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Channel: アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】
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展覧会のタイトルに関する説(前編)

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アートテラー・とに~が、自らが信じるを持ち寄り検証していく新企画。

水曜日



記念すべき第1回は、年間300以上のペースで展覧会を訪れる中で、
ふと気が付いた展覧会のタイトルに関する説をプレゼンしたいと思います。

まずは、こちらをご覧ください。

ポーラ  


ポーラ美術館で開催された “紙片の宇宙” という展覧会。
そのサブタイトルは、「シャガール、マティス、ミロ、ダリの挿絵本」 となっていました。

続いて、こちらをご覧ください。

ラブ店


森美術館の10周年記念展として開催された “LOVE展:アートにみる愛のかたち”
そのサブタイトルは、「シャガールから草間彌生、初音ミクまで」 でした。

どちらも、特にシャガールがメインの展覧会というわけではありません。
シャガールは、出展作家の一人に過ぎないのです。
ただ、この展覧会に限らず、シャガールの名をよく見かける気がするのです。
出展作家の中にシャガールがいたら、タイトルの一部にシャガールの名前を入れる。
そんなフォーマットが、美術界に存在しているのではないでしょうか。

そこで今回、僕が提唱したい説は、こちらです。

シャガール



この説を検証するために、2000年以降に日本で開催された展覧会をリサーチ。
1500以上の展覧会の中から、

“ポスター芸術の巨匠たち ロートレックからウォーホルへ” (サントリー美術館)
“「美女の図、美男の図~藤田嗣治、高野三三男から現代作家まで」展” (目黒区美術館)
“大地図展 フェルメールも描いたブラウの世界地図” (東洋文庫ミュージアム)

・・・のように、芸術家のネームバリューを当て込んだと思われるタイトルの展覧会を抽出。
(個展や2人展のように、その芸術家をフィーチャーした展覧会は含まず)

それら約300の展覧会のタイトルに芸術家の名前が登場するたびに、回数をカウント。
その結果をもとに、「名前使われがち芸術家ランキング」 を独自に作成いたしました。

果たして、シャガールが1位なのでしょうか?


「名前使われがち芸術家ランキング」 第10位

ウィーン  ポーランド


“ウイーン美術アカデミー名品展 
 -ルネサンスから近代まで-クラナハ、ルーベンス、レンブラント”
(損保ジャパン東郷青児美術館)
“ポーランドの至宝 レンブラントと珠玉の王室コレクション” (東京富士美術館) 
“川村記念美術館「絵画の森」 レンブラント、印象派、現代の巨匠たち・・・” (DIC川村記念美術館) ・・・etc

レンブラント 14回

日本には油彩作品が少ないこともあり、
レンブラントの作品は、展覧会の目玉となること間違いなし。
それゆえ、名前を使いたくなってしまうのでしょう。
国立西洋美術館で開催された “奇想の自然-レンブラント以前の北方版画” のような使われ方も。



「名前使われがち芸術家ランキング」 第9位

マティス  マティス


“フランス近代絵画 光と色彩のひみつ 
 ―印象派、ボナール、マティスらの技法と表現―”
(上原近代美術館)
“色彩の瞬き スーラの点描主義からマティスのフォーヴィスムまで” (ポーラ美術館)
“春の特別展「音に恋した美術展」 ストラディバリ・マティス・シャガール・久保守・金沢健一” ・・・etc

マティス 17回

「色彩の魔術師」 と謳われるだけあって、色彩をテーマにした展覧会で確実に評を獲得。
代表作の 《ジャズ》 から、音をテーマにした展覧会で使われることも。



「名前使われがち芸術家ランキング」 第8位

若冲  若冲


“江戸絵画の真髄 秘蔵の若冲、蕭白、応挙、呉春の名品、初公開!!” (東京富士美術館)
“京都 細見美術館展 PartⅡ 琳派・若冲と雅の世界” (そごう美術館)
“我が名は鶴亭  若冲、大雅も憧れた花鳥画!?” (長崎歴史文化博物館) ・・・etc

伊藤若冲 18回


このようなランキングでも、伊藤若冲人気は健在でした。
江戸美術の展覧会では、もはや常連といったところ。
演歌番組における氷川きよしのポジションか。
“朝鮮王朝の絵画と日本 宗達、大雅、若沖も学んだ隣国の美” (仙台市博物館) や、
“唐画もん 武禅に閬苑、若冲も” (千葉市美術館) のように、チョイ役的な使われ方も。



「名前使われがち芸術家ランキング」 第7位

北斎  北斎


“幕末浮世絵アラカルト 北斎・広重・国貞・国芳らの世界―大江戸の賑わい” (刈谷市美術館)
“海に生きる・海を描く ~応挙・北斎から杉本博司まで~” (千葉市美術館) 
“パリを魅了した江戸の華
 ―北斎・写楽・歌麿 ギメ東洋美術館所蔵浮世絵名品展”
(大阪市立博物館) ・・・etc

葛飾北斎 19回


アメリカの 『ライフ』 誌が企画した 「この1000年間に偉大な業績をあげた世界の人物100人」 に、
唯一日本人としてエントリーされた葛飾北斎が、名前頼られがちという業績により第7位にランクイン。
“写楽、北斎、広重 参上。平木コレクション特別公開!浮世絵の美展” のように、
浮世絵全般をテーマにした展覧会のサブタイトルには、かなりの高確率で名前が使われがちでした。



「名前使われがち芸術家ランキング」 第6位

広島県立美術館  水の音  


“日本の美 三千年の輝き ニューヨーク バーク・コレクション展
 縄文から琳派、若冲、広重まで”
(広島県立美術館)
“水の音 広重から千住博まで” (山種美術館)
“遊べや遊べ!子ども浮世絵展 歌麿や広重も描いた江戸の子宝” (京都文化博物館) ・・・etc

歌川広重 24回


北斎と同じ理由で、歌川広重がランクイン。
北斎よりもクセが少ないからでしょうか、広重の方が回数はやや上回っていました。



果たして、シャガールが1位となって、説は立証となるのか?!

後編へ続く↓
http://ameblo.jp/artony/entry-12137265470.html

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