失われたパリの復元: バルザックの時代の街を歩く/新潮社
フランス文学者の鹿島茂氏の著書 『失われたパリの復元』 をベースにした展覧会、
“19世紀パリ時間旅行―失われた街を求めて―” が、練馬区立美術館で開催されています。
パリという都市が産声を上げたのは、紀元前3世紀のこと。
以来、ヨーロッパを代表する都市として発展を続けるわけですが、
19世紀に大々的な街の改造が行われ、パリの景観は大きな変貌を遂げました。
そんなパリの “大改造!!劇的ビフォーアフター” の様子を、
絵画や写真、書籍など多彩な作品を通じて紹介した展覧会です。
展覧会の前半では、アドルフ・マルシアル・ポテモンの 『いにしえのパリ』 (※) を中心に、
(※古き良き時代のパリを懐かしんで、路地裏の光景を版画におこした連作)
アドルフ・マルシアル=ポテモン 《ロラン=プラン=ガージュ通り(袋小路)》
1864年 エッチング、紙(『いにしえのパリ』1866年より) 鹿島茂コレクション
パリの “ビフォー” を探る旅が展開されています。
古地図も多く展示されているので、
どことなく 『ブラタモリ』 っぽい印象です。
もし、『パリでブラタモリ』 なスペシャル回があったら、
きっと、こちらに展示されている資料の数々が登場するに違いありません。
大改造された “アフター” のパリに焦点を当てた展覧会後半は、
当時のファッションやポスターなども展示され、より一層、華やかに。
19世紀のパリにタイムスリップできるような会場になっていました。
絵画作品も多く展示されていましたが、単に美術作品としてではなく、
当時のパリの最先端のランドマークや劇的に変化した光景を写し取った、
いわば、メディアとしての側面を紹介していたのが興味深かったです。
例えば、こちらのルノワールの絵画。
ピエール=オーギュスト・ルノワール 《森の散歩道(ル・クール夫人とその子供たち)》
1870年 油彩、カンヴァス 公益財団法人吉野石膏美術振興財団(山形美術館に寄託)
描かれている場所は、パリ郊外のブローニュの森なのだとか。
普通の森 (?) かと思いきや、ナポレオン三世によって大々的に整備された森とのこと。
つまり、この時代の最新おでかけスポットなのです。
また、こちらのアンリ・ルソーの絵画をご覧くださいませ。
アンリ・ルソー 《エッフェル塔とトロカデロ宮殿の眺望》 1896-98年 油彩、カンヴァス ポーラ美術館
今でこそ、すっかり 「パリ=エッフェル塔」 ですが。
この当時は出来立てホヤホヤで、まだ 「パリ=エッフェル塔」 のイメージは定着していません。
その当時に、あえて最新スポットを描く。
画家のチャレンジ精神が溢れた一枚です。
・・・・・全然、エッフェル塔感はないですが (笑)
ちなみに、エッフェル塔でいえば、
19世紀末のパリを撮影したアメリカ人写真家ハリー・エリスの写真が印象的でした。
ハリー・エリス 《夜の博覧会とエッフェル塔》 1900年 ブロマイド・プリント 東京富士美術館
今から100年前のパリの姿とは思えないくらいにスタイリッシュ。
近代都市を通り越して、未来都市のようです。
SF感すら漂っています。
“19世紀パリ時間旅行” というロマンチックなタイトルとは裏腹に、
ややアカデミックで、ややマニアックな感のある教養系の展覧会でした。
キャプションのテキストが多めなので、時間と体力には余裕をもって、おでかけください。
お腹いっぱいになる展覧会です。
最後に、個人的に印象に残った作品をご紹介。
ニュマの風刺画 《チュイルリを散歩する予算氏と王室費嬢》 です。
予算と王室費が膨れ上がっている=デブ。
シンプルかつストレートな笑いで、オススメです。
また、19世紀のパリの街角に貼られていたポスターの数々を紹介したコーナーもオススメ。
今話題のミュシャのポスターもありました。
その横には、ミュシャが 《ジスモンダ》 を制作する前に、
同じくサラ・ベルナールを描いたウジェーヌ・グラッセのポスターが展示されていました。
わりとミュシャっぽい。
というか、こちらの先に描かれているので、
ミュシャのほうが、わりとグラッセっぽいのかも。
ミュシャファンとしては、ある意味で観たくなかったポスターです。
1位を目指して、ランキングに挑戦中!(現在7位です)
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フランス文学者の鹿島茂氏の著書 『失われたパリの復元』 をベースにした展覧会、
“19世紀パリ時間旅行―失われた街を求めて―” が、練馬区立美術館で開催されています。
パリという都市が産声を上げたのは、紀元前3世紀のこと。
以来、ヨーロッパを代表する都市として発展を続けるわけですが、
19世紀に大々的な街の改造が行われ、パリの景観は大きな変貌を遂げました。
そんなパリの “大改造!!劇的ビフォーアフター” の様子を、
絵画や写真、書籍など多彩な作品を通じて紹介した展覧会です。
展覧会の前半では、アドルフ・マルシアル・ポテモンの 『いにしえのパリ』 (※) を中心に、
(※古き良き時代のパリを懐かしんで、路地裏の光景を版画におこした連作)
アドルフ・マルシアル=ポテモン 《ロラン=プラン=ガージュ通り(袋小路)》
1864年 エッチング、紙(『いにしえのパリ』1866年より) 鹿島茂コレクション
パリの “ビフォー” を探る旅が展開されています。
古地図も多く展示されているので、
どことなく 『ブラタモリ』 っぽい印象です。
もし、『パリでブラタモリ』 なスペシャル回があったら、
きっと、こちらに展示されている資料の数々が登場するに違いありません。
大改造された “アフター” のパリに焦点を当てた展覧会後半は、
当時のファッションやポスターなども展示され、より一層、華やかに。
19世紀のパリにタイムスリップできるような会場になっていました。
絵画作品も多く展示されていましたが、単に美術作品としてではなく、
当時のパリの最先端のランドマークや劇的に変化した光景を写し取った、
いわば、メディアとしての側面を紹介していたのが興味深かったです。
例えば、こちらのルノワールの絵画。
ピエール=オーギュスト・ルノワール 《森の散歩道(ル・クール夫人とその子供たち)》
1870年 油彩、カンヴァス 公益財団法人吉野石膏美術振興財団(山形美術館に寄託)
描かれている場所は、パリ郊外のブローニュの森なのだとか。
普通の森 (?) かと思いきや、ナポレオン三世によって大々的に整備された森とのこと。
つまり、この時代の最新おでかけスポットなのです。
また、こちらのアンリ・ルソーの絵画をご覧くださいませ。
アンリ・ルソー 《エッフェル塔とトロカデロ宮殿の眺望》 1896-98年 油彩、カンヴァス ポーラ美術館
今でこそ、すっかり 「パリ=エッフェル塔」 ですが。
この当時は出来立てホヤホヤで、まだ 「パリ=エッフェル塔」 のイメージは定着していません。
その当時に、あえて最新スポットを描く。
画家のチャレンジ精神が溢れた一枚です。
・・・・・全然、エッフェル塔感はないですが (笑)
ちなみに、エッフェル塔でいえば、
19世紀末のパリを撮影したアメリカ人写真家ハリー・エリスの写真が印象的でした。
ハリー・エリス 《夜の博覧会とエッフェル塔》 1900年 ブロマイド・プリント 東京富士美術館
今から100年前のパリの姿とは思えないくらいにスタイリッシュ。
近代都市を通り越して、未来都市のようです。
SF感すら漂っています。
“19世紀パリ時間旅行” というロマンチックなタイトルとは裏腹に、
ややアカデミックで、ややマニアックな感のある教養系の展覧会でした。
キャプションのテキストが多めなので、時間と体力には余裕をもって、おでかけください。
お腹いっぱいになる展覧会です。
最後に、個人的に印象に残った作品をご紹介。
ニュマの風刺画 《チュイルリを散歩する予算氏と王室費嬢》 です。
予算と王室費が膨れ上がっている=デブ。
シンプルかつストレートな笑いで、オススメです。
また、19世紀のパリの街角に貼られていたポスターの数々を紹介したコーナーもオススメ。
今話題のミュシャのポスターもありました。
その横には、ミュシャが 《ジスモンダ》 を制作する前に、
同じくサラ・ベルナールを描いたウジェーヌ・グラッセのポスターが展示されていました。
わりとミュシャっぽい。
というか、こちらの先に描かれているので、
ミュシャのほうが、わりとグラッセっぽいのかも。
ミュシャファンとしては、ある意味で観たくなかったポスターです。
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