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Channel: アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】
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サイ・トゥオンブリーの写真―変奏のリリシズム

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昨年、原美術館にて、日本で初となるサイ・トゥオンブリーの回顧展が開催され、話題となりました。
悲しいかな、僕は、結局サイ・トゥオンブリーの作品の魅力が、よくわからなかったのですが。
僕の周囲のアート関係者 (特にアーティストの方々!) は、
口々に、そのサイ・トゥオンブリーの回顧展を絶賛していました。

さて、そんな “わかる人にはわかるアーティスト” サイ・トゥオンブリー、
ファン待望の展覧会が、現在、千葉県佐倉市にあるDIC川村記念美術館にて開催されています。
その名も、“サイ・トゥオンブリーの写真―変奏のリリシズム” です。

今回のサイ・トゥオンブリー展のテーマは、ずばり写真。
絵画を制作していたその裏で (?) 、
実はコツコツと撮り続けていたというサイ・トゥオンブリーの写真作品が100点展示されています。

室内  《室内》 1980年 カラードライプリント、厚紙 43.1x27.9cm 個人蔵


ミラマーレ  《ミラマーレ、海辺》 2005年 カラードライプリント、厚紙 43.1x27.9cm 個人蔵


しばしば、“子供の落書きのような” と評される彼の絵画作品に比べれば、断然わかりやすいです。
正方形の画面なので、オシャレなインスタグラムのようです。
絶妙な色褪せ具合が、オシャレさに拍車をかけています。


・・・・・と思ったのも束の間。
別の意味で、「よくわからない」 写真作品も、多々ありました。
こちらは、《キャベツ》

キャベツ  《キャベツ》 1998年 カラードライプリント、厚紙 43.1x27.9cm 個人蔵


そして、こちらは、《チューリップ》

チューリップ  《チューリップ》 1985年 カラードライプリント、厚紙 43.1x27.9cm 個人蔵


タイトルを見なければ、被写体が何なのか、よくわかりません (笑)
でも、決して、「やーい、ミスプリント!」 (←?) などとは思えず。

“サイ・トゥオンブリーの目には、こういう風に映っていたんだろうなぁ”

という不思議な説得力がありました。
積み重ねられたキャベツが爬虫類のように見えたり、
接写されたため曖昧になったチューリップがリネン室のように見えたり。
アプローチや視点が変わるだけで、何気ないモチーフに新たな一面が見えてくる。
小さくて、静かで、でも、新鮮な体験でした。


ちなみに、今回のサイ・トゥオンブリー展には、
写真作品だけでなく、絵画やドローイング作品も合わせて、展示されています。

マグダ  《マグダでの10日の待機》 1963年
鉛筆、クレヨン、油彩、カンヴァス 100x104.1cm 国立国際美術館蔵



さらに、日本初公開となる彫刻作品も!
ファン必見ですね。

サイ  《無題》 1989年 塗料、ブロンズ 39x25x10cm サイ・トゥオンブリー財団蔵


一つ残念だったのは、昨年の原美術館での展覧会と同じく、
今回のサイ・トゥオンブリー展も、会場にキャプションなどの解説が全くなかったこと。
(サイ・トゥオンブリー展あるある?)
サイ・トゥオンブリーデビューを飾る人のために、
サイ・トゥオンブリーの作品の魅力を伝える演出が、もっと会場にあって欲しかったです。
星
帰宅後、改めて、美術館の展覧会紹介ページを開いたら、
概要や見どころが、きっちり記載されていたことがわかりました。
これから行かれる方は、事前に美術館の展覧会紹介ページを要チェック!

All Photographs by the artist:
©Nicola Del Roscio Foundation, Courtesy Nicola Del Roscio Archives

All Paintings, sculpture, drawing by the artist:
©Cy Twombly Foundation





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