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Channel: アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】
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N・S・ハルシャ展:チャーミングな旅

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森美術館で開催中の “N・S・ハルシャ展:チャーミングな旅” に行ってきました。

ハルシャ


こちらは、南インドの古都マイソールに生まれ、
現在もマイソールを拠点に制作を行うアーティストN・S・ハルシャの大々的な展覧会です。

展覧会の会場は、まさにインド一色。
これほどまでに、インドを感じられた展覧会がかつてあったでしょうか。

インドが今抱える社会問題をテーマにした作品があったり、

N・S・ハルシャ
N・S・ハルシャ


作品の一部にターメリックが使われていたり、

ターメリック
ターメリック


インドの神様がモチーフになった作品があったり。

インド


なかでも、とりわけインドを感じたのは、
N・S・ハルシャの絵画の最大の特徴が、モチーフの反復であったこと。
例えば、こちらの 《私たちは来て、私たちは食べ、私たちは眠る》 という3点作。

《私たちは来て、私たちは食べ、私たちは眠る》


近づいて観てみると、たくさんの人物がびっしりと描かれているのがわかります。

《私たちは来て、私たちは食べ、私たちは眠る》
《私たちは来て、私たちは食べ、私たちは眠る》


こちらの 《ピーチク パーチク》 いう作品もまた然り。
やはりたくさんの人物 (鳥人?) がびっしりと描かれています。

ピーチクパーチク
ピーチクパーチク


そう、N・S・ハルシャの絵画は、まさにインド映画のダンスシーンのよう。
一つの画面の中に、これでもかと人物が登場しているのです。




そんなインド映画的絵画 (?) の最高峰ともいえるのが、《ここに演説をしに来て》

《ここに演説をしに来て》


とんでもない数の人が描かれています。
しかも、一人として同じ人物がいません。
皆それぞれにキャラクターがあるのです。
また、よく見ると、群集の中に宇宙飛行士や

《ここに演説をしに来て》


あの女性芸術家の姿を発見!

《ここに演説をしに来て》


他にも、変わった職業の人物や有名人が混じっているので、隅から隅までご鑑賞くださいませ。
何はともあれ、こんな絵を描くインド人にビックリです。
星星



さて、今回の出展作の中でお気に入りの作品をいくつかご紹介いたしましょう。
まずは、《空を見つめる人びと》 というインスタレーション作品から。

空を見つめる人びと


N・S・ハルシャお得意の群集図が床一面に描かれています。
靴を脱ぎ、その床の上へ。
そして、空を見つめる人びとの目線の先を見上げてみましょう。
すると・・・

床


そこには、鏡に映った人びとの姿がありました。
空を見つめる人びとなのか、地を見おろす人びとなのか。
たくさんの視線に挟まれて、不思議な気持ちになる作品でした。


続いては、《ネイションズ (国家)》 というインスタレーション作品。

ネイションズ (国家)


一瞬、「えっ、ここ、コストコ?」 って思いましたが、全然違いました (笑)。
並んでいるのは、大量の足踏みミシン。
これら1つ1つが国家を象徴しており、それぞれには国旗を描いた布が置かれていました。

ネイションズ (国家)


複雑に糸が絡まりあった足踏みミシン (=国家) たち。
いろいろと考えさせられるものがありました。


最後に紹介したいのは、《ふたたび生まれ、ふたたび死ぬ》 という作品。

再び


一見すると、超巨大な一筆書き。
しかし、近づいて観てみると、単なる太い線ではなく、

アップ


びっしりと宇宙が描かれていることがわかります。
なんと壮大な!
前回の “宇宙と芸術展” のどの作品よりも、よっぽど宇宙のスケールを感じさせられた作品でした。



ちなみに。
森美術館の展覧室以外にも、N・S・ハルシャの作品は設置されています。
お馴染みの 《ママン》(=蜘蛛のオブジェ) の近くに、何やら怪しげな猿の姿。

ママン


必死に指さしているようです。
一体、何を?

ヒルズ


その指さす方向に目をやると・・・

去る


普通に六本木ヒルズがありました。
ごくごく普通に。
高いビルを初めて目にして興奮したのかもしれませんが。
人騒がせですよ。




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