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国芳ヒーローズ~水滸伝豪傑勢揃

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太田記念美術館で開催中の特別展 “国芳ヒーローズ~水滸伝豪傑勢揃” に行ってきました。

国芳


前後期に分けて開催される大々的な歌川国芳の展覧会ということで、
さぞかし、国芳好き浮世絵好きの若い女性で会場が賑わっているのだろう・・・と思いきや。

館内に、そんなに女性はいませんでした!

代わりに鑑賞していたのは、メンズ。
それも、ちょいコワモテのメンズです。

一体、何が起きているのでしょう??


展覧会の内容を把握するにつれ、状況が呑み込めてきました。
あぁ、なるほど。
一般的に国芳の浮世絵のイメージといえば、猫とユーモアです。
しかし、今回の展覧会でフィーチャーされているのは、
国芳の出世作とされる 《通俗水滸伝豪傑百八人之一個(一人)》 シリーズ。
そのシリーズのほぼ全点が出展されています。

通俗水滸伝豪傑百八人之一人 花和尚魯知深初名魯達
《通俗水滸伝豪傑百八人之一人 花和尚魯知深初名魯達》(個人蔵 / 前期展示)

通俗水滸伝豪傑百八人之壹人 混世魔王樊瑞
《通俗水滸伝豪傑百八人之壹人 混世魔王樊瑞》(個人蔵 / 前期展示)


中国の小説 『水滸伝』 を、『週刊漫画ゴラク』 ばりの劇画タッチでビジュアル化したシリーズです。
猫もなければ、ユーモアもなし。
ワイルドでハードボイルドな浮世絵です。
この世界観は、女子向けではないですね・・・。
男の、否、漢の世界です。
星


さらに、この 《通俗水滸伝》 シリーズのヒットがきっかけで、ブームとなったのが、彫り物 (刺青)。
そう、実は何を隠そう、刺青のルーツは、この浮世絵シリーズにあったのです。

通俗水滸伝豪傑百八人之弐個 浪子燕青
《通俗水滸伝豪傑百八人之壹人 混世魔王樊瑞》(個人蔵 / 前期展示)


ちなみに、聞いた話によりますと。
その筋では、今でも、この 《通俗水滸伝》 シリーズに登場する刺青がお手本となっているとのこと。
時代を超えて愛されるクラシカルな刺青なのですね。
どうりでちょいコワモテのメンズが真剣に鑑賞していたわけです。


さてさて、今回の展覧会では、《通俗水滸伝》 シリーズ以外にも、
国芳が手がけた 『水滸伝』 に関連する他の浮世絵の数々も紹介されています。

例えば、《狂画水滸伝豪傑一百八人》 というシリーズ。

狂画水滸伝豪傑一百八人 十番続之内壹
《狂画水滸伝豪傑一百八人 十番続之内壹》(個人蔵 / 前期展示)


こちらは108人の登場キャラクターを、コミカルなテイストで描いたシリーズです。

拡大


『北斗の拳』 をベースにしたギャグアニメ 『DD北斗の拳』 というのがありましたが。
そんな感じでしょうか。




また、例えば、《風俗女水滸伝》 というシリーズ。

風俗女水滸伝
《風俗女水滸伝 百八番之内 史進》(個人蔵 / 後期展示)


こちらは、『水滸伝』 の登場人物になぞらえた女性の絵を描いたシリーズです。
(上で紹介している作品は、九紋龍史進を龍柄の着物を着た花魁になぞらえたもの)


歴史上の人物 (♂) を美少女キャラ化した 『戦国コレクション』 というのがありましたが。
そんな感じでしょうか。





最後に、個人的に一番印象に残った作品をご紹介。
日本の歴史上の豪傑を描いた 《本朝水滸伝豪傑八百人一個》 シリーズの一枚で、
尼子十勇士の一人ともされる早川鮎之助なる人物を描いた作品です。

尼子十勇士
《本朝水滸伝豪傑八百人一個 早川鮎之助》(個人蔵 / 前期展示)


仲間たちは空腹でピンチ。
しかも、釣り具がなく、さらにピンチ。
その状況に、板で川の流れをせき止め、鮎をたくさん捕まえたのが、早川鮎之助。
名は体を表す、とは彼のためにある言葉なのだと思いました。




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