~前回までのあらすじ~
僕は国宝をハンティングする。
好むと好まざるとにかかわらず、すべての国宝をだ。
君はパスタを茹でながら、この記事を読んでいるのかもしれないし、
あるいは、土曜日の朝にドリップコーヒーを淹れながら読んでいるのかもしれない。
この国宝の旅の過酷さが、君に伝わっているのか、いささか不安だ。
完璧な国宝ハンティングなどといったものは存在しない。完璧な絶望が存在しないようにね。
やれやれ、また国宝の数が増えたようだ。
和歌山県の根来寺から、大阪府の慈眼院へ。
字面だけ見れば遠いような感じがしますが、地図で見れば2か所は意外と近い位置関係にあります。
直線距離にしたら、わずか約10㎞。
バスや電車を乗り継いで、約1時間で到着です。
こちらが、慈眼院の本堂。
あまり趣はありません (←おいっ)。
国宝ではありません。
国宝を拝観するには、事前に予約が必要となっています。
お寺の方に予約した旨を告げ、拝観料の200円を支払うと、裏手へと案内されました。
(ほ、本当に、こんなところに国宝が・・・?)
「この先にあります。」 と案内された、その場所には、閂でガードされた木戸が。
木戸を開けて頂くと、そこには、イイ感じに苔むした趣のあるスペースが広がっていました。
その奥に佇んでいるのが、国宝の 《慈眼院多宝塔》 (ジャンル:建造物) です。
ちょうど、この1時間前に日本最大の木造多宝塔を前に、圧倒されてきたばかり。
それだけに、率直な第一印象は、
「小っこっ!!」
でした。残念ながら (笑)
高さは、約10メートル。
根来寺の多宝塔の約4分の1ほどしかありません。
なんと、こちらは日本最小規模の多宝塔なのだそうです。
最大と最小が、ご近所さんだなんて。
ただ、小さいながらも、味わいは大きく。
石山寺・高野山金剛三昧院のものと共に、日本3名塔と称されているのも納得。
実に趣のある塔でした。
心行くまで鑑賞し、慈眼院を後に。
ちなみに、木戸の閂はセルフサービス (?) 。
自分でかけるシステムでした。
生まれて初めての閂体験。
無事に閂をかけることが出来ました。
そうそう。
多宝塔を鑑賞している際に、一つ気になったことが。
隣り合っている日根神社の境内が丸見えだったのです。
こちらから丸見えということは、あちらからも丸見え。
もしかしたら、拝観料を支払わなくても、日根神社から多宝塔が見えたのかもしれません。
というわけで、日根神社へ。
結果から言えば、バッチリ見えました。
神々しい感じで見えました。
が!
やっぱり拝観料を払って、近くから観ましょう!
そっちのほうがオススメです。
閂も体験できますし。
お次は、慈眼院と同じ泉佐野市内にある孝恩寺へ。
大正15年に建設されたという超レトロな駅舎・水間観音駅から歩くこと20分。
孝恩寺に到着です。
国宝に指定されているのが、こちらの 《孝恩寺観音堂》 (ジャンル:建造物) 。
釘が1本も使われていないことから、「釘無堂」 とも呼ばれているのだとか。
鎌倉密教様式の貴重な建築なのだそうです。
確かに、パッと見た感じ、釘は使わていないようでしたが。
裏に回ってみると・・・
消火器やスチールの棚が設置されていたり。
何より、近代的な建築と繋がっていたり。
「釘が1本も使われていないから、どうした?」 という感じになっていました。
さてさて、旅のラストは大阪市立美術館へ。
前回に引き続き、今回も “王羲之から空海へ 日中の名筆 漢字とかなの競演” を鑑賞してまいりました。
展覧会の後半戦に出展されていた国宝のうち、未見のものは、
文化庁が所蔵する 《世説新書巻第六残巻》 (ジャンル:書跡・典籍) と、
京都国立博物館が所蔵する 《稿本北山抄〈巻第十/〉》 (ジャンル:書跡・典籍) の2点のみ。
ハンティング数が800件を超えると、なかなか大量得点は狙えないですね。
これからますます厳しい戦いになりそうです。
今現在の国宝ハンティング数 831/1111
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第百二十二話 国宝ハンター、初体験する!
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