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Channel: アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】
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毛利悠子 グレイ スカイズ

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JR辻堂駅から徒歩5分。
ココテラス湘南の6階に、2015年10月にオープンしたばかりのアートスペースがあります。

藤沢市


その名も、藤沢市アートスペース。
愛称は、 Fujisawa City Art Spaceの頭文字を取って、FAS (エファース) です。

そんなFASで、現在開催されているのが、
“毛利悠子 グレイ スカイズ” という展覧会。
藤沢市出身で、国内外から最も注目を集める若手アーティストの一人・毛利悠子さんの個展です。

グレイ


ちなみに、展覧会のタイトルの 「グレイ」 とは、
毛利さんの記憶の中にある藤沢市の空の色のイメージとのこと。
藤沢市の方の名誉のためにお伝えしておきますが (←?)
僕が藤沢市を訪れた日は、富士山がバッチシ見えるくらいの青空でした。

藤沢


グレイスカイばかりではありません。


さてさて、まずはじめに会場で出会ったのは、《Everything Flows》 という映像作品。

Everything Flows


プロジェクターが投影している先は、
スクリーンではなく、ビールジョッキでした。

ビール


そこに映し出されているのは、藤沢近辺で撮影された浜辺の映像です。
寄せては返す波。
何の変哲もない浜辺の映像なのですが。
色合いといい、泡しぶきといい、波が引くときのシュワ~という音といい。
ビールにしか見えません (笑)
思わずゴクリ・・・いや、ニヤリとさせられる作品でした。


続いて登場するのは、毛利悠子さんの代表作 《パレード》

ぱれーど


風船がぶわっと膨らんでは、萎んだり、

風船


アコーディオンが音を奏でたり、

アコーディオン


足元のハタキがいきなりビクンと動いたり、

はたき


毛利さんが廃校から譲り受けてきたという不用品が、
まさしくパレードのごとく、賑やかな動きを見せる作品です。
作品の心臓部となるのが、こちらのマシン↓

壁紙


花柄の壁紙が、ゆっくりクルクル回ります。
その色の変化を各センサーが読み取って、電気がオンになったりオフになったりするとのこと。
・・・・・わかったようなわからないような (汗)
まぁ、いうなれば、電子版オルゴールって感じでしょうか。


と、仕組みはさておき。
この作品、そして、この作品がある空間。
全体的に、何ともパッとしない色をしています。
実は、これは狙ってのこと。

ナトリウムランプ


会場のあちこちにトンネルでよく使われるナトリウムランプを設置し、
あえて色味を消し、グレイ一色の光景が広がるにしているのだそうです。
つまり、《パレード》 グレイ スカイズver.。
ちなみに、作品の周囲を囲むカーテンも元の色はグレーではありません。
周期的に白熱電球が灯ることで・・・

ピンク


カーテンの色がピンクであるのがわかります。
しかも、林家ペー・パー子夫妻ばりのショッキングピンク。
グレイと思ったらピンクだったり。
グレイと思ったらオフホワイトだったり。
自分が見ている世界が、必ずしも正しいとは限らない。
そんなことを考えさせられる深イイ作品でした。


さて、最後に紹介されていたのは、
日産アートアワード2015でグランプリを受賞した彼女のもう一つの代表作 《モレモレ》
語感だけ聞くと、ハワイ料理っぽい感じがしますが。
《モレモレ》 を漢字で書くとすると、“漏れ漏れ”となります。
ビニールシートやバケツ、ペットボトルなどを即興的に組み合わせ、
水漏れに対処する東京の駅員さんの器用な仕事っぷりに感銘を受けたという毛利さん。
それに着想を得て、意図的に水漏れを作り出し、
その水がピタゴラスイッチ的に循環する 《モレモレ》 を数多く制作してきました。
今回のグレイスカイver.《モレモレ》 は、複数名が参加した2日間のワークショップで制作されたもの。

モレモレ
モレモレ
モレモレ


何かボーっと見入ってしまう、《モレモレ》 の不思議な魅力は兼ね備えていましたが。
やはり 《モレモレ》 の素人 (?) の手が入っているため、
造形的にちょっと甘く感じる、漏れを感じるところはありました。



ともあれ、小さなスペースとはいえ、
これだけ良質な展覧会を、しかも無料で開催しているとは!
藤沢市アートスペース、恐るべし。
星
これからは展覧会を漏らさずチェックいたします。




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