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Channel: アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】
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生誕150年 黒田清輝-日本近代絵画の巨匠

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今年2016年は、日本近代洋画の父と呼ばれた黒田清輝の生誕150周年の節目の年。
それを記念して、東京国立博物館にて、
“特別展 生誕150年 黒田清輝-日本近代絵画の巨匠” が大々的に開催されています。

展覧会
(注:館内の写真撮影は、特別に許可を頂いております。)


教科書や切手でもお馴染みの 《湖畔》 や、

湖畔  重要文化財 黒田清輝 《湖畔》
1897年(明治30) カンヴァス、油彩 東京国立博物館蔵



発表当時、一大センセーショナルを巻き起こしたという 《智・感・情》 を筆頭に、

智・感・情  重要文化財 黒田清輝 《智・感・情》
1899年(明治32) カンヴァス、油彩 東京国立博物館蔵



初期から晩年までの黒田清輝の代表作の数々が、日本中から大集結!

会場

会場  会場s


さらには、師匠であるコランやミレーなど、

ミレー  ジャン=フランソワ・ミレー 《羊飼いの少女》
1863年頃 カンヴァス、油彩 オルセー美術館蔵
ⒸRMN-Grand Palais (musée d'Orsay)/Michel Urtado/distributed by AMF



フランスの留学時代に影響を受けた画家たちの作品も来日!!

コラン  フランス


まさに生誕150年の記念イヤーに相応しい、空前絶後のスケールの黒田清輝の回顧展です。


正直に言いますと、個人的には、あまり黒田清輝のことは好きではありませんでした。
日本洋画界の重鎮であり、アカデミズムの創設者であり、
帝国美術院院長や貴族院議員などを歴任していることから、

“黒田清輝=ザ・権威”

というイメージを抱いていました。
教師ドラマでいうところの、学園理事長やPTA会長のポジション。
絶対に悪いヤツに決まっています。

ところが。
丁寧に彼の半生を紹介した今回の展覧会を通じて、黒田清輝に対するイメージが変わりました。
いい意味で、大物感が無くなりました (笑)
僕の中での黒田清輝像が、二回りくらい小さくなった気がします。

師匠のコランに、「日本に帰ったら絵がヘタになった」 と言われてしまったり、
西洋に倣ってヌード画を発表したら、世間から激しくバッシングを浴びてしまったり、
晩年になっても、自らの絵の腕に納得がいかなかったり、と、黒田清輝も悩み多き人間だったのですね。

また、全身全霊をかけて打ち込んだ大作 《昔語り》 や、
中央停車駅皇室用玄関の壁画が、戦災で失われてしまって現存しないというツキのない (?) 一面も。
意外と、もっていない人物です。

昔語り  壁画


黒田清輝の作品を好きになるよりも、
黒田清輝という人間が好きになる展覧会でした。
星星


とても見応えがある展覧会だったのですが、
一つ気になったのは、もろに中高年層にターゲットを絞っていたこと。

きみまろ  綾小路


なにせ、音声ガイドが綾小路きみまろです (笑)
ガイド内で、「中高年」 とか 「老眼鏡」 といったキーワードが、ちょくちょく登場していました。
中高年層は笑えるでしょうが、若い人はポカンでしょう。


最後に。
とっても気になったミュージアムグッズをご紹介いたします。

なりきり


《湖畔》 の女性が手にしたうちわを完全再現した 「湖畔なりきりうちわ」 。
中高年の皆々様が、このうちわを手にしたからと言って、
《湖畔》 の女性のようになれるというわけではないのです!
・・・・・一言多かった事を心からお詫び申し上げます (←きみまろ風)。




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