現在、千葉市美術館では、“岡崎和郎 Who's Who－見立ての手法” が開催中ですが。
“小川信治－あなた以外の世界のすべて” も同時に開催されています。
つまり、2本立て。
こちらは、名古屋市在住の現代アーティスト小川信治さんの首都圏の美術館では初となる個展です。
小川信治さんは一貫して、見慣れた情景を改変して、
私たちが普段見ているものとは別の世界の可能性を探る作品を発表し続けているアーティスト。
例えば、《WITHOUT YOU》 というシリーズがあります。
お馴染みの名画から、主要人物が、
「YOU、WITHOUTしちゃいなよ。」 と消し去られているシリーズです。
それを、さらに展開させたのが、「連続体」 というシリーズ。
消されているYOUが、それぞれ違います。
そうなることで、Ａが存在しない世界とＢが存在しない世界と。
まるでパラレルワールドが存在しているかのように。
また、少し複雑な 《Behind You》 というシリーズもあります。
見慣れた名画が、少し不思議な構図になっています。
どういう操作がされているのか。
それがわかった瞬間、「オォッ！」 となるはず （僕は震えました）。
他にも、画面上の建物が左右対称となっている 《対称性／非対称性》 シリーズや、
「全部モン・サンミッシェルでしょ？」 と思いきや、
実は一つも正解がない 《モアレの風景》 といった作品が紹介されていました。
作品のコンセプト自体が、まず何よりも面白いと思いましたが。
それよりも衝撃だったのは、これらはすべて小川信治さんの手描き作品だということ。
フェルメール風も、浮世絵風も、レオナルド・ダ・ヴィンチ風も、モノクロ写真風も。
なんと、すべて手描きによるもの。
そう、コンピューターで、ちゃちゃっと操作したわけではないのです。
単なる天才じゃないか！
実は、何を隠そう （？）、今回の展覧会を通じて、初めて小川信治さんを知ったのですが。
その作品哲学と描写力の両方にノックアウト。
一瞬にして、心を鷲掴みにされてしまいました。
純粋にオモシロかったです。
こういう出逢いがあるから、美術鑑賞はやめられないのでしょうね。
ちなみに、今回の展覧会では、小川信治さんによるインスタレーション作品も発表されています。
若干わかりづらいですが、言わんとすることが理解できた瞬間に、驚愕しました。
まるで、神の視点に立ったような感覚に陥ります。
先日、『シン・ゴジラ』 を鑑賞した際に、
「映画ってスゴイなぁ。現代アートじゃ太刀打ちできないなぁ」 と、
実は思ってしまっていたのですが。
今回の小川信治展を観て、
「美術でしか表現できないことって、まだまだあるなぁ。映画は太刀打ちできないなぁ」
と実感させられました。
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小川信治－あなた以外の世界のすべて
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