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Channel: アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】
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From Life―写真に生命を吹き込んだ女性 ジュリア・マーガレット・キャメロン展

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三菱一号館美術館で開催中の・・・

キャメロン
(注:館内の写真撮影は、特別に許可を頂いております。)


From Life―写真に生命を吹き込んだ女性 ジュリア・マーガレット・キャメロン展” に行ってきました。

こちらは、写真史上重要な人物の一人とされる女性写真家ジュリア・マーガレット・キャメロン、
その生誕200年を記念し、V&A (ヴィクトリア&アルバート博物館) が企画した国際巡回展にして、日本初の回顧展です。

「・・・ところで、ジュリア・マーガレット・キャメロンって誰??」

という方も多いことはず。
ごく簡単に彼女のプロフィールを紹介いたしましょう。

 セレブの家に生まれ、セレブと結婚し、
 イギリスのセレブ階級で社交生活を謳歌していたジュリア・マーガレット・キャメロン。
 48歳の時に、娘夫妻からクリスマスプレゼントとして、カメラが贈られます。
 そこから独学で写真術を身につけ、本格的に写真家として活動。
 積極的に展覧会を開いたり、代理店を通じて販売ルートを確保するなど、
 写真家として、経済的にも成功した人物です。



・・・・・と、まとめてしまうと、あんまり好きになれなそうな人物ですが (笑)
ジュリア・マーガレット・キャメロンの写真作品には、心をグイグイ惹かれました!
展覧会を観終わるころには、すっかり彼女の写真作品のファンになっていました。

ジュリア・マーガレット・キャメロンの写真の魅力。
それは、絵画的であること。

絵画  ジュリア・マーガレット・キャメロン 《ミューズの囁き》 1865年
ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館蔵 ©Victoria and Albert Museum, London



構図がバシッと決まっていて、まるで中世の絵画作品のようです。
「写真のような絵画作品」 には、何度も出合っていますが、
これほどまでに 「絵画のような写真作品」 に出合ったのは、初めてかもしれません。
思わず細部まで、しげしげと鑑賞してしまいました。


そして、もう一つは、今でこそ目新しさはないですが、
当時としては斬新も斬新な手法を次々と編み出していたこと。
例えば、こちらの写真をご覧ください。

ベアトリーチェ  ジュリア・マーガレット・キャメロン 《ベアトリーチェ》 1866年
ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館蔵 ©Victoria and Albert Museum, London



(当時の) 肖像写真としては掟破りともいえるクローズアップの手法が取られています。
さらには、あえてピンボケ気味に撮る、いわゆるソフトフォーカスの手法も取られています。
カラー写真でこそないですが、言われなければ、150年前の写真とは到底思えないことでしょう。

他にも、ひっかき傷をつけたネガを用いたり、複数のネガから一枚の写真を仕立てたり。
そのクリエイティブな姿勢に、ただただ感銘を受けるのみ。
“写真を芸術の域にまで高めた人物” という評に偽りはありません

ちなみに、僕のお気に入りの写真作品は、《五月祭》

絵画  ジュリア・マーガレット・キャメロン 《五月祭》 1866年頃
ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館蔵 ©Victoria and Albert Museum, London



いろいろ完璧すぎて、言葉が出てきません。
唯一出てきた言葉は、「ありがとう、いい写真です」 くらいなものです。


さて、会場を訪れるまで、もっとも気になっていたのは、
今回のジュリア・マーガレット・キャメロン展が、三菱一号館美術館開館以来初の写真展ということ。

「美術館の雰囲気に、写真作品がマッチするのかなぁ・・・」

それは、全くの杞憂でした。

会場  会場


普通にマッチしていました。
むしろ、昔からこの壁に飾られていたようなくらいの違和感のなさ。
変な心配をして、申し訳ありません (笑)
星星
ありがとう、いい写真展です。


ちなみに、今回のジュリア・マーガレット・キャメロン展は、国際巡回展なわけですが。
三菱一号館美術館ver.は特別に、彼女と同時代の他の写真家や、
彼女に影響を受けた写真家たちの写真作品も併せて紹介されています。

会場  会場


その中には、チャールズ・ラトウィッジ・ドジスンなる人物の写真も。

ドジスン


チャールズ・ラトウィッジ・ドジスン。
またの名を、ルイス・キャロル。
被写体の少女がアリスに見えてきました。




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