千葉市美術館で開催中の “文人として生きる―浦上玉堂と春琴・秋琴 父子の芸術” に行ってきました。
こちらは、2006年に開催されて以来、
ちょうど10年ぶりとなる日本文人画壇の巨星・浦上玉堂の大規模な展覧会です。
「・・・浦上玉堂って??」
という方も多いでしょうから、簡単にプロフィールをご紹介いたします。
浦上玉堂 (1745~1820) は、岡山の鴨方藩生まれ。
鴨方藩のエリート武士として活躍するも、
50歳の時に突然の脱サラ・・・もとい脱藩をします。
晴れて自由人となった彼は、2人の息子とともに全国を遍歴。
多くの文人画の傑作を残しました。
しかし、本人は職業画家とは思われたくなかったのだそうです。
というのも、玉堂は若い時から七弦琴に親しみ、
演奏家や作曲家、さらには造琴家としても活躍した人物。
ミュージシャンと自負していたようです。
ちなみに、玉堂という名前も、手に入れた中国伝来の七弦琴にあった銘 「玉堂清韻」 に由来。
さらには、2人の息子たちに春琴、秋琴という名前を付けてしまうほど。
実に琴LOVEな人物です。
そんな浦上玉堂の作品のほとんどは・・・
重要文化財 浦上玉堂 《一晴一雨図》 個人蔵
浦上玉堂 《山澗読易図》 岡山県立美術蔵
このようにもこもこした山がある景色を描いた絵。
正直なところ、
「地味だなぁ。どれも似たり寄ったりだなぁ。」
と思ってしまいました。
しかし、作品から3mくらいの距離を置いたときに、大発見をしてしまいました。
「!!!!!」
近づいて観ていた時は、もこもこぼやぼやした景色にしか感じられなかったのに。
離れて観てみると、実に雄大な景色を感じ取れるのです。
離れて鑑賞したほうが像を結ぶ。
まるで印象派の作品のようでした。
パッと見、地味な浦上玉堂ですが。
有名人にファンが多く、展覧会のラストでは、彼らが所蔵していた玉堂作品が展示されていました。
その中には、横山大観、東山魁夷、吉川英治、さらにはピーター・ドラッカーも。
彼らが認めるくらいですから、よっぽどスゴい画家に違いありません。
ちなみに、今月22日から27日までの超期間限定で、
家の購入を諦め、借金をしてまで川端康成が手に入れた国宝の 《東雲篩雪図》 が特別出展!
国宝 浦上玉堂 《東雲篩雪図》 川端康成記念会
(注:展示期間は、11/22~11/27)
タイミングが合う方は、この機会をお見逃しなく!!
さてさて、今回の展覧会のもう一人の主役。
それは、琴LOVEな父に春琴、秋琴という名前を付けられた息子たち。
特に長男の春琴にスポットが当てられていました。
浦上春琴 《名華鳥蟲図》 文政4年(1821) 岡山県立美術館蔵
浦上春琴 《春秋山水図屏風》 より右隻 文政4年(1821)8月 ミネアポリス美術館(バークコレクション)
今ではすっかり、あの偉大な父・玉堂の息子という立ち位置で紹介されていますが。
実は当時は、父の人気を凌ぐほど関西画壇きっての人気画家だったのだとか。
確かに、玉堂の作品と比べると、万人受けしそうな印象は受けました。
ただ、玉堂の作品と比べると、そこまでキャラが立っていない感は否めません。
父よあなたはスゴかった・・・な展覧会でした。
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文人として生きる―浦上玉堂と春琴・秋琴 父子の芸術
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