今年2018年は、風景画の巨匠・歌川広重の没後160年にあたる節目の年。
それを記念し、太田記念美術館では、
春と秋の二度にわたって、大々的な歌川広重展を開催するそうです。
その第一弾として、現在開催されているのが、“広重 名所江戸百景” という展覧会。
広重が死の直前まで手掛けたという、
最晩年の傑作シリーズ 《名所江戸百景》 にスポットを当てた展覧会です。
今回の展覧会では、前後期に分けて、その全点を一挙大公開!
“百景” といいながら、全部で120点ある 《名所江戸百景》 をまとめて観られる貴重な機会です。
さてさて、《名所江戸百景》 は、個人的にはかなり思い入れの強い浮世絵シリーズ。
と言いますのも、太田記念美術館の渡邉学芸員と不定期に開催しているアートツアー、
「そうだ 江戸、行こう。」 にもっとも多く登場するのが、この 《名所江戸百景》 なのです。
今回出展されている作品の大半が、これまでのツアーに登場したものでした。
ポスターに使われている 《亀戸梅屋敷》 は 【亀戸編】 で、
《湯しま天神坂上眺望》 は 【神田界隈編】 で、
《佃しま 住吉乃祭》 は 【隅田川下流編】 で、それぞれ登場。
“あぁ、ここに描かれている場所に、実際にみんなで足を運んだなァ”
100年以上経っても当時の雰囲気が残っているパターンもあれば、
ビックリするくらいに全く面影を残していないパターンもありましったっけ。
これまでのツアーの歩みを思い返しながら鑑賞したので、感慨もひとしおでした。
“わざわざ浮世絵が描かれた場所に行かないからなー” という方も、どうぞご安心を。
今回の展覧会では、作品とともに、その地点を示すGoogleマップも紹介されています。
例えば、気軽に富士登山気分が味わえると、
アトラクション感覚で当時人気を集めていた人造富士山が描かれた 《目黒元不二》 。
浮世絵を見ただけでは、どこを描いているのが予想がつきません。
しかし、Googleマップがあれば大丈夫。
赤いマーカーが示していたのは、代官山と中目黒の間。
今ではすっかりおしゃれタウンのあたりです。
富士山の面影こそないですが、観光客で賑わっているのは今も昔も変わっていないのかも。
と、Googleマップをヒントに、江戸時代と現在を比べながら鑑賞を楽しんでみてください。
浮世絵がずっと身近に感じられるはずですよ。
ちなみに、今回出展されていた中で印象的だった作品をいくつかご紹介。
まずは、《芝愛宕山》 です。
描かれているのは、愛宕神社で行われる奇祭 「強飯式 ( ごうはんしき )」。
大きなしゃもじを持った人物はヨネスケではなく、毘沙門天の使い・・・という設定だそうです。
この毘沙門天の使いが、従者とともに円福寺に赴き、
信者に山盛りのご飯を残さず食べろと迫るお祭りなのだとか。
人ん家の晩ご飯を食べていく、ヨネスケとは逆です。
続いては、《駒形堂吾嬬橋》。
こちらは摺師の職人技が冴えわたった一枚。
空に浮かぶ雨雲の表現には、版木を濡らして、
その上から絵の具をのせてぼかす、「あてなしぼかし」 という技法が使われているそうです。
雨雲の不穏な感じが見事に表現されています。
・・・・・・・その分、と言ってはなんですが。
広重が描いたホトトギスが、なんか残念な感じでした。
飛んでる感じがしません。
それと、《馬喰町初音の馬場》 も。
広重が描いた犬が、なんか残念な感じです。
そもそも犬なのさえかも怪しくなってきました。
最後に、告知を。
今週の日曜 (晴れそうですね♪) に、
上半期ラストとなる 「そうだ 江戸、行こう。」 を開催します!
今回の舞台は、【飛鳥山&駒込編】。
“広重 名所江戸百景” にも出展中の 《王子瀧乃川》 も登場しますよ。
すでにロケハンしてきましたが。
浮世絵に描かれたこの光景、実は、わりとそのまま残っていました!
定員まであと若干名の余裕がありますので、是非この機会に遊びにいらしてくださいませ。
(浮世絵に興味がない方も大歓迎です!)
詳細や申し込みは、こちらからお願いいたします↓
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広重 名所江戸百景
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