現在、根津美術館では、企画展が二本立てで開催されています。
(注:館内の写真撮影は、特別に許可を頂いております。)
展示室1で開催されているのは、
“鏡の魔力 -村上コレクションの古鏡-” というコレクション展。
自動車用バックミラーで国内シェアNo.1を誇る村上開明堂、
その元会長・村上英二氏より根津美術館に寄贈された中国古鏡コレクションを紹介する展覧会です。
展示室に入ると、そこには約60点もの中国古鏡が。
“そんなに数あったって、中国古鏡なんて、どれもほとんど一緒でしょ??”
と思った方もいらっしゃるでしょうが。
全くもって、そんなことはありませんでした。
右:星雲文鏡 中国・前漢時代 紀元前1世紀 根津美術館蔵 村上英二氏寄贈
左:雲龍八花鏡 中国・唐時代 8世紀 根津美術館蔵 村上英二氏寄贈
ユーモラスなものから、幾何学的なスタイリッシュなものまで。
バリエーションは、実に豊富です。
デザイン性も非常に高く、見飽きることはありません。
個人的に一番インパクトを受けたのが、こちら古鏡。
神仙騎馬画像鏡 中国・後漢時代 2世紀 根津美術館蔵 村上英二氏寄贈
全体的に、なんかゴチャゴチャしていて、
どことなくヴィレッジヴァンガードを彷彿とさせるものがありますが (笑)
ここまでのクオリティのものが、2世紀に作られているということに、ただただ驚かされました。
ちなみに、「鏡よ、鏡、鏡さん、この展覧会で一番美しい鏡はどれ?」 と問うたなら、
おそらく、「それは、《貼金緑松石象嵌花唐草文鏡》 ですよ」 という答えが返ってくることでしょう。
貼金緑松石象嵌花唐草文鏡 中国・唐時代 8世紀 根津美術館蔵 村上英二氏寄贈
トルコ石が象嵌された目にも鮮やかな鏡です。
サイズも小ぶりで、鏡というよりはアクセサリーのようでした。
・・・・・と、この展覧会だけでも十分に楽しめたわけですが。
続く展示室2では、“若き日の雪舟 初公開の「芦葉達磨図」と拙宗の水墨画” が開催されています。
こちらの展覧会では、『画聖』 とうたわれた雪舟等楊の 《芦葉達磨図》 が初公開されています。
拙宗等揚筆 竺心慶仙賛 《芦葉達磨図》 米国 スミス・カレッジ美術館蔵
《芦葉達磨図》 は、長い間、行方不明状態だったそうで、
最近になって、アメリカの美術館が所蔵していることが判明したばかり。
そういう意味では、今、もっともホットな雪舟の作品です。
便宜上、“雪舟の作品” と表記してしまいましたが、
実は、雪舟が雪舟になる前、まだ拙宗等揚 (読みは、せっしゅうとうよう) と名乗っていた時代に描かれたもの。
つまり、若き日の雪舟の作品というわけです。
拙宗等揚時代の雪舟等楊の真筆 (←ややこしい言い回し!) は、
非常に数が少なく、現在のところ14、15点しか確認されていないようですが。
今回の展覧会では、《芦葉達磨図》 以外にも、
根津美術館が所蔵する 《潑墨山水図》 を含め、
拙宗等揚筆 《潑墨山水図》 根津美術館蔵(茂木克己氏寄贈)
半分近くの8点もの拙宗等揚作品が出展されていました。
これは本当に超貴重な機会です!
右:重要文化財 溌墨山水図 拙宗等揚筆 以参周省・伯充寿棟・春湖清鑑賛 正木美術館蔵
左:重要文化財 山水図 拙宗等揚筆 龍崗真圭賛 京都国立博物館蔵
若き日の作品なので、雪舟等楊時代の作品と比べてしまうと、
「まぁ・・・う~ん (苦笑)」
と言った感じは否めませんが。
この若き画僧が、のちに日本を代表する画僧になったかと想像すると、感慨深いものがありました。
言うなれば、“雪舟等楊 エピソード1” 的な展覧会です。
ちなみに、ちゃんと (?) 雪舟等楊時代の重要文化財作品も出展されています。
右:重要文化財 山水図 拙宗等揚筆 龍崗真圭賛 京都国立博物館蔵
左:重要文化財 四季山水図 (夏景) 雪舟等楊筆 東京国立博物館蔵
見比べてみるのも、また一興です。
“鏡の魔力 -村上コレクションの古鏡-” に、
“若き日の雪舟 初公開の「芦葉達磨図」と拙宗の水墨画” に。
見応えありの展覧会が二本立てながら、なんと入館料は普段と変わらず。
ハッキリ言ってお得です。
しかも、展示室5では、
国宝 伝李安忠筆 《鶉図》 中国・南宋時代 12-13世紀 根津美術館蔵
国宝の 《鶉図》 が特別に出展中。
お得すぎます。
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鏡の魔力/若き日の雪舟
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