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Channel: アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】
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北斎と北斎派の江の島

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先日、藤沢市アートスペースで、
“毛利悠子 グレイ スカイズ” をたっぷり鑑賞し、帰ろうとした時のこと。
とある案内札が目に飛び込んできました。

立札


「あれっ?上の階にも、美術館があるの??」

階段をあがってみると・・・

藤澤浮世絵館


そこには、藤沢市藤澤浮世絵館がありました。(←「沢」 ではなく 「澤」)
こちらは、2016年の7月にオープンしたばかりの施設で、
藤沢市が所蔵する約2000点の浮世絵や絵草子などを入れ替えしつつ公開しています。
下の階の藤沢市アートスペースも無料の施設でしたが、こちらの藤沢市藤澤浮世絵館も無料とのこと。
藤沢市、太っ腹です。

さらに、太っ腹なことに・・・

館内


フラッシュさえ焚かなければ、館内の写真撮影も可能。
それが理由なのかわかりませんが、館内には外国人のお客さんがちらほらいらっしゃいました。

さてさて、館内は全部で4つのコーナーに分かれていました。
まずは、藤沢宿に関連して東海道五十三次コーナー。

東海道五十三次コーナー
東海道


その藤沢宿をフィーチャーしたコーナー。

藤沢
藤沢宿


藤沢宿から南に進んだところにある江戸時代からの人気観光地、江の島コーナー。

江の島コーナー
江の島コーナー


そして、企画展示コーナーです。
僕が訪れた時に、こちらで開催されていたのは、“北斎と北斎派の江の島” という企画展。
葛飾北斎とその弟子である魚屋北渓、昇亭北寿らが江の島を描いた浮世絵が特集されています。
「北」斎に、「北」渓に、「北」寿に。
みんな 「北」 が付いています。
くしくも2017年の今年の漢字は、「北」。
2017年のラストを締めくくるに相応しい展覧会でした。
星


展示されていた中で特に印象に残っているのは、やはり北斎の浮世絵。
西洋画風に風景を描いた浮世絵です。

富士山


画面の中央に見えているのが、江の島。
わりと小さめ。
そういう意味では、主役は江の島というよりも、手前の波なのかもしれません。
《神奈川沖浪裏》 のダイナミックな波と比べると、かなりマイルドな波でした。
サーファーが喜びそうな波。
さすが湘南、サーファーの聖地なだけはあります。
ちなみに、画面右上に筆記体が書き込んであるように見えますが。

筆記


実は、これは 「ほくさいえかく(北斎描く)」 の文字を90度回転させたもの。
洒落っ気が効いていました。

筆記体


もう一点、印象に残っているのが、魚屋北渓の 《江島記行 六郷》 です。

魚屋北渓


こちらは、正確には浮世絵ではなく、摺物 (すりもの)
採算を取ることが前提の売り物の浮世絵とは違って、
摺物は富裕層がプライベート用に作らせた印刷物であるため、
彫りにも摺りにも、贅が凝らされているのが特徴です。
確かに、線がシャープですし、色も綺麗です。
さらに、よ~く見てみると、雨がキラキラ光っているではないですか。
なんと銀泥 (銀を含ませた絵の具) が用いられているとのこと。
顔を近づけて楽しむべし。


こちらの企画展示コーナーで終わりかと思いきや。
そのあとには、おまけ展示コーナーもありました。

おまけ
おまけ


おまけって・・・(笑)
『お笑いマンガ道場』 の 「だん吉なお美のおまけコーナー」 を思い出してしまいました。


ちなみに、ビルの7階に位置する藤沢市藤澤浮世絵館。
その手前に視界を妨げる大きなビルがないため、
天気が良ければ、窓から富士山を望むことが出来ますよ。

富士山
富士山




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