは、日常の何気ないシーンばかり。
全てのシーンに共通しているのは、唐突に着信音が鳴り響くということ。
ただそれだけの映像作品です。
「・・・えっ?それのどこが面白いの??」
と、思われた方も多いことでしょう。
僕も、上の文章を自分で読み返して、そう思いました (笑)
しかし、言葉では到底表現できない妙な吸引力が、この作品にはあるのです。
少しでも気になった方は、ダマされたと思って、ちょっと観に行ってみてください。
(ただし、ダマされたというクレームは受け付けませんw)
さて、今回の展覧会では、佐藤さんの新作となる 《東京尾行》 という映像作品も公開されています。
これまでの作品同様に、実写をトレースするというスタイルは変わらないのですが。
決定的に違うのは、実写映像の全部をトレースするのではなくて、
その一部だけをトレースし、アニメーションで表現していること。
いわば、実写とアニメーションが融合した作品です。
とは言え、『ロジャー・ラビット』 (←例えが古い・・・) のような感じではありません。
そこは、やはり佐藤雅晴ワールド。
こちらの作品にも、妙な吸引力がありました。
(作品の一部は、展覧会トレーラー映像で視聴できます)
久しぶりに中毒性のある作品に出逢いました。
期間中に、もう一度、いや、もう二三度、足を運ぼうかと思っています。
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ハラドキュメンツ 10 佐藤雅晴―東京尾行
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