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Channel: アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】
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ブリューゲル展 画家一族 150年の系譜

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現在、東京都美術館で開催されているのは、
“ブリューゲル展 画家一族 150年の系譜” という展覧会。

ブリューゲル
(注:館内の写真撮影は、特別に許可を頂いております。)


こちらは、美術界の華麗なる一族・ブリューゲル一族に焦点を当てた展覧会で、
16世紀のフランドルを代表する画家ピーテル・ブリューゲル1世の作品を筆頭に、
ピーテル・ブリューゲル2世ら二人の息子、孫、さらにひ孫の代の作品など約100点が紹介されています。

今回の出展作の多くが、普段公開されていない個人所蔵の作品。
しかも、ほとんどが日本初公開です。
そんな貴重な作品群で構成されていたのは、大変ありがたかったのですが。
風景画の章であったり、風俗画の章であったり。





時系列でなく、ジャンルごとに紹介されていたのは、ややしんどかったです。
というのも、「花のブリューゲル」 と呼ばれたヤン・ブリューゲル1世や、
さらに、その息子ヤン・ブリューゲル2世、ヤン1世の娘の夫のダーフィット・テニールス2世など、
さまざまなブリューゲル一族が神出鬼没に登場するので、誰が誰だったかを把握するのに一苦労。
中には、ヤン・ピーテル・ブリューゲルなる人物も。


ヤン・ピーテル・ブリューゲル 《花の肖像》


思わず、「どっちやねん!」 とツッコみたくなりました。
星


さてさて、今回出展されていた作品の中で、
気になった作品をいくつかご紹介いたしましょう。
まずは、メインビジュアルにも使われているピーテル・ブリューゲル2世の 《野外での婚礼の踊り》


ピーテル・ブリューゲル2世 《野外での婚礼の踊り》 1610年頃 Private Collection


これでもかというくらいに、皆さまハメを外しています。
それも、中央奥に座っている花嫁、まったく関係なしに。
陽気に踊っている男性たちの股間が、まぁ、おかしなことになっています。
この時代のファッションなのでしょうが、今の時代なら変態扱いで一発アウトです。
乙女の皆さまは、あまりジロジロ見ませぬよう。
ちなみに、股間繋がり (?) で、
画面左の建物に向かい、こちらに背を向けている3人の黒い服の男性も気になりました。
おそらく、用を足しているのでしょうか。
飲みすぎからの、連れション。
2次会以降によく見られる光景です。


続いて印象に残ったのは、ピーテル・ブリューゲル2世の 《鳥罠》 という作品。


ピーテル・ブリューゲル2世 《鳥罠》 1601年 Private Collection


もともとは、父であるピーテル・ブリューゲル1世がオリジナルを生み出したのですが、
ブリューゲル一族作品の中でも特に人気作で、100点以上ものヴァージョンがあるのが知られています。
《鳥罠》 と名にあるものの、「肝心の鳥罠はどこに?」 と思ったら、画面の右に小さく描かれていました。
たくさんの鳥が集まっている板みたいなのが、鳥罠とのこと。
板でパーンとプレスする感じで、鳥を捕まえるようですね。
なんと残酷な。
ちなみに、この絵の中にはもう一つ罠があるそうです。
それは、画面左に描かれた氷の穴。
スケートやコマで遊ぶ人々は、その存在に気付いていないよう。
日常に潜む (リアルな) 落とし穴です。


個人的にもっとも印象的だったのは、ヤン・ブリューゲル2世と、
バルトロメオ・カヴァロッツィによる合作 《花輪に囲まれた聖家族》




聖家族の肖像と、周囲の花のフレームのアンバランスさが、何ともいえません (笑)
初期のプリクラを見ているかのようです。


最後に、普通にお気に入りの一枚をご紹介。


ヤン・ブリューゲル1世(?)、ルカス・ファン・ファルケンボルフ 《アーチ状の橋のある海沿いの町》 1590-1595年頃 Private Collection, Belgium


うっとりするほど青色が美しかった作品です。
ブリューゲル一族の作品は、人やモチーフがちまちま描かれがち (←ブリューゲルあるある)。
普段の展覧会以上に、目が疲れてしまいましたが、
そのたびに、《アーチ状の橋のある海沿いの町》 を見て、目の疲れを癒しました。


余談ですが。
今回の展覧会は、特にグッズが充実していました。
ブリューゲル一族が活躍したフランドルが、
現在のベルギーにほぼ相当することにちなんで、ベルギービールも大充実。
チャートまで用意されていました。




本気ぶりが伝わってきます。




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