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Channel: アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】
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わらしべ長者生活

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美術品を手に、銀座を代表するギャラリーの数々を訪問し、
昔話 『わらしべ長者』 のように、物々交換してもらおうという企画。
それが・・・

わらしべ


今回は、いよいよ東京画廊へ!

東京画廊


1950年に銀座にオープンした老舗中の老舗のギャラリーです。
実は、こちらの東京画廊は、なんと日本で初めて現代美術を扱ったギャラリー。
フォンタナやジャクソン・ポロックなど、
欧米の現代美術作家をいち早く日本に紹介したのも東京画廊なら、
高松次郎や岡本太郎など、当時の日本の現代アート作家をいち早く取り上げたのも東京画廊です。

きっとスゴい作品に交換してもらえるに違いありません!
期待が高まります。

こちらが、2代目で現社長の山本豊津 (ほづ) さん。

豊津


まずは、開催中の展覧会 “高明根「A blending space」” をたっぷりと案内頂きました。
(注:展覧会は12/30まで。1/20より “香月泰男” 展がスタートします!)

高明根


高明根氏は1964年生まれの韓国人のアーティスト。
撮影した写真をフィルムにデジタル印刷し、透明なプラスチックでラミネート加工、
それらをヒートガンを使用して、立体的に組み立てた作品を制作し続けているそうです。

作品


写真という平面の素材が、立体に。
内部でもあり外部でもあるような独特な空間が生まれている…etc.
山本さんの話を聞いていると、作品がどんどん魅力的に感じられます。
そして、買いたくなってしまいます。
さすが、お笑い大好き山本さん (今ハマっているのは、モンスターエンジンとのことw)。
銀座のギャラリストの中で、間違いなくNo.1話術の持ち主です。
ちなみに、山本さんの話術は文章でも、いかんなく発揮されています。

アートは資本主義の行方を予言する (PHP新書)/山本 豊津


コレクションと資本主義 「美術と蒐集」を知れば経済の核心がわかる (角川新書)/山本 豊津



美術系の本は小難しいものが多いですが、
山本さんの新書は、実に読みやすいし、タメになります。
忖度なしで (←ここ重要!)、オススメですよ。


と、気づけば、本題に入る前に30分以上が経過。
山本さんはNo.1話術の持ち主でもありますが、No.1話し好きでもあるのです。

「あのー、そろそろ本題に・・・」

「あ、そうだった。そうだった」

そう言って、まず山本さんが見せてくれたのが、こちらの作品です。

菅木志雄


・・・・・作品??
ただ角材に釘が打ち付けてあるようにしか見えません。

「その作品と牧進さんの作品と交換するのが面白いと思ったんだけど、どうかな?」

「えっ・・・(汗)。他に候補はありませんか??」

「あるよ。じゃあ、その作品持ってくるね。
 ちなみに、その角材のは、菅木志雄さんの作品。
 飛び出してる釘の長さがそれぞれ半分ずつになってて面白いでしょ?」
 
木々


「あ、ホントですね!!」

「最近、菅木志雄さんは世界的に人気が高いから、
 その小さな作品でも、×××万円 (自粛) くらいすると思うよ」

「!!!!!!」

「それじゃ、別の作品持ってくるから、ちょっと待っててね」

あちゃ~。
菅さんの作品と交換してもらえば良かった。。。
激しく後悔する僕のもとに、山本さんが新たな作品を持って戻ってきました。

「何か面白い作品無いかなぁと思って、
 昨日いろいろと探していたら、こんなん出てきたんだよね」

田中


「これは、どなたの作品ですか??」

「田中田鶴子さんって、1913年生まれで102歳でお亡くなりになった画家さん」

「初めて知る画家です。どんな人だったんですか?」

「僕もよくわからない(笑)。親父 (先代) の時に、ここで個展をやってるみたいだけど」

田中


「簡単に調べてみたら、グッゲンハイム国際美術展に出品してたり、
 第6回サンパウロビエンナーレに出品してたり、1960年代の前半に世界で活躍してるんだよね。
 これから評価が高まっていくかも」

「そうなんですね!」

「ちなみに、キャンバスの裏側に、昔の東京画廊のシール貼ってあるでしょ」

東京画廊


「右上のTのマークのやつですか?」

「そのシール、今、もうウチにはないんだけどね。
 作品の来歴を保証する意味合いもあるから、
 最近では、それのニセモノのシールも出回っているんだよ」

「もちろん、このシールは本物ですよね??」

「当たり前だよ、うちにあったんだから (笑)」

「じゃあ、この作品と交換でお願いいします!」

牧


かくして、華やかさから一転、我が家に謎の抽象画がやってきました。

田中


東京画廊から発掘された田中田鶴子の絵が、今後、どのようなドラマを生んでいくのか。
2018年のわらしべ長者企画にも、どうぞご期待くださいませ。

ちなみに、東京画廊での帰り際、山本さんが、

「僕もよくわからない作品だから、次に交換するギャラリストさんは大変だろうなァ」

と、ポツリと漏らしていました。
どうなる次回?!


【今回ご協力いただいた画廊】
東京画廊
住所:東京都中央区銀座8-10-5第4秀和ビル7階




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