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Channel: アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】
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没後40年 髙島野十郎展-光と闇、魂の軌跡

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高島  髙島野十郎氏 (ポートレート写真) 1952年 撮影:片山攝三


家族も持たず、画壇とも一切関わることなく、
85年の生涯をひっそりと終えた “孤高の画家” 髙島野十郎。
生前はほとんど評価されることがありませんでしたが、
没後に福岡県立美術館で開催された展覧会を機に、再評価の機運が高まり、
ここ数年は、『日曜美術館』 や 『美の巨人たち』 の影響もあって、さらに人気が上昇しています。

そんな髙島野十郎の没後40年を記念する大々的な展覧会、
“没後40年 髙島野十郎展-光と闇、魂の軌跡” が、6月5日まで目黒区美術館で開催中です。


これまで、1、2点の髙島野十郎作品を目にすることはありましたが。
今回のように、まとまった形 (=約140点!) で髙島野十郎作品を観るのは初めてでした。
その率直な感想は、

「濃っ!!」

の一言でした (笑)
とにかく、作品一つ一つが濃厚も濃厚。
これでもかというくらいに、細部まで描き込まれています。
さらには、情念のようなものがたっぷり塗り込められています。

自画像  《りんごを手にした自画像》 油彩・画布 大正12年 福岡県立美術館

けし  《けし》 油彩・画布 大正14年 三鷹市美術ギャラリー

からすうり  《からすうり》 油彩・画布 制作年不詳 個人蔵


日本中を旅したという髙島野十郎の風景画も良かったのですが。

流  《流》 油彩・画布 昭和32年頃 杏林大学

石神井池  《石神井池》 油彩・カンバスボード 昭和40年頃 福岡県立美術館


個人的には、静物画のほうに引きこまれました。

百合とヴァイオリン  《百合とヴァイオリン》 油彩・画布 大正10年代頃 目黒区美術館

割れた皿  《割れた皿》 油彩・板 昭和33年頃 福岡県立美術館


静かなのに迫力が、ハンパないです。
思わず足がすくみます。思わず息も止まります。
蛇に睨まれた蛙の気持ちが、よくわかりました (←?)。
これほどまでに絵の世界にどっぷり引きこまれた (引きずり込まれた?) 体験は、初めてかもしれません。


それ以上に引きこまれたのが、月を描いた一連の作品群です。

月  《月》 油彩・板 昭和37年頃 個人蔵

満月  《満月》 油彩・板 昭和38年頃 東京大学医科学研究所


月そのものよりも、闇を描きたかったという髙島野十郎。
確かに、月が照らす空間の表現が素晴らしかったです。
本物の月夜以上に、月夜でした (←?)


ちなみに、髙島野十郎には、「蠟燭の画家」 という異名があります。
それだけに、最後の展示室には、

福岡  《蝋燭》 油彩・板 大正時代 福岡県立美術館


久留米  《蝋燭》 油彩・板 制作年不詳 久留米市


彼の 《蝋燭》 作品がビッシリと展示されていました!
まるで、ひとつのインスタレーション作品のようでした。
ただ、静物画や月のシリーズに圧倒され過ぎたせいか、
肝心の髙島野十郎の代名詞とも言える 《蝋燭》 シリーズは、そこまで大きな感動はありませんでした。
彼の作品としては、あっさり気味なので。

スゴい作品をいっぱい生み出しているにも関わらず
蝋燭の絵をたくさん残してるばっかりに、「蠟燭の画家」 とラベル付されてしまったのは、
髙島野十郎的には、あまり好ましい事態ではなかったのではなかろうか。
いろいろと俳優業をしているにも関わらず、
すっかり 「ハムの人」 で定着してしまった別所哲也に近いものがある気がします (笑)


何はともあれ。
久しぶりに強烈なインパクトを受けた展覧会でした!
昨年の “没後30年 鴨居玲展 踊り候え” 以来のインパクト。
オススメです!
星星星


というわけで、髙島野十郎展も巡るアートツアーを、
急遽、来月5日 (=展覧会最終日) に開催することにしました!
この機会に是非♪
募集はこちらから↓
現在募集中のアートツアー




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