先週の5月19日。
僕が担当させて頂くことになった、
DIC川村記念美術館での公式イベント 「アートに親しむピクニック」 が、無事に終わりました。
こちらは、現在開催されている美術展、
“FLOWERSCAPES フラワースケープ―画家たちと旅する花の世界” の関連プログラムの一つ。
「DIC川村記念美術館でイベントをするなら、
魅力の一つである自然が楽しめるように、外でトークイベントをやりたいです!」
そんな無茶ぶりともいえる提案に、気持ちよく乗って頂けたので (…ですよね?)
なんと、このイベントのためだけに、
美術館の敷地内にある広場に、特別に、ベンチやホワイトボードを設置して頂けました。
そこまでして頂いたのですから、絶対に、雨天中止は避けたいところ。
晴れ男パワーを、最大限に発揮して、
これ以上ないくらいのピクニック日和となりました。
そんな気持ち良い自然環境の中で、
5時間にも及ぶトークライブは、無事に終了。
途中、謎の虫が、何度も目に入ってくるという、
青空教室ゆえのトラブルには見まわれましたが (笑)
この日のために作った紙芝居ネタを含め、
イベントの反響は上々で、僕としては、とても満足のいく出来だったかと思います。
さてさて、ということで。
無事にイベントが終わったのですから、
いよいよブログでも、その美術展を紹介することにいたしましょう。
何故、関連プログラムが終わるまで、記事で紹介しなかったのか?
それは、いつものように、公正に、正直に、評価を下したら、
結果次第では、気まずくなってしまうからに決まってるではないですか (笑)
それでは、いつものように、公正に、正直に。
今回の “FLOWERSCAPES フラワースケープ” 展に対する評価は・・・
3つ星です!!!
・・・・・・。
きっと、ブログの読者さんの中には、底意地の悪い方がいて (←完全なる被害妄想)
「あ~ぁ。とに~さんは、やっぱり媚びを売っちゃったよ」
と思われた方が、いらっしゃるかもしれません。
ぶっちゃけ、そう思われたくないので、
“美術展が、2つ星だったらいいのに・・・” と願っていたのですが (笑)
面白いものは、仕方がありません。
3つ星の美術展を2つ星としてしまっては、アートテラーの信義に反します。
媚びを売ったと思うなら、そう思うがいいさ (←自棄?)
とりあえず、3つ星を付けたことで、
この記事を読んだ担当学芸員さんが不敵な笑みを浮かべているのが想像できて (←そんなキャラ?)
僕としては、ちょっぴり癪でなりません。
ではでは、ここからは、僕が3つ星をつけた理由を、
言い訳のように (?) 、挙げていきたいと思います (笑)
まず、今回の美術展の特徴は、
FLOWERSCAPESなアート作品の数々を、全部で9つのセクションで紹介している点。
(FLOWERSCAPESとは、 “花の描かれた絵画空間” を意味する造語です)
花畑のシーンが集まる 『画家たちの花園』 や、
(掲載されている写真は、美術館の許可を特別に得て撮影したものです)
ポップアーティストたちによる花のアート作品コーナー 『POP GARDEN』 など、
そのバリエーションは、様々。
次は、どんな花の世界が広がっているのだろう?と、会場を進むたびに、ワクワクします。
長編小説よりも、短編小説が、
2時間ドラマよりも、オムニバスドラマが好きな僕には、まさにドンピシャな美術展。
FLOWERSCAPES展にちなんで、花に例えるならば、
立派で美しい一輪挿しではなく、可憐な花々が集まったブーケのような美術展といった感じ。
またアートそのもののジャンルも、バリエーション豊か。
16世紀のヨーロッパ絵画があれば、
印象派のモネの 《睡蓮》 もあり、
グラフィックデザイン界の先駆者・杉浦非水の作品もあって、
現代アートも、もちろんあり、
そして、なんと有元利夫の作品まである。
ほぼオールジャンルを取り揃えた美術展。
これだけ幅の広い美術展ですから、
どんな人でも、行けば、必ずや一枚くらいは、自分のアンテナに引っかかるはず。
=すべらない美術展。
こんなに、人に薦めやすい美術展は、ありません。
そして、さらに、褒めざるを得ないのは、
それらの作品たちを、ただ並べただけの美術展ではなく、
キャプションなど随所に、こだわりが見られるという点。
例えば、こんなセクションが。
こちらは、花の静物画だけを集めたコーナー。
花の静物画しかないので、普通に考えれば、わりと退屈なコーナーです (笑)
しかし、ここには、退屈さを感じさせない学芸員さんのある仕掛けが。
展示されているすべての作品を、
花の静物画が大好きなコレクターが集めた絵という設定にしているのです。
その名も、「仮想コレクターF氏の部屋:花の静物画の変遷をたどる」
しかも、その架空のコレクターが、キャプションを書いているという設定まで。
話しかけるようなスタイルのキャプションなので、
読んでいて、スッと頭に入ってくるし、何より、F氏が本当にいるかのような気がしてきました (笑)
と、ここまで、褒めに褒めて来ましたが。
あまり褒めすぎるのもなんなので (←?)
これから行かれる方に、一つだけ忠告させて頂くならば。
「作品のジャンルが幅広すぎて、観るのが大変ですよ!
時間と体力・気力には、余裕を持って行かれてください!!」
今回の美術展には、他の美術展と違って、目玉と呼べるような作品がありません。
展示されているすべての作品が、もともと特別なOnly oneで、世界に一つだけの花。
No.1になろうとしている花が無いのです。
普段の美術展ならば、
“とりあえず、目玉作品は、きっちり観て、あとはサラッと見よう” 作戦を取れば、
そんなに疲れることはありませんが。
今回の美術展は、そういうわけにはいきません。
そこで、最後に、僕が勝手に目玉作品を決めて、ご紹介したいと思います。
(疲れそうならば、これだけ観ればヨシ!)
今回の目玉作品は、花を持たされたオッサン三連星の中の
こちらの花を持たされたオッサン三連星の中の・・・
岸田劉生の 《田村直臣七十歳記念之像》 に、勝手に決定!
「(・・・・・・何で、ボクは、花を持ってるんだろ?)
(・・・・・・いや、仮に花を持つとしても、花束とか立派な花とかさぁ)
(・・・・・・ぶっちゃけ、この花を持って、格好いいの?絵的に大丈夫なの??そんな絵、観たことないよ)
(七十歳の誕生記念に花を持たされるとはなぁ。もしかして、これ、プレゼント?引くわぁ)」
持たされている感が、尋常ではない一枚 (笑)
美術ブログのランキングに・・・って、言わぬが花ですね
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