JR東京駅丸の内北口改札を抜けると、そこは東京ステーションギャラリーだった。
その東京ステーションギャラリーで、
現在開催されているのが、“川端康成コレクション 伝統とモダニズム” という展覧会。
日本人初のノーベル賞作家として知られる川端康成の美術コレクションを紹介する展覧会です。
川端康成と美術。
いまいちピンと来ない方も多いでしょうが。
実は、川端康成は、美術や骨董に深い関心を持っていた人物でした。
気に入った作品があれば、そのまま自宅に持って帰ってしまい、支払いを忘れることしばし。
そんな骨董屋泣かせなエピソードも伝わっているようです。
さて、川端康成の美術コレクションには、埴輪や土偶といった考古品もあれば、
埴輪 《乙女頭部》 古墳時代(5-6世紀) 公益財団法人川端康成記念会蔵
古賀春江や草間彌生といった洋画もあり、
古賀春江 《煙火》 1927(昭和2)年 公益財団法人川端康成記念会蔵
さらには、国宝の浦上玉堂の 《凍雲篩雪図》 もあり、
浦上玉堂 国宝 《凍雲篩雪図》
江戸時代(19世紀初) 公益財団法人川端康成記念会蔵
(注:展示期間は4月23日~5月8日です)
はたまた、ピカソやルノワールのデッサンや、
ロダンの彫刻に、黒田辰秋の工芸品なんかもありました。
良く言えばバリエーションが豊か。
(あえて) 悪く言えば、何でもござれ。
一見すると、やみくもに収集されたような感じがしますが。
不思議と、まとめて展示されると、なんとなく調和していると言いますか。
集まるべくして集まったメンバーといったような気がしました。
「川端康成のコレクション」 という先入観があって観たから、というのもありますが。
どの作品にも、どこか文学的な奥行きがある印象を受けました。
川端康成の美術コレクターとしての才能を堪能できる展覧会です。
個人的に嬉しかったのは、東山魁夷の作品群が観られたこと。
その中でも、《北山初雪》 が特にお気に入りです。
東山魁夷 《北山初雪》 1968(昭和43)年 公益財団法人川端康成記念会蔵
ちなみに、こちらの作品は、川端康成がノーベル賞を受賞した際に、プレゼントされたものなのだとか。
ノーベル賞を取るくらいの人物になると、いろいろと素敵なことが待っているのですね~。
さてさて、今回の展覧会では、美術コレクションだけでなく、
文学者としての川端康成にも、スポットが当てられていました。
太宰治が川端康成に、芥川賞をくださいと懇願した手紙 (直筆!) も展示されています。
中でも、注目は一昨年に発見されたばかりの川端康成の初恋に関する手紙の数々。
最終的には、一方的に婚約破棄されてしまう伊藤初代なる人物との手紙が展示されていました。
「川端康成の伊藤初代宛未投函の書簡」
1921(大正10)年11月1日以降 公益財団法人川端康成記念会蔵
逆に、ノーベル賞を取るくらいの人物になると、プライバシーが無いのですね~。
しかし、手紙という形だから、まだ展示されても、様になっていますが。
もし、100年後200年後に、これから活躍する芸術家や文学者の展覧会が開催されたら、
初恋の人とのラインのやり取りがキャプチャされて、展示されることになるのでしょうか。。。
きっと風情はないですよね。
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川端康成コレクション 伝統とモダニズム
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