今年2017年、京都国立博物館は開館120年目を迎えました。
そんなスペシャルイヤーを記念し、満を持して開催しているのが、“特別展覧会「海北友松」” 。
海北友松の史上最大規模となる回顧展です!
・・・・・と言われたところで、
おそらく多くの方が 「誰??」 と思っていることでしょう。
もしくは、人名と思わずに、四文字熟語か何かと思っているかもしれません。
同時代に活躍した狩野永徳や長谷川等伯と比べてしまうと、
知名度はいま一つな感はありますが、海北友松 (かいほうゆうしょう) は、桃山画壇の巨匠です。
その半生は謎に包まれており、60代以前のキャリアに関しては、ほとんどわかっていないのだとか。
とりあえず、武家の家に生まれたこと、狩野派に学んだこと、
67歳の時に建仁寺の方丈の内装を任され、それを期に本格的にブレイクしたこと、は確かなようです。
ちなみに、細川幽斎や石田三成らとも交流しており、
特に斎藤利三 (=明智光秀の重臣) は親友だったとのこと。
その娘である春日局とも、交流があったそうです。
(それゆえ、1989年の大河ドラマ 『春日局』 にも海北友松は登場しているようです。演じたのは、吉幾三!)
と、人物像はフワフワしている海北友松ですが、
京都国立博物館が120周年記念の特別展を託しただけあって、実力は折り紙付き。
迫力という点では、狩野永徳や長谷川等伯よりも1歩も2歩も抜きん出ていました。
海北友松 《山水図屏風》(左隻) 桃山時代 16世紀 通期展示
特にスペクタクル感が味わえるのは、日本一とまで称された友松の龍図。
大画面に現れる大きな龍。
怪獣映画の一場面のような迫力があります。
重要文化財 海北友松 《雲龍図》 建仁寺(京都) 慶長4年(1599) 通期展示
しかも、今回の展覧会の会場には、そんな龍図の迫力を最大限に味わえる、
龍図だけを集めた “龍尽くし” の部屋、通称 “ドラゴンルーム” が設けられていました。
照明が最小限に抑えられた暗闇に近い部屋に、何頭もの龍の姿が浮かび上がります。
超ド迫力。
まるでシネコンで怪獣映画を観ているような体験を味わえました。
とにもかくにも、“ドラゴンルーム” のインパクトが凄かったですが。
他にも印象に残った作品があるので、いくつかご紹介いたしましょう。
まずは、《柏に猿図》 。
海北友松 《柏に猿図》 サンフランシスコ・アジア美術館(米国) 桃山時代 16世紀 通期展示
Photograph ©Asian Art Museum of San Francisco
猿の表現は、この時代のスタンダードなスタイルで描かれていますが。
ポージングでオリジナリティが発揮されていました。
特に右隻の白い猿と普通の猿との連結 (?) の仕方が微笑ましいです。
続いては、《花卉図屏風》 。
重要文化財 海北友松 《花卉図屏風》 妙心寺(京都) 桃山時代 17世紀 通期展示
右隻で咲き誇る花々の華麗さに目を奪われてしまいがちですが。
左隻に描かれた樹の枝のアグレッシブさが、気になります。
そこはかとなく、ティム・バートン感。
ちなみに、《花卉図屏風》 と関連する資料として、
《屏風画料請取状(妙心寺宛)》 が併せて初公開されています。
こちらは、友松本人から妙心寺に宛てた画料の請取状、つまり領収書。
《花卉図屏風》 を含む金碧屏風三双に支払われた報酬の可能性が高いそうです。
気になるその金額は、「銀子一貫目並びに銀子二十枚を確かに受領しました」 とのこと。
今の価格にして、約236万円。
ということは、《花卉図屏風》 は、約80万円だったのかも。
意外と安い!
最後に紹介したいのは、友松最晩年期水墨画の最高傑作との呼び声高い 《月下渓流図屏風》 です。
昭和33年にアメリカのネルソン・アトキンズ美術館の所蔵となってから、帰国したことは一度もなし。
実に60年ぶりとなる里帰りを果たしています。
海北友松 《月下渓流図屏風》(左隻) ネルソン・アトキンズ美術館(米国) 桃山時代 17世紀 通期展示
Photography by Mel McLean, courtesy of the Nelson-Atkins Museum of Art
一見すると、ボヤンとした水墨画風のモノクロの画面なのですが。
ツクシやタンポポといった一部の草花だけカラーで描かれています。
映画でいうところのパートカラーと同じ表現です。
モノクロの画面にポッと色が浮かび上がる様は、なんとも健気で可憐な印象。
春の訪れを見つけたようで、ウキウキした気持ちになりました。
東京には巡回しないので、行こうかどうか悩みましたが。
思い切って行ってみて、大正解。
2000年に京都国立博物館で開催された若冲展が、若冲ブームの火付け役になったように、
今回の海北友松展がきっかけとなって、友松ブームが起こる可能性は大いにあり得ます。
1位を目指して、ランキングに挑戦中!(現在7位です)
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そんなスペシャルイヤーを記念し、満を持して開催しているのが、“特別展覧会「海北友松」” 。
海北友松の史上最大規模となる回顧展です!
・・・・・と言われたところで、
おそらく多くの方が 「誰??」 と思っていることでしょう。
もしくは、人名と思わずに、四文字熟語か何かと思っているかもしれません。
同時代に活躍した狩野永徳や長谷川等伯と比べてしまうと、
知名度はいま一つな感はありますが、海北友松 (かいほうゆうしょう) は、桃山画壇の巨匠です。
その半生は謎に包まれており、60代以前のキャリアに関しては、ほとんどわかっていないのだとか。
とりあえず、武家の家に生まれたこと、狩野派に学んだこと、
67歳の時に建仁寺の方丈の内装を任され、それを期に本格的にブレイクしたこと、は確かなようです。
ちなみに、細川幽斎や石田三成らとも交流しており、
特に斎藤利三 (=明智光秀の重臣) は親友だったとのこと。
その娘である春日局とも、交流があったそうです。
(それゆえ、1989年の大河ドラマ 『春日局』 にも海北友松は登場しているようです。演じたのは、吉幾三!)
と、人物像はフワフワしている海北友松ですが、
京都国立博物館が120周年記念の特別展を託しただけあって、実力は折り紙付き。
迫力という点では、狩野永徳や長谷川等伯よりも1歩も2歩も抜きん出ていました。
海北友松 《山水図屏風》(左隻) 桃山時代 16世紀 通期展示
特にスペクタクル感が味わえるのは、日本一とまで称された友松の龍図。
大画面に現れる大きな龍。
怪獣映画の一場面のような迫力があります。
重要文化財 海北友松 《雲龍図》 建仁寺(京都) 慶長4年(1599) 通期展示
しかも、今回の展覧会の会場には、そんな龍図の迫力を最大限に味わえる、
龍図だけを集めた “龍尽くし” の部屋、通称 “ドラゴンルーム” が設けられていました。
照明が最小限に抑えられた暗闇に近い部屋に、何頭もの龍の姿が浮かび上がります。
超ド迫力。
まるでシネコンで怪獣映画を観ているような体験を味わえました。
とにもかくにも、“ドラゴンルーム” のインパクトが凄かったですが。
他にも印象に残った作品があるので、いくつかご紹介いたしましょう。
まずは、《柏に猿図》 。
海北友松 《柏に猿図》 サンフランシスコ・アジア美術館(米国) 桃山時代 16世紀 通期展示
Photograph ©Asian Art Museum of San Francisco
猿の表現は、この時代のスタンダードなスタイルで描かれていますが。
ポージングでオリジナリティが発揮されていました。
特に右隻の白い猿と普通の猿との連結 (?) の仕方が微笑ましいです。
続いては、《花卉図屏風》 。
重要文化財 海北友松 《花卉図屏風》 妙心寺(京都) 桃山時代 17世紀 通期展示
右隻で咲き誇る花々の華麗さに目を奪われてしまいがちですが。
左隻に描かれた樹の枝のアグレッシブさが、気になります。
そこはかとなく、ティム・バートン感。
ちなみに、《花卉図屏風》 と関連する資料として、
《屏風画料請取状(妙心寺宛)》 が併せて初公開されています。
こちらは、友松本人から妙心寺に宛てた画料の請取状、つまり領収書。
《花卉図屏風》 を含む金碧屏風三双に支払われた報酬の可能性が高いそうです。
気になるその金額は、「銀子一貫目並びに銀子二十枚を確かに受領しました」 とのこと。
今の価格にして、約236万円。
ということは、《花卉図屏風》 は、約80万円だったのかも。
意外と安い!
最後に紹介したいのは、友松最晩年期水墨画の最高傑作との呼び声高い 《月下渓流図屏風》 です。
昭和33年にアメリカのネルソン・アトキンズ美術館の所蔵となってから、帰国したことは一度もなし。
実に60年ぶりとなる里帰りを果たしています。
海北友松 《月下渓流図屏風》(左隻) ネルソン・アトキンズ美術館(米国) 桃山時代 17世紀 通期展示
Photography by Mel McLean, courtesy of the Nelson-Atkins Museum of Art
一見すると、ボヤンとした水墨画風のモノクロの画面なのですが。
ツクシやタンポポといった一部の草花だけカラーで描かれています。
映画でいうところのパートカラーと同じ表現です。
モノクロの画面にポッと色が浮かび上がる様は、なんとも健気で可憐な印象。
春の訪れを見つけたようで、ウキウキした気持ちになりました。
東京には巡回しないので、行こうかどうか悩みましたが。
思い切って行ってみて、大正解。
2000年に京都国立博物館で開催された若冲展が、若冲ブームの火付け役になったように、
今回の海北友松展がきっかけとなって、友松ブームが起こる可能性は大いにあり得ます。
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