Quantcast
Channel: アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】
Viewing all articles
Browse latest Browse all 5005

生誕290年記念 勝川春章と肉筆美人画 ― 〈みやび〉の女性像

$
0
0

2016年2月11日。
浮世絵界を激震させるニュースが報じられました。

北斎の師、勝川春章は17歳若い? 虫食い跡から新説


勝川春章といえば、現在、太田記念美術館にて、生誕290年を記念して、
勝川春章を大々的にフィーチャーした “生誕290年記念 勝川春章―北斎誕生の系譜” が開催中です。
でも、17歳若いということは、今年2016年は勝川春章生誕273年の年ということ。
かなり中途半端な年です。
(生誕290年でも、そもそ中途半端な数字でしたがw)


17歳若返ったからといって、勝川春章の素晴らしさは変わりませんが。
どうせ判明するなら、きっと太田記念美術館的には、
展覧会が終わった後に発覚して欲しかったことでしょう。


と、そんな被害をこうむった (?) 美術館が、実はもう一つあります。
出光美術館です。
こちらでは、2月20日より、やはり勝川春章の生誕290年を記念した・・・

Kつ側


“生誕290年記念 勝川春章と肉筆美人画 ― 〈みやび〉の女性像” が開催されています。
太田記念美術館の展覧会でフォーカスされていたのは、勝川春章の浮世絵。
出光美術館の展覧会でフォーカスされているのは、勝川春章の肉筆美人画です。


見どころは何と言っても、勝川春章の最晩年に描かれたという 《美人鑑賞図》

美人鑑賞図


美女たちが、絵を鑑賞しています。
そんな美女たちの姿を、僕らが観賞。
今から200年以上前の作品とは思えないほど、
彩色が今もなお鮮やかで、思わず息を呑んでしまいました。
「美女の膝にちょこんと座る猫が、ちょっと小さすぎるんじゃないか?」 とか
「いくらなんでも、狭い部屋に女子が集まりすぎなんじゃないか?」 とか思いましたが。
彩色の鮮やかさで、帳消しでした (←?) 。

ちなみに、トピックとして紹介されていましたが、
こちらの作品は、鳥文斎栄之の錦絵 《福神の軸を見る美人》 と構図が非常によく似ているそうです。
確かに、似ているというか、丸かぶりでした。
時代が時代なら、ネット民が黙っていないレベル。
Google 画像検索が無い時代で良かったですね。


この他にも、出光美術館のコレクションを中心に、
勝川春章の肉筆美人画の数々が紹介されていました。

桜下三美人図  《桜下三美人図》

石橋図  《石橋図》


どの作品も実に彩色が鮮やか。
特に着物の艶やかさは、絶品です。

今回の展覧会では、宮川長春、礒田湖龍斎など、
勝川春章以外の浮世絵師の肉筆美人画も紹介されていましたが。
着物の表現に関しては、勝川春章が他のどの浮世絵師よりも頭一つ抜けていました。

・・・・・と思っていたら、

更衣美人図  重要文化財 《更衣美人図》

娘と童子図  《娘と童子図》


展覧会の最後で紹介されていた喜多川歌麿の2点の肉筆美人画が、
それまでの勝川春章の印象を、簡単に吹き飛ばしてしまいました。
それくらいに、喜多川歌麿の肉筆美人画は別格です。
最強すぎ。


勝川春章はスゴい。
でも、喜多川歌麿はもっとスゴい。
今回の展覧会の意図するところとは違うのでしょうが、そう感じざるをえませんでした。
星




1位を目指して、ランキングに挑戦中!(現在7位ですアップ
下のボタンをポチッと押して頂けると嬉しいです!

Blogランキングへ  にほんブログ村 美術ブログへ


Viewing all articles
Browse latest Browse all 5005

Trending Articles