アートテラー・とに~が信じる美術に関する説を検証していく企画 『水曜日のアートテラー』。
今から2年前に、芸術家のあだ名に関して、
こんな説を検証したことを覚えていますでしょうか?
今回は、また新たな芸術家のあだ名に関する説を提唱したいと思います。
突然ですが、皆さま、こちらのアーティストはご存知でしょうか?
日本のトリックアートの第一人者で、
「日本のエッシャー」 と称される福田繁雄 (1932~2009) です。
続いて、こちらのアーティストは、ご存知でしょうか?
50歳のときに奄美大島へと移住したその経歴から、
「日本のゴーギャン」 とも呼ばれる田中一村 (1908~1977) です。
それらを踏まえて、今回提唱するのは、こちらの説です!
まず見つかったのは、「日本のゴッホ」 こと、長谷川利行 (1891~1940)。
その明るく激しい筆致と、波乱に満ちた人生から、「日本のゴッホ」 と呼ばれています。
油彩画ではなく、ちぎり絵ですが、ほぼ同じような理由で、
“裸の大将” こと山下清 (1922~1971) も、「日本のゴッホ」 と呼ばれているようです。
自称したパターンですが、棟方志功 (1903~1975) も 「日本のゴッホ」 の一人。
ちなみに、江戸時代の文人画家・浦上玉堂 (1745~1820) は、「東洋のゴッホ」 と呼ばれているとのこと。
ゴッホ、多すぎです。
ゴッホがいるなら、マティスやセザンヌもいるはず・・・と思いきや、それらしき人物は見つからず。
代わりに、ゴッホと同じくらいに日本でも人気の高い画家、ダリを発見。
「日本のダリ」 と呼ばれているのは、こちらの人物でした。
日本の洋画家で前衛美術家の 古沢岩美 (1912~2000)。
確かに、シュルレアリスムな作風ですが、ダリの作風とは遠いような。
例えは、あまりしっくりきていません。
ここ近年、新潟県が 「日本のミケランジェロ」 としてプッシュしているのが・・・
江戸時代末期に活躍した木彫りの名工、石川雲蝶 (1814~1883)。
天才彫刻家ということは共通しているものの・・・。
本家は大理石で、石川雲蝶のほうは木。
やはり、例えがしっくりきていないような気がします。
ちなみに、ルネサンス繋がりで、「日本のレオナルド・ダ・ヴィンチ」 を調べてみると、
画家ではなく、エレキテルでお馴染みの発明家・平賀源内 (1728~1780) がヒットしました。
“万能の天才” というところをフィーチャーされたのでしょう。
意外なところでは、横尾忠則さんにも 「日本の○○」 というあだ名があることが判明しました。
そのあだ名とは、「日本のウォーホル」 。
ただ、横尾さんのTwitterに、こウォーホル本人とのこんなエピソードが。
このやり取りを見る限り、きっと横尾さん自身も、
「日本のウォーホル」 というあだ名はしっくりきていないに違いありません。
実際に展覧会のポスターやキャッチコピーに使われた例も調査してみました。
練馬区立美術館で2016年に開催されていたのが、 “没後50年“日本のルソー” 横井弘三の世界展”。
さらに、2000年には、高知県立美術館では、
“山脇信徳-日本のモネと呼ばれた男-” が開催されていたようです。
2013年に茨城県近代美術館で開催されたのは・・・
“日本のプチファーブル 熊田千佳慕展” という展覧会。
「日本のファーブル」 ではなく、「日本のプチファーブル」。
なんだか一回り余分に過小評価されているような。
と、ここまで調査を続けてみて、一つ気になることが。
そもそも、この 「日本の〇〇」 という言い回し。
美術界に限らず、「日本のメッシ」 とか 「日本のプレスリー」 とか、
スポーツ界や芸能界などあらゆるジャンルでポピュラーに使われていますが。
日本以外の国では使われているのでしょうか?
例えば、「イタリアのフェルメール」 や 「アメリカのルノワール」 なんかは存在するのでしょうか??
ということで、知り合いの学芸員さんたちにも協力を仰ぎ、「海外の〇〇」 事情も調べてみることに。
しかし、3週間近く調査を続けるも、一向にそれらしい情報は見つかりませんでした。
強いて言えば、
“誰かは思い出せないけど、
「フランスのラファエロ」 と 「フランスのカラヴァッジョ」 は、いたような・・・”
というフワフワッとした情報があった限り。
ちなみに、その学芸員さん曰く、フランスの画家たちは、
イタリアの画家たちを崇拝していため、そういうあだ名が自然発生したのだろうとのこと。
反対に、イギリスの美術界を下に見ているので、
「フランスのターナー」 と呼ばれる画家なんて、絶対にいないだろうとのことでした。
なるほど。
その人物がいる国に対して、憧れを抱いているかどうかがポイントだったのですね。
言われてみれば、日本人は他のどの国よりも、
海外に憧れを抱いている人種であるような気がします (笑)
だから、「日本の〇〇」 が、そこそこいるわけです。
最後に、「日本のピカソ」 を調査。
さすがにいないだろう・・・と思いきや。
入浴剤 『旅の宿』 シリーズのイラストでお馴染みの・・・
木田安彦さんが、どうやら 「日本のピカソ」 と呼ばれているようです。
ちなみに、情報元の 『“日本のピカソ” 最後の版画展』 という記事には、
「日本のピカソ」 だけでなく、「現代の北斎」 というあだ名も併せて紹介されていました。
言ったもん勝ち。
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今から2年前に、芸術家のあだ名に関して、
こんな説を検証したことを覚えていますでしょうか?
今回は、また新たな芸術家のあだ名に関する説を提唱したいと思います。
突然ですが、皆さま、こちらのアーティストはご存知でしょうか?
日本のトリックアートの第一人者で、
「日本のエッシャー」 と称される福田繁雄 (1932~2009) です。
続いて、こちらのアーティストは、ご存知でしょうか?
50歳のときに奄美大島へと移住したその経歴から、
「日本のゴーギャン」 とも呼ばれる田中一村 (1908~1977) です。
それらを踏まえて、今回提唱するのは、こちらの説です!
まず見つかったのは、「日本のゴッホ」 こと、長谷川利行 (1891~1940)。
その明るく激しい筆致と、波乱に満ちた人生から、「日本のゴッホ」 と呼ばれています。
油彩画ではなく、ちぎり絵ですが、ほぼ同じような理由で、
“裸の大将” こと山下清 (1922~1971) も、「日本のゴッホ」 と呼ばれているようです。
自称したパターンですが、棟方志功 (1903~1975) も 「日本のゴッホ」 の一人。
ちなみに、江戸時代の文人画家・浦上玉堂 (1745~1820) は、「東洋のゴッホ」 と呼ばれているとのこと。
ゴッホ、多すぎです。
ゴッホがいるなら、マティスやセザンヌもいるはず・・・と思いきや、それらしき人物は見つからず。
代わりに、ゴッホと同じくらいに日本でも人気の高い画家、ダリを発見。
「日本のダリ」 と呼ばれているのは、こちらの人物でした。
日本の洋画家で前衛美術家の 古沢岩美 (1912~2000)。
確かに、シュルレアリスムな作風ですが、ダリの作風とは遠いような。
例えは、あまりしっくりきていません。
ここ近年、新潟県が 「日本のミケランジェロ」 としてプッシュしているのが・・・
江戸時代末期に活躍した木彫りの名工、石川雲蝶 (1814~1883)。
天才彫刻家ということは共通しているものの・・・。
本家は大理石で、石川雲蝶のほうは木。
やはり、例えがしっくりきていないような気がします。
ちなみに、ルネサンス繋がりで、「日本のレオナルド・ダ・ヴィンチ」 を調べてみると、
画家ではなく、エレキテルでお馴染みの発明家・平賀源内 (1728~1780) がヒットしました。
“万能の天才” というところをフィーチャーされたのでしょう。
意外なところでは、横尾忠則さんにも 「日本の○○」 というあだ名があることが判明しました。
そのあだ名とは、「日本のウォーホル」 。
ただ、横尾さんのTwitterに、こウォーホル本人とのこんなエピソードが。
このやり取りを見る限り、きっと横尾さん自身も、
「日本のウォーホル」 というあだ名はしっくりきていないに違いありません。
実際に展覧会のポスターやキャッチコピーに使われた例も調査してみました。
練馬区立美術館で2016年に開催されていたのが、 “没後50年“日本のルソー” 横井弘三の世界展”。
さらに、2000年には、高知県立美術館では、
“山脇信徳-日本のモネと呼ばれた男-” が開催されていたようです。
2013年に茨城県近代美術館で開催されたのは・・・
“日本のプチファーブル 熊田千佳慕展” という展覧会。
「日本のファーブル」 ではなく、「日本のプチファーブル」。
なんだか一回り余分に過小評価されているような。
と、ここまで調査を続けてみて、一つ気になることが。
そもそも、この 「日本の〇〇」 という言い回し。
美術界に限らず、「日本のメッシ」 とか 「日本のプレスリー」 とか、
スポーツ界や芸能界などあらゆるジャンルでポピュラーに使われていますが。
日本以外の国では使われているのでしょうか?
例えば、「イタリアのフェルメール」 や 「アメリカのルノワール」 なんかは存在するのでしょうか??
ということで、知り合いの学芸員さんたちにも協力を仰ぎ、「海外の〇〇」 事情も調べてみることに。
しかし、3週間近く調査を続けるも、一向にそれらしい情報は見つかりませんでした。
強いて言えば、
“誰かは思い出せないけど、
「フランスのラファエロ」 と 「フランスのカラヴァッジョ」 は、いたような・・・”
というフワフワッとした情報があった限り。
ちなみに、その学芸員さん曰く、フランスの画家たちは、
イタリアの画家たちを崇拝していため、そういうあだ名が自然発生したのだろうとのこと。
反対に、イギリスの美術界を下に見ているので、
「フランスのターナー」 と呼ばれる画家なんて、絶対にいないだろうとのことでした。
なるほど。
その人物がいる国に対して、憧れを抱いているかどうかがポイントだったのですね。
言われてみれば、日本人は他のどの国よりも、
海外に憧れを抱いている人種であるような気がします (笑)
だから、「日本の〇〇」 が、そこそこいるわけです。
最後に、「日本のピカソ」 を調査。
さすがにいないだろう・・・と思いきや。
入浴剤 『旅の宿』 シリーズのイラストでお馴染みの・・・
木田安彦さんが、どうやら 「日本のピカソ」 と呼ばれているようです。
ちなみに、情報元の 『“日本のピカソ” 最後の版画展』 という記事には、
「日本のピカソ」 だけでなく、「現代の北斎」 というあだ名も併せて紹介されていました。
言ったもん勝ち。
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