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Channel: アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】
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没後50年 中村研一の制作―日常風景とともに

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近代日本洋画壇の重鎮として活躍した中村研一 (1895~1967)。
その没後50年がちょうど経過したこともあり、
かねてから一度は訪れようと思っていた (でも、遠いので面倒くさがっていた)・・・




小金井市立はけの森美術館に行ってきました。
最寄り駅の武蔵小金井駅から、小金井市立はけの森美術館までは徒歩約15分。
“はけの道” なる道に沿って歩き、




濁点がイタズラ書きされてしまった “コーポはけ” の前を通過し、




しばらく進むと、ようやく美術館の建物が見えてきます。




・・・・・・・ところで、“はけ” って何でしょう??

“はけ” とは、小金井市南部を東西にのびる国分寺崖線を指す言葉とのこと。
古代多摩川の流れで削られた階段のような地形を、この辺りの人は “はけ” と呼んだのだとか。

50歳の時に、東京の空襲で代々木初台のアトリエは焼失した中村研一は、
自然豊かなこの “はけ” の地に移り住み、以後、最晩年まで精力的に創作活動を行ったそうです。
美術館の裏手には、中村研一夫妻が住んでいた当時の面影を残す森が広がっていました。




さらには、湧き水もいまだに湧き続けていました。




ちなみに、湧き水の奥に見えるのは、かつて中村研一が自宅として暮らしていた建物。
現在は、Musashinoはけの森カフェとして、
欧風ビーフカレーセットや日替わりキッシュプレートなどを提供しているようです。




と、“はけ” やカフェの話題はさておき。
本日のメインである美術館へ、そろそろ足を踏み入れましょう。
中村研一の死後、妻の富子が独力で開館したのが前身である中村研一記念美術館。
その後、約800点の作品を小金井市へ寄贈し、
改修などを経て、2006年に開館したのが今の中村研一記念小金井市立はけの森美術館なのだそうです。
ちなみに、現在開催されていたのは、“没後50年 中村研一の制作―日常風景とともに” という展覧会。




それまではモノトーンの色彩が多かったそうですが、
はけの森に移り住んでから、一転して色彩が明るくなったという中村研一。
そんな中村研一の “ところ変われば” な作品の数々を紹介した展覧会です。






出展作のほとんどが、室内か庭、それから、妻を描いたものでした。
家から出る気配なし。
きっと、それくらいに居心地の良い場所だったのでしょうね。
中村研一というと、個人的には、戦争画 (現在は東京国立近代美術館が所蔵) のイメージが強い画家だったので。

“後半生は、悠々自適な生活を送っていたんだなぁ。
平和だったんだなぁ。うん、良かった良かった。”

と、なんだかホッとするものがありました。
はけの自然豊かな環境と相まって、穏やかな気持ちになる展覧会です。
星


ちなみに。
余談ですが、美術館のすぐ目の前に、「はけの小路」 なる場所がありました。




写真を撮ってる人が何人もいらっしゃったので、
そんなに有名なスポットなのかと尋ねてみたところ・・・




なんでも、ジブリ映画の 『借りぐらしのアリエッティ』 のロケ地となった場所とのことでした。


・・・・・・・観てないので、全くピンと来なかったですが。




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