いよいよ、明日6月30日より、東京都美術館にて、
“マウリッツハイス美術館展 オランダ・フランドル絵画の至宝” が開幕!!
《真珠の耳飾りの少女》 を筆頭に、
マウリッツハイス美術館が所蔵する屈指の名作が、一挙来日している超話題の美術展です。
2012年の本命美術展と断言しても良いでしょう。
そこで、今夜は、
「明日の開幕まで、待てない~!」
という方々のために、一足早く美術展会場の様子を大公開いたします。
いつもは、あまり役立つ情報の無いこのブログですが、
世紀の瞬間が明日へと近づいている今日くらい、役立つ美術ブログとしてお届けします (笑)
というわけで、本日、東京都美術館へと潜入してまいりました。
思い返せば、東京都美術館に足を運ぶのは、“ボルゲーゼ美術館展” 以来のこと。
実に2年の改修工事を経て生まれ変わった東京都美術館は、
これまでの薄暗い・重たいイメージから一転して、明るく開放的な印象に。
外壁の一部が、大胆にガラス張りになったことで、
これまでの東京都美術館に感じていた閉鎖的なイメージが一蹴されました。
しかも、エスカレーターも設置され、移動が楽チンになりました。
もちろん内部だって、明るい印象に。
照明が変わるだけで、こんなにも印象が変わるのですね。
と、これだけの大々的なリニューアルを記念して、
満を持して開催されているのが、今回のマウリッツハイス美術館展。
それは、気合いが入るのも当然です。
ポスターを、至る所で目にしましたし、
このCMも、テレビで何度目にしたことでしょうか。
開催側の気合いが伝わってくるだけに、
当然、観る側のこちらも気合いが入るというもの。
気合いと期待感が入り混じって、会場に入る前に武者震いが起こりました。
落ち着け、自分。
(注:特別に、主催者さんに、写真撮影の許可を頂いております。会場での写真撮影は、禁止です)
まず、会場で出迎えてくれるのが、この方↓
ヨーハン・マウリッツ (1604~1679) さん。
今回の美術展に気前よく 《真珠の耳飾りの少女》 を貸してくれたマウリッツハイス美術館とは、
そもそも、このヨーハン・マウリッツさんの家の建物を転用した美術館。
マウリッツさんの家 (=ハイス) だから、マウリッツハイス美術館なのです。
ちなみに、マウリッツさん自体は、
オランダ領ブラジル総督を務めた人物で、特に美術コレクターではなかったそうな。
(マウリッツハイス美術館コレクションの基礎を作ったのは、その甥のフレデリック・ヘンドリック)
数百年の時を越えて、こうして日本にやってきた彼ですが、
「ナゼ、私ハ日本ニイルノデショ~カ??」
と、頭が疑問符でいっぱいに違いありません (笑)
この 《ヨーハン・マウリッツ胸像》 をはじめ、
第1章では、 「美術館の歴史」 をテーマにした作品の数々が紹介されています。
続く、第2章は、 「風景画」 のセクション。
風景画の傑作、ライスダールの 《漂白場のあるハールレムの風景》 は、こちらで観られます。
まだまだ 《真珠の耳飾りの少女》 は、現れません (笑)
第3章は、ルーベンスの 《聖母被昇天》 の下絵も展示されている・・・
「歴史画(物語画)」 のセクション。
レンブラントの作品や、その弟子の作品に交じって、
何食わぬ感じで (?) 展示されていたのは、 《ディアナとニンフたち》 。
「ふんふん、《ディアナとニンフたち》 かぁ・・・・・・・って、フェルメールの?!」
CMでもポスターでも、あまりに 《真珠の耳飾りの少女》 推しなので。
フェルメール唯一の神話画とされる 《ディアナとニンフたち》 まで来日していたとは、知りませんでした。
(思わずの興奮からか、写真がブレブレなので、画像を貼っておきます↓)
想定外の 《ディアナとニンフたち》 。
全く構えていなかっただけに、思わず本物かどうか疑ってしまいましたよ (笑)
ちなみに、僕だけでなく、本日の内覧会に来ていた方のほとんども、
お目当ては、 《真珠の耳飾りの少女》 のようで、こちらの作品には、あまり足を止めていないご様子。
皆様は、くれぐれも素通りされませぬよう。
《ディアナとニンフたち》 のあとは、第4章 「肖像画と “トローニー”」 が始まります。
キャプションには、ついにあの少女の姿が!
ご対面の時が、いよいよ近づいてきたようです。
期待と緊張で、ドキドキ感は最高潮に!
《真珠の耳飾りの少女》 よ、カモ~ン!!
・・・が、一旦エスカレーター (笑)
何ですか?この 「続きは、CMのあとで」 のような演出は (笑)
エスカレーターが、やたらと長く感じました。
そして、登りきった先に待っていたのは、
『Girl with a Pearl Earring』 の文字が書かれた特別な一角。
(写真がブレブレで、本当にすいません)
一歩足を踏み入れると、そこに・・・
あの少女は、いました!!!
“あ、今、目が合った♪” “絶対、こっち見てるって♪”
何だか、アーティストのライブに行ったファンのような心境に (笑)
もちろん、もっと近くに寄りましたが、
これから行かれる皆様の楽しみのために、その写真は載せないようにしておきます。
そして、詳しい感想も、これから行かれる皆様の楽しみのために自粛。
ただ一言言えるのは、
「傑作を語るのに、言葉はいらない。」 ということだけです。
ちなみに、こちらの一角には、行列対応用のロープが用意されていました。
美術展が始まってから、一体どれくらいの混雑が起こるか予想は出来ませんが。
行列対応用のロープが用意されているということは、かなりの混雑を想定しているということ。
ただでさえ、混雑が予想される会期終了間近ではなく、
出来るだけ早めに、マウリッツハイス美術館展に行かれることをオススメします。
さてさて、お目当てである 《真珠の耳飾りの少女》 をたっぷり堪能してしまったため、
「あとは、残りをサ~ッと観て帰ろう♪」
と、完全に気が抜けてしまった僕。
ところが!
このマウリッツハイス美術館展は、ここからもスゴい!
アンソニー・ヴァン・ダイクによる肖像画に、
フランツ・ハルスの 《笑う少年》 に、
レンブラントの晩年の 《自画像》 に。
マウリッツハイス美術館の珠玉のコレクションが、
惜しげもなく、ゴロゴロと登場するではないですか。
第5章の 「静物画」 、第6章の 「風俗画」 でも、その勢いは衰えず。
最後の最後まで、マウリッツハイス美術館のマスターピースを満喫することが出来ました。
作品数は、全部で48点と、通常の美術展の半分ほどですが、
展示数を押さえた分、質で勝負している姿勢に、感服いたしました。
美術展とは、かくあるべきです。
混雑は必至ですが、それでも行くべき美術展と言えましょう。
と、ここで、これから行かれる方のために。
《真珠の耳飾りの少女》 の前は絶対に混むので、それ以外でオススメの作品をご紹介したいと思います。
まずは、アーブラハム・ファン・ベイエレンの 《豪華な食卓》
これまで何点も静物画を観てきましたので、
それなりに耐性が付いたつもりでいましたが。
そんな僕でも驚きを隠しきれなかったのが、この一枚。
「巧っ!」 と、思わず口をついて出てしまいました (笑)
一つ一つの描写が、完璧すぎるのは、言わずもがなですが、
何よりも衝撃的なのは、画面中央に描かれた金属製の水差し。
よ~く近寄って観てみましょう。
お分かりになりますか?
キャンバスを前にして絵を描いている作者が映り込んでいるのが!
(心霊写真ではないですよw)
細かすぎて伝わらない静物画です。
そして、もう一点。
フェルメールも影響を受けたという夭折の画家カレル・ファブリティウスの 《ごしきひわ》
まるで騙し絵のようなリアリティがある静物画。
ごしきひわの可愛らしさは、特筆すべきものがあります。
こんなにも素晴らしい才能があったカレル・ファブリティウスですが、
その人生の最期は、デルフトの爆薬庫が爆発した大事故に巻き込まれるという不運なものでした。
しかも、その大事故により、彼のアトリエも瓦礫の山に。。。
彼の作品の多くも、そのせいで失ってしまったのだとか。
美術界一、不運な画家と言っても過言ではありません (泣)
最後は、オススメ・・・ではないですが、
暑い夏にピッタリ (?) のちょっと怖い絵を。
ホーフェルト・フリンクの 《椅子の傍らの少女》 です。
少女・・・?
少女とは思えない貫禄と、倦怠感があります。
二児の母と言われても、違和感はありますまい。
そんな少女が、何も言わず、じっとりと見つめ続けてきます。
怖いよ!
~おまけ~
気合いが入りまくりのマウリッツハイス美術館展。
美術展そのものだけでなく、お土産コーナーにも気合いが入っています。
いろんなグッズがありましたが、一番衝撃的だったのが、こちら↓
蒼の調べ (1953円)
「フェルメールが日本を訪れ、とらやで羊羹を注文したら。」 というコンセプトで制作された羊羹です。
どんな “if(もしも)” なんだwww
いや、この羊羹を売るのでしたら、
アートテラー特製のフェルメール丼も、東京都美術館のレストランで販売してはどうですか?
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マウリッツハイス美術館展 オランダ・フランドル絵画の至宝
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