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Channel: アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】
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わらしべ長者生活

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美術品を手に、銀座を代表するギャラリーの数々を訪問し、
昔話 『わらしべ長者』 のように、物々交換してもらおうという企画。
それが・・・

わらしべ


まずは、日本画家・阿部瑞樹さんの作品が、靖山画廊でツジモトコウキさんの日本画作品に。
そして、前回、その日本画作品が柴田悦子画廊にて、
馬場京子さんの 《虫かごワインケース》 ・・・もとい、《くちなし》 というちょっと怪しげな作品に大変身。
何と変わるかわからない。
それが、この “わらしべ長者生活” の醍醐味です。


とは言え、早くも2回目にして、変身のクセがすごかったので、
ここは一度企画を立て直すためにも、頼れるギャラリストさんのもとへと向かいました。
訪れたのは、松屋銀座のすぐ裏にあるギャラリーアートもりもと

もりもと


1階のほうではなく、2階にあるギャラリーです。

2階


ギャラリーアートもりもとは、洋画や彫刻を中心に取り扱っているギャラリー。
中堅や若手作家の企画展をコンスタントに開催しています。
僕が訪れた日に開催されていたのは、“辛文遊展「君を映す」”
(注:展示は11/11まで)

展示


こちらは、辛文遊(かのとふみゆ) さんの記念すべき初個展です。
実は、辛さんとは第2回ホキ美術館大賞展の内覧会で、
受賞者とインタビュアーという関係でお会いしています。


(辛さんとのくだりは、12分30秒頃)


あれから、約1年。
久しぶりにお会いしたら、髭が立派になっていました。

ひげ


ちなみに、辛さん本人と映っているのは、
5年前に東北芸工大の修了制作として描いたという大作。
タイトルは、《むきだしの彼女》 です。
彼女さんのくつろぎっぷりからも、相当にラブラブぶりが伝わってきますが。
何気なく画面に描かれたかっぱえびせん (?) に目を向けたところ・・・

かっぱえびせん
アップ
アップ


「ラブラブだよ!ヒューヒューだよ!」

彼女さんへの愛が溢れに溢れていました。

「今もお付き合いしているのですか?」

と伺ったところ、

「今は妻です。」

とのこと。

ご馳走さまでした!!


と、辛さんとの旧交を温めたところで、いよいよ本題へ。
ギャラリーアートもりもとの佐々井智子さん (森本さんではない!) 、よろしくお願いいたします。

佐々井


と言うや否や、早速バックヤードから作品を持ってきてくれました。
いつもチャキチャキ、さすが仕事が早い佐々井さんです。

miniQ.P


手にしていたのは、林茂樹さんの 《miniQ.P》 という作品。
プニプニしていて可愛らしいと思ったら・・・肌が全然プニプニしていません!
それもそのはず、こちらはなんと陶磁器作品。
林茂樹さんは、セラミック表現の可能性を追求し、
モビルスーツに身を包む子供などの立体作品を制作している陶造形家とのことです。

「この作品と交換でも面白いと思うんだけど。
 今のところ現役作家の作品が続いているから、
 物故作家の作品という展開も面白いと思うのよね」

というなり、すぐさまバックヤードに別の作品を取りに向かいました。
やはり仕事が早い。
そして、企画の展開も考えてくれている。
さすが仕事のできる佐々井さんです。

「ちなみに、その 《miniQ.P》 は限定200体で、
 うちのギャラリーで販売しているから、それが気に入ったなら、いつでも言ってくださいねー」

さりげなく告知を織り交ぜてくる。
そんな仕事のできる佐々井さんが、バックヤードから一つの作品を持って戻ってきました。

「とに~さん、この作品、0円と言えば0円なんだけど」

「えっ、どういうことですか?!」

まさか、3回目にして価格が0円に。
予想を遥かに超える急展開です。

「有元利夫 (※) の版画作品なんだけど、サインが無いの」
(※有元利夫・・・1946年生まれ。「ロマネスクな異色新人」としてデビューし、「画壇のシンデレラボーイ」とも呼ばれた天才画家。38歳で夭折。
 没後25周年展の記事は、こちらをクリック→https://ameblo.jp/artony/entry-10580731641.html


有元


生前の有元利夫と関係の深かった、とある額屋さんから戴いたものだそうで、
作品に一切サインがないため、値段が付けられず、売るつもりのない作品とのこと。
これまでにギャラリーに飾ったことは何度かあるそうです。

サインは無いですが、来歴は確か。
有元利夫の作品であることは間違いありません。
もし仮にサインがあったら、それなりの価格になるそうです。
しかし、佐々井さん曰く、サインなしである以上、売値が付けられないので、
次のギャラリストさんの判断次第では、0円となる可能性も大いにあるのだとか。

「とに~さん、どうします?」

ここで勝負に出るか。
それとも、堅実な交換をするか。
さんざん悩みましたが、

“有元利夫の作品と交換できるチャンスを逃す手はないでしょ!”

というわけで、交換成立。

有元


我が家に有元利夫の作品がやってくることとなりました。

部屋
アップ


この交換が吉と出るか凶と出るか。
次回にご注目。

はたして鑑定やいかに?!
(↑なんと、あのギャラリストさんが登場します)




【今回ご協力いただいた画廊】
ギャラリーアートもりもと
住所:東京都中央区銀座3-7-20 銀座日本料理会館2階




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