現代アーティスト・小沢剛さんの関東では久々となる大規模個展、
千葉市美術館で開催中の “小沢剛 不完全―パラレルな美術史” に行ってきました。
初期の代表作から最新作 《不完全》 まで。
日本美術史から着想を得て、小沢さんが制作した作品を中心に展示されています。
こちらが、その 《不完全》 という作品↓
明治期に西洋美術教育が導入されて以来、
当たり前のように、石膏デッサンが授業で行われています。
(藝大を含む美大の入試でも必須!)
しかし、なぜ石膏像をデッサンすることが、
そこまで重要なのか、何よりも大事なのか、明確に答えられる人はいないとのこと。
そんな現在に至るまでなんとなくデッサンされ続けている石膏像、
それも藝大の大石膏室に置かれている本物の石膏像を使ったインスタレーション作品です。
壁に掛けられているのは、歴代の芸大生の本物の石膏デッサン。
中には、青木繁や中沢弘光といった、
美術史に名を残す画家たちの学生時代のデッサンもありました。
作品が言わんとすることはわかるのですが。
これまで一度も人生で石膏デッサンをしたことがないので、
“まぁ・・・ふ~ん。そっか・・・”
と、他人事に感じてしまいました。
新作が楽しみだっただけに、不完全燃焼です。
“もしも藤田嗣治が、戦後にパリではなく、バリに行ってたら・・・” と、
もしもシリーズばりに、架空の歴史の物語を紹介する 《帰って来たペインターF》 や、
“もしも平安時代に中国から伝来して以来、
醤油が調味料としてだけでなく、画材としても使われていたら” をテーマにした 《醤油画資料館》 など、
(↑本当に醤油で描かれています。なので、そこはかとなく醤油の香りが漂っていますw)
《不完全》 以外の作品に関しては、アートテラー的には楽しめましたが。
ある程度、美術史や美術に対して興味がないと、刺さらないだろうなァという印象を受けました。
決して、作品自体は難解では無いのですが、
楽しみ方が難しい、完全に玄人向けの展覧会です。
ちなみに。
個人的に一番印象に残っているのは・・・
《す下降にンバンレパ兵神神兵パレンバンに降下す》 という作品。
こちらは、鶴田吾郎 (1890~1969) の戦争画 《神兵パレンバンに降下す》 をモチーフにした作品です。
(画像は、こちら→鶴田吾郎:神兵パレンバンに降下す)
鏡文字になっているタイトルから、
想像がついた方がいらっしゃるかもしれませんが (←その方は、天才!)
描きたてホヤホヤの絵をロールシャッハテストの要領で、左右反転させています。
すると、鶴田吾郎の絵画では、銃口の先に敵は描かれていなかったのに、
《す下降にンバンレパ兵神神兵パレンバンに降下す》 (←言いづらい…。) では、銃口の先に敵が。
それも自分自身が銃を向けて、対峙しているではないですか!
小沢剛さん自身の言葉で書かれたキャプションに、こんな一文がありました。
「他者に向けた銃口は、時間をかけてやがて己に向かってくるのです。」
・・・・・・・・・・・・・・。
決して、作品自体は難解では無いのですが、
楽しみ方が難しい、完全に玄人向けの展覧会です。
↑う~ん、あんなこと言わないほうが良かったか。
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小沢剛 不完全―パラレルな美術史
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