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Channel: アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】
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柳幸典 ワンダリング・ポジション

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横浜のBankArt Studio NYKで開催中の “柳幸典 ワンダリング・ポジション” に行ってきました。

柳幸典


こちらは、国内外で活躍する現代美術家・柳幸典さんの集大成ともいうべき個展で、
80年代の初期の作品から最新作までが、約3000平方メートルの全館を使って展示されています。
ちなみに、展覧会タイトルの “ワンダリング・ポジション” は 「さまよえる位置」 の意なのだとか。

柳幸典さんの代表作と言えば、「ザ・ワールド・フラッグ・アント・ファーム」 シリーズ。
1993年にヴェネツィア・ビエンナーレで受賞した作品です。

ザ・ワールドフラッグ・アント・ファーム


透明な容器に、色砂を入れて国旗を描き、その中でアリを飼うという作品。

アメリカ


それだけと言えば、それだけ。
一見ふざけているようにも思える作品なのですが。
言わんとすることは雄弁。
いろいろと考えさせられるものがあります。

アリ


国旗ではなく、紙幣のバージョンも。

紙幣


貨幣経済、資本経済で成り立っている社会は砂上の楼閣。
いつか蟻の穴から堤も崩れるように、崩壊してしまう日が来るのかもしれません(( ;゚Д゚))


また、もう一つの代表作 「日の丸」シリーズの作品も多数紹介されています。

日の丸

日の丸


それらの中には、個人的に好きな 「日の丸」シリーズ作品もありました。

はんこ


離れた状態で見ると、普通の (?) 日の丸。
でも、近づいてみると、その正体は・・・

ハンコ


ハンコ!!

ついつい自分の名字のハンコが無いか、隅々まで探してしまいますね (笑)


また、ここ近年の柳幸典さんのライフワークともいえるのが、瀬戸内海の 「犬島プロジェクト」。
そちらも、たっぷりと紹介されています。
パネルや模型が展示されているだけでなく、

犬島


実際に犬島で展開されている 《イカロス・セル》 の一部を再現したものも展示されていました。

イカロス


鉄板で作られた迷路のような謎の構造物。
恐る恐る中に入ってみると、まずは太陽の映像が目に飛び込んできました。

太陽


さらに、その先に目をやると、突き当りに鏡が。

光


光に吸い込まれるように鏡に向かって進んでいくと、今度はその右方向の突き当りに鏡。
で、また進んでいくと、今度はその左方向の突き当りに鏡。
・・・・・の繰り返し。

“一体何がしたい作品なんだ??”

と、しばらく進んだのち、ふと後ろを振り返ってみたところ、

太陽


最初に見た太陽の映像が、何枚もの鏡に反射して見えるではないですか!
振り返れば太陽がいる。
不思議な感覚になる作品でした。


この他にも憲法9条をテーマにしたインスタレーションや、

憲法


巨大な土の球などインパクト強めな作品が多くありましたが。

土


とびきりインパクトが強かったのは、今回の展覧会のために制作された最新作。
木材やら家具やら家電やらで構成されたドデカい何か。

ゴジラ


その中には、横転した車も。
スケールがハンパありません!

車


ひときわ目立っていたのは、ギョロギョロと動く目。

目


実は、こちらの作品のアイディアソースになっているのが、あの国民的怪獣映画。




そう、『ゴジラ』 です。
確かに言われてみれば、ゴジラの頭のように見えてきました。
思わずビビってしまうこと請け合いの作品です。



インパクト抜群。
見ごたえも十分。
実に気合の入った展覧会でした!
ただ一つ残念だったのは、作品の説明が一切なかったこと。
何となく言わんとすることが伝わる作品もありますが、
同じくらいに、言わんとすることがなんとなく伝わってこない作品もありました。
ノーヒントでは難しい。
星
せっかくなので、柳幸典ワールドを100%楽しみたかったです。




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