サントリー美術館で開催中の展覧会、“ガレも愛した-清朝皇帝のガラス” に行ってきました。
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(注:館内の写真撮影は、特別に許可を頂いております。)
こちらは、中国・清王朝の時代につくられたガラス作品にスポットを当てた展覧会です。
ガラス作品の展覧会は、特に目新しい気がしなかったので、
清王朝時代のガラス作品と聞いても、「へぇー。ふーん。」 くらいにしか思っていませんでしたが。
実は、中国の長い歴史において、もっともガラス工芸が飛躍的に発展したのが、清王朝の時代。
清王朝第4代康煕帝が、紫禁城内にガラス工房を設置し、皇帝のためのガラスを制作させたのです。
そうして生まれた清朝のガラス作品は、
中国国内にとどまらず、今なお世界的にも高い評価を受けているとのこと。
今回の展覧会には、そんな貴重なガラス作品が、
日本国内の各美術館やヴィクトリア・アンド・アルバート博物館から大集結しています!
「へぇー。ふーん。」 で済ませられるレベルの展覧会ではありませんでした。
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さてさて、清朝ガラスの特徴は、何と言ってもカラフルであるということ。
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左から)《紫色龍文鉢》 町田市立博物館、《紅色騎馬武者文鉢》 町田市立博物館、《青色長頸瓶》 東京国立博物館、《藍色鉢》 ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館
お値段は比較にならないほど開きはありますが、
カラーバリエーションだけ見ると、IKEAのテーブルウェアのようです。
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左から)《青色木瓜型鉢》 東京国立博物館、《水色鉢》 ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館、《黄色鉢》 ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館
出展されている作品の中で特にカラフルだったのが、《多色燭台》。
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《多色燭台》 乾隆年製銘 清時代 乾隆年間(1736~95) 中国 東京国立博物館
直島にある大巻伸嗣さんの作品を彷彿とさせます。
この燭台を見て、瀬戸内国際芸術祭を連想した人は、きっと僕だけではないはずです。
それから、青磁にしか見えないガラス作品もありました。
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《青緑色長頸瓶》 乾隆年製銘 清時代 乾隆年間(1736~95) 中国 東京国立博物館
ガラス作品の良しあしがよくわかっていない僕でも、さすがに色の美しさはわかります。
そういう意味でも、どんな人でも素直に楽しめる作品といえましょう。
また、清朝ガラスの最大の特徴と言えるのが、重厚な彫琢。
彫琢とは、中国の古来より確立されていた玉細工の技法を、
ガラス作品に応用したもので、表面を削り丹念に磨くことで、独特のテクスチャーが生まれます。
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右)《白地緑被花鳥文鉢》 清時代 乾隆ー嘉慶年間 18~19世紀前半 中国 サントリー美術館(辻清明コレクション)
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《青地赤茶被魚蓮文瓶》 乾隆年製銘 清時代・乾隆年間(1736-95) 中国 ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館
©Victoria and Albert Museum, London
一般的なガラス作品は、“儚い美” を兼ね備えているものですが。
「儚さ」 や 「壊れやすさ」 を好まない中国のお国柄が、
世界でも類を見ない独自のガラス作品を生み出したのだとか。
確かに、どのガラス作品も、ちょっとやそっとでは割れる気がしませんでした (笑)
そんな世界の人々を魅了した清朝ガラス。
何を隠そう、フランスを代表するガラス工芸家エミール・ガレも、清朝ガラスに魅了された一人です。
ロンドンのサウスケンジントン博物館 (現ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館) や、
ベルリンの工芸美術館で、清朝のガラスを入念に調査、研究したという記録が残っているとのこと。
そこで、今回の展覧会では、清朝のガラスに影響を受けたと思われるガレ作品も紹介されています。
確かに、ガレの作品と清朝のガラスを並べてみると、影響を受けているのは歴然。
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左)エミール・ガレ 《花器「カトレア」》 右)《白地二色被花鳥文鉢》 いずれもサントリー美術館蔵
これまでガレというと、ジャポニスムの影響を受けた作家というイメージが強かったですが。
中国にも影響を受けていたのですね!
本命の自分以外にも、別の気になる相手がいたような。
なんとなく浮気されたような感じで、少々複雑な気持ちになりました (笑)
さらに、ガレは、清朝の鼻煙壺 (=粉末状の嗅ぎタバコを入れるための小さな容器) の収集も行っていたそうです。
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《雪片ガラス地五彩仙果文鼻煙壺》 清時代 18世紀 中国 町田市立博物館
それにちなんで、ガレが見た可能性のある、
もしくは、それとよく似たタイプの清朝の鼻煙壺も展示されていました。
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展覧会のフィナーレでは、「清朝ガラスの小宇宙 (ミクロコスモス)」 と題して、
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鏡張りの展示ケースに、鼻煙壺を並べて展示。
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鏡に無数の鼻煙壺が映し出され、
まさに、「鼻煙壺の小宇宙や~!」 状態でした。
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ガレも愛した-清朝皇帝のガラス
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