国立西洋美術館で開催中の “日伊国交樹立150周年記念 カラヴァッジョ展” には、もう行かれましたか?
「まだ・・・」 という方は、今すぐにでも上野に向かった方がいいです!
(あ、でも、せっかくだから、記事を最後まで読んでから、向かって頂きたいです。)
・・・と、このように、オススメする気持ちが溢れてしまうくらいに、スゴい展覧会でした。
もちろん3ツ星。
こちらは、西洋美術史上最も偉大な芸術家のひとり・カラヴァッジョの大々的な回顧展です。
イタリアではお札の肖像画になるほどの国民的画家なのですが、
日本では、まだそこまで名前が浸透していないカラヴァッジョ。
どんな人物なのか、簡単に解説しておきましょう。
作者不詳 《カラヴァッジョの肖像》 1617年頃
ローマ、サン・ルーカ国立アカデミー Roma,Accademia Nazionale di San Luca
本名は、ミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴァッジョ (1571~1610) 。
ルーベンスやレンブラント、フェルメールといったバロックの巨匠たちに多大な影響を与えた画家です。
アーティストとしての才能は申し分が無いのですが。
性格には、やや・・・というか、かなり問題がありました。
暴行や名誉棄損で裁判沙汰になることしばし、
はては殺人事件を起こし、その結果、死刑宣告を受け、
逃亡生活の果てに38歳という若さであっけなく人生を終えてしまいます。
フィクションの人物なのではないかというくらいに、破天荒な人生を送った人物です。
そういうわけで、カラヴァッジョの真筆作品は少なく、現在確認されているのは60点ほどしかありません。
(フェルメールの真筆作品の2倍弱といったところ) 。
しかも、そのうちの多くが移動不可能と言われています。
そんなカラヴァッジョの希少な作品が、
今回の展覧会には、なんと11点も出展されているのです!!
今回の展覧会には、なんと11点も出展されているのです!!
(↑大事なことなので二度言いましたよ。)
日本初公開となる 《バッカス》 や、
カラヴァッジョ 《バッカス》 1597-98年頃
フィレンツェ、ウフィツィ美術館
© Alinari, Licensed by AMF, Tokyo / DNPartcom Reproduced with the permission of Ministero per i Beni e le Attività Culturali
まるで舞台のような臨場感がある 《ナルキッソス》 、
カラヴァッジョ 《ナルキッソス》 1599年頃
ローマ、バルベリーニ宮国立古典美術館 per concessione del Ministero dei Beni e delle Attività Culturali e del Turismo
熊切あさ美にちょっと似た泥棒を描いた 《女占い師》 など、
カラヴァッジョ 《女占い師》 1597年頃
ローマ、カピトリーノ絵画館 ©Archivio Fotografico dei Musei Capitolini
画集で何度も目にしたことがあるカラヴァッジョの代表作の数々が世界中から集結していました。
よくこれだけ集まったものです。
もはや奇跡と言っても過言ではないでしょう。
そのせいか、これまで訪れたどの展覧会よりも、いい意味で、会場がピりついていた印象を受けました。
僕もでしたが、会場にいたお客さん全員が、息を止めていたのではないでしょうか (笑)
さて、今回出展されている11点のカラヴァッジョ作品の中で感銘を受けたのは、
カラヴァッジョ 《果物籠を持つ少年》 1597年頃
ローマ、ボルゲーゼ美術館 © Alinari, Licensed by AMF, Tokyo /DNPartcom Reproduced with the permission of Ministero per i Beni e le Attivita Culturali
《果物籠を持つ少年》 です。
超どうでもいい情報なのですが、僕は果物があまり得意ではありません。
そんな僕ですら、この作品に描かれた果物を観て、「美味しそっ!」 と思ってしまいました。
瑞々しい味と、甘い香りまで感じられた気がします。
それと、《トカゲに噛まれる少年》 も感銘を受けた一枚です。
カラヴァッジョ 《トカゲに噛まれる少年》 1596-97年頃
フィレンツェ、ロベルト・ロンギ美術史財団 Firenze, Fondazione di Studi di Storia dell'Arte Roberto Longhi
写真が当たり前である現代の僕らとは違って、
カラヴァッジョが活躍した時代には、当然カメラはありません。
にもかかわらず、トカゲに噛まれた一瞬の表情を、完璧に再現。
まるでスマホで撮影した写真かのようです。
カラヴァッジョの天才ぶりが遺憾なく発揮された作品でした。
ただ、一つだけ残念だったのは、リアクション芸としては、いまひとつなところ (笑)
出川哲郎か上島竜平なら、もっといいリアクションを取るはずです。
でも、やっぱり個人的にイチオシなのは、《法悦のマグダラのマリア》 でしょうか。
カラヴァッジョ 《法悦のマグダラのマリア》 1606年 個人蔵
カラヴァッジョが死ぬ間際に携えていたという3点の絵画のうちの1点とされる作品です。
実は、こちらの作品は、とある個人コレクションの中から、2014年に発見されたばかり。
公開されるのは、なんと今回のカラヴァッジョ展が初めて!
つまり、日本初どころか世界初公開作品なのです!!
その事実を一旦脇に置いたとしても、素晴らしい作品でした。
画面左上の仄明るい赤い光が、実に神秘的。
すーっと吸い込まれそうになりました。
ちなみに。
今回の展覧会は、時系列ではなく、テーマ (主題) ごとに章立てされていたのですが。
「風俗画」 や 「静物」 「肖像」 と並んで、「斬首」 という斬新な章があったのには驚かされました。
カラヴァッジョ 《メドゥーサ》 1597-98年頃 個人蔵
《メドゥーサ》 を筆頭に、首だけの絵画や斬首シーンを描いた作品の数々が紹介されています。
どういう感情で、このコーナーを楽しめばいいのか謎 (笑)
・・・・・と、終始、カラヴァッジョの作品しか紹介してきませんでしたが。
展覧会には、カラヴァッジョの作品だけでなく、
カラヴァッジョに影響を受けた画家 (=カラヴァジェスキ) たちの作品も紹介されています。
カラヴァッジョの作品と見比べてしまうと、やや物足りない感は否めませんでしたが。
全部が全部というわけではありません。
オラツィオ・ジェンティレスキの 《スピネットを弾く聖チェチリア》 には、
カラヴァッジョの作品と同じか、もしくは、それ以上に惹き付けられました。
オラツィオ・ジェンティレスキ 《スピネットを弾く聖チェチリア》
1618-21年 ペルージャ、ウンブリア国立美術館 Per gentile concessione della Galleria Nazionale dell'Umbria
カラヴァッジョの作品には無い優しい空気感があります。
今回の展覧会の清涼剤的な存在でした。
1位を目指して、ランキングに挑戦中!(現在7位です)
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「まだ・・・」 という方は、今すぐにでも上野に向かった方がいいです!
(あ、でも、せっかくだから、記事を最後まで読んでから、向かって頂きたいです。)
・・・と、このように、オススメする気持ちが溢れてしまうくらいに、スゴい展覧会でした。
もちろん3ツ星。
こちらは、西洋美術史上最も偉大な芸術家のひとり・カラヴァッジョの大々的な回顧展です。
イタリアではお札の肖像画になるほどの国民的画家なのですが、
日本では、まだそこまで名前が浸透していないカラヴァッジョ。
どんな人物なのか、簡単に解説しておきましょう。
作者不詳 《カラヴァッジョの肖像》 1617年頃
ローマ、サン・ルーカ国立アカデミー Roma,Accademia Nazionale di San Luca
本名は、ミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴァッジョ (1571~1610) 。
ルーベンスやレンブラント、フェルメールといったバロックの巨匠たちに多大な影響を与えた画家です。
アーティストとしての才能は申し分が無いのですが。
性格には、やや・・・というか、かなり問題がありました。
暴行や名誉棄損で裁判沙汰になることしばし、
はては殺人事件を起こし、その結果、死刑宣告を受け、
逃亡生活の果てに38歳という若さであっけなく人生を終えてしまいます。
フィクションの人物なのではないかというくらいに、破天荒な人生を送った人物です。
そういうわけで、カラヴァッジョの真筆作品は少なく、現在確認されているのは60点ほどしかありません。
(フェルメールの真筆作品の2倍弱といったところ) 。
しかも、そのうちの多くが移動不可能と言われています。
そんなカラヴァッジョの希少な作品が、
今回の展覧会には、なんと11点も出展されているのです!!
今回の展覧会には、なんと11点も出展されているのです!!
(↑大事なことなので二度言いましたよ。)
日本初公開となる 《バッカス》 や、
カラヴァッジョ 《バッカス》 1597-98年頃
フィレンツェ、ウフィツィ美術館
© Alinari, Licensed by AMF, Tokyo / DNPartcom Reproduced with the permission of Ministero per i Beni e le Attività Culturali
まるで舞台のような臨場感がある 《ナルキッソス》 、
カラヴァッジョ 《ナルキッソス》 1599年頃
ローマ、バルベリーニ宮国立古典美術館 per concessione del Ministero dei Beni e delle Attività Culturali e del Turismo
熊切あさ美にちょっと似た泥棒を描いた 《女占い師》 など、
カラヴァッジョ 《女占い師》 1597年頃
ローマ、カピトリーノ絵画館 ©Archivio Fotografico dei Musei Capitolini
画集で何度も目にしたことがあるカラヴァッジョの代表作の数々が世界中から集結していました。
よくこれだけ集まったものです。
もはや奇跡と言っても過言ではないでしょう。
そのせいか、これまで訪れたどの展覧会よりも、いい意味で、会場がピりついていた印象を受けました。
僕もでしたが、会場にいたお客さん全員が、息を止めていたのではないでしょうか (笑)
さて、今回出展されている11点のカラヴァッジョ作品の中で感銘を受けたのは、
カラヴァッジョ 《果物籠を持つ少年》 1597年頃
ローマ、ボルゲーゼ美術館 © Alinari, Licensed by AMF, Tokyo /DNPartcom Reproduced with the permission of Ministero per i Beni e le Attivita Culturali
《果物籠を持つ少年》 です。
超どうでもいい情報なのですが、僕は果物があまり得意ではありません。
そんな僕ですら、この作品に描かれた果物を観て、「美味しそっ!」 と思ってしまいました。
瑞々しい味と、甘い香りまで感じられた気がします。
それと、《トカゲに噛まれる少年》 も感銘を受けた一枚です。
カラヴァッジョ 《トカゲに噛まれる少年》 1596-97年頃
フィレンツェ、ロベルト・ロンギ美術史財団 Firenze, Fondazione di Studi di Storia dell'Arte Roberto Longhi
写真が当たり前である現代の僕らとは違って、
カラヴァッジョが活躍した時代には、当然カメラはありません。
にもかかわらず、トカゲに噛まれた一瞬の表情を、完璧に再現。
まるでスマホで撮影した写真かのようです。
カラヴァッジョの天才ぶりが遺憾なく発揮された作品でした。
ただ、一つだけ残念だったのは、リアクション芸としては、いまひとつなところ (笑)
出川哲郎か上島竜平なら、もっといいリアクションを取るはずです。
でも、やっぱり個人的にイチオシなのは、《法悦のマグダラのマリア》 でしょうか。
カラヴァッジョ 《法悦のマグダラのマリア》 1606年 個人蔵
カラヴァッジョが死ぬ間際に携えていたという3点の絵画のうちの1点とされる作品です。
実は、こちらの作品は、とある個人コレクションの中から、2014年に発見されたばかり。
公開されるのは、なんと今回のカラヴァッジョ展が初めて!
つまり、日本初どころか世界初公開作品なのです!!
その事実を一旦脇に置いたとしても、素晴らしい作品でした。
画面左上の仄明るい赤い光が、実に神秘的。
すーっと吸い込まれそうになりました。
ちなみに。
今回の展覧会は、時系列ではなく、テーマ (主題) ごとに章立てされていたのですが。
「風俗画」 や 「静物」 「肖像」 と並んで、「斬首」 という斬新な章があったのには驚かされました。
カラヴァッジョ 《メドゥーサ》 1597-98年頃 個人蔵
《メドゥーサ》 を筆頭に、首だけの絵画や斬首シーンを描いた作品の数々が紹介されています。
どういう感情で、このコーナーを楽しめばいいのか謎 (笑)
・・・・・と、終始、カラヴァッジョの作品しか紹介してきませんでしたが。
展覧会には、カラヴァッジョの作品だけでなく、
カラヴァッジョに影響を受けた画家 (=カラヴァジェスキ) たちの作品も紹介されています。
カラヴァッジョの作品と見比べてしまうと、やや物足りない感は否めませんでしたが。
全部が全部というわけではありません。
オラツィオ・ジェンティレスキの 《スピネットを弾く聖チェチリア》 には、
カラヴァッジョの作品と同じか、もしくは、それ以上に惹き付けられました。
オラツィオ・ジェンティレスキ 《スピネットを弾く聖チェチリア》
1618-21年 ペルージャ、ウンブリア国立美術館 Per gentile concessione della Galleria Nazionale dell'Umbria
カラヴァッジョの作品には無い優しい空気感があります。
今回の展覧会の清涼剤的な存在でした。
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