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Channel: アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】
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狂言―山本東次郎家の面―

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國學院大學博物館で開催中の “狂言―山本東次郎家の面―” に行ってきました。


(注:館内の写真撮影は、特別に許可を頂いております。)


能の面 (おもて) にスポットを当てた展覧会は、珍しくないですが。
こちらは、ほぼ前例のない、東京では初となる狂言の面にスポットを当てた展覧会です。
展示ケースにズラリと並んでいるのは、
人間国宝の狂言師・山本東次郎氏が所蔵する狂言面の中から、選りすぐられた名品たち。





江戸時代や桃山時代に作られたものもあれば、室町時代や鎌倉時代に作られたものも。
歴史的に価値がある狂言面ばかりです。
しかも、驚くことに、これらの狂言面はすべて、現在も舞台で使用されているのだとか。
展示されている狂言面のうちの一つは、
展覧会期間中に舞台で使われるため、一時、この場を離れるのだそう。
つまり、すべて現役バリバリの狂言面ということです。


さてさて、お恥ずかしながら、今日の今日まで、
能も狂言も、なんとなく同じようなものと思っていたのですが。
ざっくり言うと、能はシリアス路線で、狂言はコメディ路線とのこと。
そのため、狂言面は、ユーモラスな表情をしているものが多いようです。




コメディ路線とは言っても、単純に笑える演目もあれば、
人間の愚かしさに焦点を当てた、ブラックユーモアとペーソスが混じったような演目もあるのだとか。
“へー。『笑ゥせぇるすまん』 に通ずるところがあるのかなァ” なんて思っていたら・・・



ドーン!!!!

まんま喪黒福造みたいな狂言面がありました。
いや、もしかしたら、藤子不二雄Ⓐさんが、
この狂言面をモデルにキャラクターを考えたのかもしれませんね。

また、動物の面が多いのも、狂言面の特徴の一つとのこと。
会場には、子猿やタヌキをはじめとする、様々な動物面も展示されていました。




その中で特にインパクトがあったのが、キツネの面。
横から見ても、それなりにインパクトがありますが・・・




正面から見たインパクトは絶大!




もし、「ルールルルー」 と呼んだ時に、
コイツが現れたならば、一生のトラウマになることでしょう。
全体のテイストとしては、そこはかとなく和田ラヂヲっぽい気がします。

それから、狂言面の特徴としては、女性の面が少ないことが挙げられるそうです。
しかも、能の面とは違って、いわゆる “能面” のスッとした女性の顔立ちではなく・・・




しもぶくれのブサ・・・もとい、ユーモラスな顔立ちをしていました。
えくぼがチャーミングといえば、チャーミングですね。
写真右の能面は、そこはかとなく漫☆画太郎っぽい気がします。


今回出展されていた中で、個人的に一番印象に残っているのは、《祖父》 という面です。




主に、百歳を超えた祖父 (おうじ) が、
孫くらいの年齢の若い娘に恋をしてしまう 『枕物狂』 という演目で使われるそう。
眺めれば眺めるほど、マチャアキに見えてきました (笑)
若い娘の前で、テーブルクロス引きとかしちゃいそうです。


他にも、興味深い狂言面や狂言の演目で使われるアイテムが多々あり、
普段は目にすることができない狂言の面の裏側を見られるという貴重な経験もあり。




展覧会を観終わる頃には、純粋に狂言の舞台を観たくなっていました。
無料なので、是非、皆さまも足を運ばれてみてはいかがでしょうか。
星2つです!!
星星


ちなみに、現在、國學院大學博物館では、
太田記念美術館での “江戸の悪 PART II” と連携して・・・




“惡―まつろわぬ者たち―” という特集展示も開催中。
古代中国で生まれた 『惡』 という文字に着目したもので、




その成り立ちや日本での受容され方などを、さまざまな資料を交えながら紹介しています。
小規模な展示ではありましたが、『惡』 について学べる 『善』 い展示でした。




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