ついに、と言いましょうか、ようやく、と言いましょうか。
国立国際美術館を初訪問してまいりました!
現在、開催されているのは・・・
“森村泰昌:自画像の美術史―『私』と『わたし』が出会うとき” という展覧会。
こちらは、名画や有名人になりきるセルフポートレイト作品の美術家として知られ、
ヨコハマトリエンナーレ2014のアーティスティックディレクターを務めた森村泰昌さんの最新展です。
なんとなく、森村さんの展覧会は、毎年どこかしらで開催されているイメージがあるので、
「へぇ、またやるんだァ」
くらいにしか思っていなかったのですが。
大阪生まれ、大阪在住の森村さんが、地元大阪で個展を開催するのは、実は今回が初めてとのこと。
それだけに、かなり気合が入った展覧会に仕上がっていました。
まず展覧会は、芸術家・森村泰昌として鮮烈なデビューを飾ったという、
京都のギャラリー16での伝説的展覧会 “ラデカルな意志のスマイル” の完全再現から始まります。
さらに、森村さんが美術に触れる前のポートレイト写真・・・つまり、
単に普通の若き日のポートレイト写真も合わせて展示されていました。
この時点で何か面白そうな予感がプンプンしています。
しかも、会場は全室写真撮影OK!
そんなところからも、気合が感じられます。
さて、ここから、新作や代表作、未発表作を含む、
約130点ものセルフポートレイト作品が怒涛のごとく展開されます。
レオナルド・ダ・ヴィンチにはじまり、
デューラーにカラヴァッジョに、
ゴッホにマグリットに。
レンブラントの部屋があれば、
スペインの画家ゴヤの 《ロス・カプリチョス》 シリーズが展開する部屋や、
フリーダ・カーロをモチーフにした花輪の作品で満たされた部屋も。
さらには、萬鉄五郎や松本竣介といった、
ちょっとマニアックな (?) 日本近代美術の作家を取り上げた部屋も。
他にも、山口小夜子、ウォーホル・・・と挙げればキリがありません。
思わず、「どんだけ変身すんねん!」 と関西弁でツッコみたくなるほど。
一体、一人で何役演じる気なのでしょうか。
1人7役演じたエディ・マーフィーが、たいしたことなく感じてきました (笑)
美術史に残る自画像の名作を完コピする。
もしくは、少しユーモアを織り交ぜて、パロディする。
面白いか、面白くないかで言えば、面白いです。
ただし、それは、元ネタを知っていることが前提条件でのこと。
美術好きの美術好きによる美術好きのためのアートという気がします。
さらに言えば、森村泰昌の森村泰昌による森村泰昌好きのためのアートという気がします。
さて、会場には、キャプションがほとんどありませんでした。
元ネタはどういう作品なのか、
また、どうして、森村さんはこのような作品を作ったのか、その説明が欲しいところです。
美術に興味が無い人が、この展覧会を見たならば、「???」 なはず。
いい歳したオジサンがコスプレしているだけにしか感じられなかったことでしょう。
・・・・・と、第1部を見終った時点では、僕は不完全燃焼な感じでした。
が!
続く第2部で、その不完全燃焼な感じが完全燃焼 (←ややこしい言い回しですね)!
「なるほど、そういう展覧会だったんだ」
とストンと落ちるものがありました。
第2部は、大型スクリーンでの映像コーナー。
第1部のラストで展示されていた新作 《自画像のシンポシオン》 をもとにした・・・
森村さん初の長編映像作品 (約70分!) が、一日5回上映されています (金曜は7回)。
レオナルド・ダ・ヴィンチやデューラー、カラヴァッジョ、
レンブラント、ゴッホ、フリーダ・カーロ、ウォーホルなど、
第1部で森村さんが扮した人物が次々に登場し、それぞれが 「私」とは何かを独白していきます。
この映像を見れば、第1部で森村さんが表現しようとしていたことが、ちゃんと理解できます。
(なるほど、だからキャプションがほとんど無かったのですね!)
美術に興味が無い人でも、いや、むしろ無い人の方が、
美術史の流れや自画像に隠された秘密が、するする頭に入って、楽しめるかもしれません。
何より、普通に映像作品として、見応えがありました。
さすがにシネコンでは無理でしょうが、
ミニシアター系の映画館であれば、上映していてもおかしくないレベルのクオリティです。
この新作映像作品は、見なさい! (←おすぎ風)
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森村泰昌:自画像の美術史―『私』と『わたし』が出会うとき
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